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止まらない時間

初めまして小説家を目指している高校生です。

この小説は小学校の頃小説に興味を持ち始めた時に思いついた小説です。

普通が嫌いだった自分は捻くれたものばかり書いていますが、変わった小説を読みたいときはぜひ見てください。

奪い、争い、騙し合う。

そんな光景ばかりが目について、世界はひどく濁って見えた。


 小学校に入学した年、父の映画に初めて出演した。

物心つく前から、撮影現場は遊び場のような場所だった。照明の熱、スタッフの声、カメラの向こうの静けさ。父の仕事を、ずっと近くで見て育った。

もらった役は、心に傷を抱えた少年だった。

「この子は、今どんなことを考えてると思う?」

演技が上手くできず落ち込んでいると俳優の人にそう聞かれ、自分なりに考えるようになった。

言葉にできない気持ちを、ただ表情と間で伝えようとした。

それが、不思議なくらい楽しかった。

共演者たちはみんな優しく、待ち時間には色々な話をしてくれた。

世界が急に広がった気がした。


 映画公開後の世間の評価は、子供だった自分には眩しすぎた。

『少年の感情が伝わってくる』

『あの子は誰だ』

『演技がうますぎる』

そんな言葉が並んだ。ただ人を笑わせて泣かせることができた。それだけで嬉しかった。

気づけば「天才子役」と呼ばれていた。その呼び名だけは、好きになれなかった。

映画の仕事が増え、練習も増えた。母さんはいつも同じことを言った。

「無理したらダメよ。辛かったらやめなさい」

母さんはIT企業の会社で働いていた。帰ってくるのは遅く朝も早かった。

母さんは仕事が好きな人だ。父の収入だけで暮らせるから仕事をやめてもいいと言ったが、自分の分は自分で働てやるからいいと言ったらしい。

父は家での仕事が多くいつも遊んでくれた。

学年が上がるにつれて、父以外の作品にも呼ばれるようになった。最初は全てが新鮮だった。

けれど、期待は静かに重さを持ち始める。

次も成功させないと。前よりよくなければ。期待を裏切れない。

演じながら、そんなことばかり考えるようになった。


高学年の頃の記憶はところどころ抜け落ちている。

ただ、その頃…父が突然いなくなった。


 小学6年で、治らない病気が見つかった。中学入学の年、出演した映画を最後に、芸能界を離れた。

誰よりも濃い小学時代だったと思う。


 中学生活は、逆で空白のようだった。時間だけが早送りにされているように感じた。

卒業の日、幼馴染の美月と写真を撮った。それが妙に印象に残っている。

それくらい何もなかったんだと思う。

帰宅すると、妹の春が台所に立っていた。料理は、もうずっと春の担当だ。

母さんとは半年以上あっていない気がする。家事も春と分担してやっている。


 高校に入ってからも何も変わることのない日常。

同じ朝。

同じ帰り道。

同じ無色の時間。


 その日常が変わり始めたのは高校2年の、最後の1年だった。

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