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正義とは



 灰色の曇り空、昼間だと言うのに薄暗く今にも雨が降りそうだ。立ち込める血の匂いのなか、▲▼は周りを見ながら走り続ける。自分に刀を振りかぶって向かってくるヒトも、拳銃を向けてくるヒトも、手のひらから何かを出そうとしているヒトも、だれもが▲▼の命を狙っているのに彼にとってはどうでもいい事であった。身体をひねって攻撃を避け、その流れで相手を傷つける、それはまるで踊っているようだ。それらは全てアドリブであるはずなのにそう見えてしまうというのは彼の才能なのだろう。

 ▲▼は走り続ける。目的の人物を見つけるために。


「▲▼様!後ろです!」


ふと聞きなれた声が耳に入った。その言葉のとおりに後ろを振り向くと、ずっと離れた場所に自分に向けて拳銃を向けている男がいる。▲▼は足を踏み締め地面を思い切り蹴る。男に近づくまでおそらく二秒もかからなかったであろう、そしてそのまま手に握っていた刀を振りかぶった。


「三代目を殺ったぞー!」


 次は初めて聞いた男の声が絵具を適当にぶちまけたような騒がしい空間に響く。すると一瞬静かになったあと、ウオオオオという雄叫びが地面を揺らした。

(あっちか……)

▲▼は声の方へと急いで向かう。変わらぬ表情とは裏腹に刀を握りしめている手のひらは汗でぐっしょりと濡れていた。力をしっかり込めねば刀がスポンと抜けてしまいそうだ。

 走って走って走って、向かった先に広がっていた光景、それは──────。


「……は?」

 

 母は身体をバラバラにされていた、姉は心臓を抉られていた、兄は誰か分からないほどの焼死体であった。

 地獄絵図と言っても過言ではない光景が視界に広がっている。

 なぜ母が、兄が、姉が、殺されなければならないのだろうか……?このヒトたちは自分よりも善人でヒトのために尽くしてきたのに。

(誰が一体、僕の、大切な人を…………殺した?)


 ゆるさない、許さない、赦さない赦さない赦さない赦さない赦さない赦さない赦さない赦さない赦さなイ赦さナイ赦サナイゆルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ



 嗚呼、やはりこの世界は『力』が正義なのだ




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