【第一章】第三十二部分
「ううう。」
凪河は目覚めたが、すぐに苦悶の表情に変わった。
「息ができないわ。く、苦しい!」
憂果莉はさらに力を強めて、凪河の顔色は紫色になっている。
「死ぬのです!」
「やめて~!」
凪河は寝袋の中で、暴れて大きく目を開いた。
「夢だったわ。よかった。」
そう思った凪河だったが、声は出ていなかった。
凪河の口は塞がれていたのだ。
「アタシ、キスされているわ!」
相手はひとりしかいない。
「会長、離れなさいよ!」
「ううう。あれ?猫柳さん、おはようございます。」
意図的ではなく、会長は寝相が悪かったのである。
「こ、これはノーカンよね。アタシの初めてはちゃんと上書きして保存しておくんだから!」
凪河の宣言は、上書きを必要とする時点で、すでに色褪せていた。
地元に戻ってから数日後の放課後。
『ブルブル。』
パンツが揺れた。凪河だけでなく、憂果莉のパンツも同時に振動した。
(真の悪が近くにいるぞ。現場に急行せよ。)
「お人形からのパンツ情報が会長と共有されて、面倒だわ。」
スケパンデカ姿の憂果莉は凪河の腕を取った上に、体をぴったりと密着させている。
「あんまりくっつくなら、命を狙うわよ。」
「それでもいいです。」
『キラーン。』
凪河ナイフをかざして光らせた。
『ドキドキ。』
憂果莉の心臓の音が高まった。
「ほら、やっぱり動揺してるわ。」
繁華街に向かって歩くと、女の制服姿の警察官が見えた。




