【第一章】第二十六部分
「ちょっと、こんなたくさんの相手にどうやって戦えばいいのよ。」
(法則魔法を使うんじゃ。一網打尽にするんじゃ!)
「不確定性の原理!」
凪河は大きな声を出したが、何ら変化はない。
(相手がたくさんいてダメなんじゃな。まだひとりだけにしか効かないようじゃな。)
「じゃあどうすればいいのよ~?」
(さあな。頑張れ。)
「無為無策?どんな指導者よ?」
凪河が騒いでいる間に、ゾンビのような男女が攻めてくる。
「どんどん攻めていけ。」
田中は爽やかな笑顔のままで、命令している。
「悪人の顔に見えないわよ。」
(それが真の悪なんじゃよ。)
からだをペタペタと触られる凪河。
「やだ~。気持ち悪いわ!」
(何でもいいから反撃するんじゃ。)
「ふ、不確定性の原理!」
『パァーン!』
街灯が割れた。
(何を攻撃しておるんじゃ。ライトを消しても仕方ないぞ。)
街灯が消えて辺りは暗くなった。するとゾンビ男女たちの動きが止まった。
(おや、予想外に魔法の効果があったようじゃ。不確定性とは言いながら、ある程度は自動で効果のある攻撃を選択したようじゃ。)
「でもアタシも何も見えないわよ。」
凪河も視界を失ったのである。
(悲しいかな。これも不確定性の原理じゃな。副作用のある魔法らしいわ。)
「これって魔法の副作用っていうより、魔法の使い方がよくないだけじゃないの?」
(そういうものじゃ。)
「やっぱり使えない魔法だわ!」
『バコッ!』
「何かが当たったわ。痛いわよ!」
凪河の額に固いものが当たり、流血している。
「田中も見えないはずなのに、どうして当たるの。」
「それはどうかな。こちらからは、お嬢様の動きが見えるよ、並みの人間とは違うから。」




