~一刀、恋姫達と日常を共にするのこと【拠点・七】~
どうも皆様、約一ヶ月ぶりでございます!
大変長らくお待たせいたしました。
今回もオリジナルでございます。
それでは、どうぞ!
【気になる二人の関係】
屋敷の中庭に設けられている鍛練場。その場では、青年と少年が武器を構えて向かい合っていた。
「「…………」」
互いに相手の動きを見て、ジリジリと距離を縮めていく。そして―――
「「っ!!」」
二人の間が無くなり、武器と武器が激しい金属音を立ててぶつかり合う。
「でやぁ!」
「っ!!」
少年は押し退けると、太刀で横に薙ぐ。青年は上半身を反らす事で避け、がら空きになった少年に突きを繰り出す。対して少年は体を横にずらし、そのまま回りながら刃を青年の首筋目掛けて切り込む。
「おっと!」
「くっ!」
青年は刀を素早く後ろに向ける事によって、少年の一撃を背中越しに防ぐ事に成功する。
「……昴、前より早くなったな。だけど……!」
「くっ、うわっ!?」
力を緩め、そのまま受け流す様にして体を回転させる。昴は咄嗟の事に対応出来ず前向きにバランスを崩してしまう。足がひっかかり、派手に転んでしまった昴。
すかさず太刀を片手に取り、後ろを振り向くも、眼前には朝日に煌めく刃の切っ先が突きつけられていた。
「まだやるか?」
「……参りました」
尻を地面につけたまま、降参を宣言する。模擬戦の終了と見なし、一刀は刀を鞘に収めて昴の手を掴む。引っ張りあげられて、昴は立ち上がる。
「また、負けてしまいましたね」
「でも、今回は結構惜しかったぞ?やや武器に振り回されている所はあったけどな」
ガックシと肩を落とす昴。そんな彼の肩に優しく手を置く一刀。
先程の模擬戦の様に、昴は一刀に鍛練を見てもらっている。今までは格闘技術しか会得しておらず、武器の扱いに関しては、父から少し習った程度。これからの戦に備え、慣れる必要があるため、昴は一刀に稽古をつけてもらっていたのだ。
それからというもの、一から基礎を学び直し、一ヶ月前から模擬戦を開始している。
「何はともあれ、確実に上達していってるんだ。だから、自信を持って」
「はい、ありがとうございます」
一刀の言う通り、最初に比べてみれば、昴自身も教訓が体に馴染んできた。自分の身長程もある太刀を段々と使いこなせる様になった。
少しずつだが、成長しているという事に喜ぶ一刀。
〈あれ?先客がいたのか〉
「やあ、翠にたんぽぽ」
得物を肩に乗せながら鍛練場にやって来た翠とたんぽぽ。
「よっ。一刀達も鍛練してたのか?」
「ああ、ついさっき模擬戦やってた所だよ」
「まだまだ殿には敵わないけどな」
「へぇ~~、お兄さんそんなに強いんだ~~」
恥ずかしそうに頭をかく昴の話を聞き、物珍しそうに一刀を見るたんぽぽ。
「なんなら、今度はたんぽぽがするか?」
「えっ、あたし?」
「言っとくけど、一刀はあたしでも敵わないぞ。この前だって、五回やって一回も勝てなかったからな」
「遠慮しときます」
「はやっ!?」
ただでさえ勝つ事が出来ない従姉が一度も勝てない相手なのだ。当然自分が勝つ見込みがないため、速効で断った。
「そんじゃ、一刀。あたしとやるか?」
「翠、いいのか?たんぽぽと修行してたんじゃあ……」
「ああ、うんうん!全っ然いいよ!!どうぞどうぞ~~!!」
あまりにも大袈裟に一刀に譲るたんぽぽ。詰め寄られ、思わず目を丸くする一刀。恐らくは鍛練をサボる口実なのだろうが、翠には通用しなかった。
「言っとくが、一刀との鍛練が終わったら、お前もやるんだからな?」
「わっ、……分かってるよ、翠姉様~~♪」
ちっ!と心の中で舌打ちするたんぽぽ。二人のやり取りを苦笑いしながら眺めている一刀と昴。
「そんじゃ、一刀の方はいいか?」
「ああ、俺は構わないよ」
互いに大丈夫な事を確認し、訓練場に上がる一刀と翠。そんな二人を後ろから見ているたんぽぽ。その表情は何やら考えている様にも見える。
(う~ん、何かないか。………………そうだ!)
ポン、と手を叩き、たんぽぽは二人の方に向かう。
「ねぇねぇ!提案提案提あ~~ん!!」
「えっ?」
「何だよたんぽぽ。まだ何かあるのか?」
「まあまあ、そんな事言わないで~♪」
眉に皺を寄せる翠。それとは正反対に明るく声をかけるたんぽぽ。そして、提案を高々と宣言する。
「次の模擬戦で勝った人は、負けた人に何でも命令できる権を得られるっていうのはどう?」
「「「……はぁ?」」」
間抜けな顔をしてしまう、たんぽぽ以外の三人。翠はため息を吐きながら、たんぽぽに近寄る。
「お前なぁ、何言って……」
「翠姉様。ちょいちょい……」
手招きをされ、怪訝な顔をして近づくと、たんぽぽは彼女の耳元でボソボソと呟く。
何を話してるんだろう?と一刀と昴は首を傾げる。すると、翠は一刀の元へ戻っていく。
「翠、一体何話して―――」
「乗った」
「……へっ?」
「その話、乗ったぞ」
「…………どゆこと?」
何故か翠が乗り気でやって来た。その話、というのは言うまでもない。たんぽぽが言っていた“模擬戦で勝った人は負けた人に何でも命令できる権”だろう。一刀はたんぽぽの方に視線を向けるも、彼女はとぼけた様に口笛を吹いている。
「ほら!さっさと始めるぞ!」
「ちょっ、翠?もしかして、たんぽぽの提案……」
「ああ、ありでもいいよな?」
「いや、別にそんなのなくても」
「い・い・よ・な!?」
「…………はい」
有無を言わさず、やや強引に決定された。そんなこんなで、二人は武器を構え出す。
「ふっふっふ~♪」
「……たんぽぽ。お前、翠に何を言ったんだ?」
「ちょっとね~♪」
鼻歌交じりに答えるたんぽぽを、訝しげに見る昴。そうしている内に、一刀と翠の模擬戦が始まった。
屋敷の裏側にある大きめの納屋。そこは馬小屋になっており、数頭の馬が入れるスペースがある。主に武将達専用の馬が利用している小屋だ。
その小屋へ二人の男女がやって来た。
「う~ん……!雲一つない、良い天気だなぁ」
「ああ、そうだな」
体を伸ばし、日光を浴びる一刀と隣で歩いている翠。
昨日の模擬戦の結果、なんと翠が勝利したのだ。これには昴は勿論の事、差し向けたたんぽぽですら目を大きくして驚いていた。一刀と翠の力量差はほぼ五分五分。といっても、大半は一刀の勝利で決まるのだが、今回は違った。
たんぽぽが耳打ちした直後、翠の瞳の奥が燃え盛る炎の様に熱くなっており、凄まじい勢いで一刀に勝利したのだ(ほぼごり押しみたいなものだが)。勝った後は勝利の雄叫びをあげ、その表情は歓喜に満ちていた。
そして、たんぽぽの提案した“勝った人は負けた人に何でも命令できる権”を取得した翠。これにより、二人で遠出しようという事になった。尚、翠は一刀に、
「愛紗達には絶対に言うなよ!!」
と、念を押して命令していた。まあ、彼女達が知ったら確実についてくるだろう。
というわけで、今日は一刀と二人きりの翠。上機嫌で彼と談笑しながら小屋へと向かう。
「あれ?」
「どうした翠?」
「いや、馬が“一頭”しか……」
小屋の中を目にした瞬間、二人は動きを止める。いつもは数頭いる筈の馬達が、今日に限って何故かたったの一頭しかなかった。
「な、なんで一頭しかないんだ!?」
〈ヤッホー♪翠姉様~!〉
陽気な声でこちらに手を振りながら歩いてくるたんぽぽ。
「お、おいたんぽぽ!どういう事だよこれ!?」
「どういう事って?」
「だから!何で馬が一頭しかいないんだよ!?」
「え~?………………あっ、思い出した!今日は縁さんや庄屋さん達に貸してるんだった」
「なにぃっ!?」
ポン、と手を叩いて、今思い出したかの様に言い出すたんぽぽ。
今日は縁と庄屋、助手として胡花や香里が付き添っている。しかも場所がかなりの遠路になるため、馬を借りているのだ。
話を聞いて、どんどん焦りだす翠。たんぽぽの肩を掴み、一刀から離れた所でヒソヒソと話し出す。
〈ちょっ、どうすんだよ!?馬が一頭しかないんじゃあ、遠出は―――〉
〈大丈夫♪そこら辺は考えてあるから〉
任せてよ♪と胸を叩き、小ぶりな二つの膨らみが微かに揺れる。たんぽぽは一刀の後ろに回ると、背中を押していく。
「えっ、ちょっ……」
「はい、お兄さん。こっちこっち。翠姉様も」
「はっ?」
たんぽぽに促されるまま、馬に乗せられる二人。まず一刀が馬に誇っており、翠はその一刀の太股に座っているといった様子だ。
「うん、これでよしっ!」
「よしっ!じゃねえよ!?」
顔を真っ赤にしながら大声を出す翠。どうかしたの?と言いたい様に、目を丸くしているたんぽぽ。
「えっと、たんぽぽ?これは……」
「うん。だからさ、お兄さんと翠姉様が一緒に乗ったらどうかな~?って」
「ちょっ!待て待て待て!?」
勝手に進めていくたんぽぽにストップをかける翠。
「でも、馬は一頭しかないんだよ?だったらこうするしかないじゃん」
「いや、だからって……。一刀が迷惑するだろ」
「俺?俺は全然いいけど?」
翠の言葉に、キョトンとする一刀。
「えっ?」
「翠さえよければ、俺はこのままでも構わないよ」
「い、いいのかよ」
「ああ」
嫌な顔一つせず、一刀はOKと言った。横から見ていたたんぽぽはニヤニヤとしていた。
「な、何だよ?」
「べっつにぃ~?」
「じゃあ、そろそろ行くか」
「あ、ああ……」
「行ってらっしゃ~~い♪」
馬一頭に乗った二人。その後ろ姿を大きく手を振って見送るたんぽぽ。やがて二人の姿が見えなくなった頃、ピタッと手を止めて静かに下ろす。
「ふっふっふ♪さぁ~てっと……昴~!」
〈やれやれ……〉
たんぽぽに呼ばれ、草むらから二頭の馬を連れて出てきた昴。
先程たんぽぽが言った様に、確かに馬は縁達が使っている。だが、昴が手綱を引いている様に、馬は二頭もいたのだ。
「一体何をしようと?」
「にっしっし♪決まってんじゃん。二人を追いかけるの」
「……何の為に?」
「だって気になるんだもん」
その言葉に深いため息を吐く昴。
「というわけで、いざしゅっぱ~~つ!」
「まったく……」
高らかに叫ぶたんぽぽ。放っておくこともできず、昴もついていく事となった。
ただいま馬に誇って移動している一刀と翠。しかし、今の二人は一切言葉を発する事はなく、ただただ時が過ぎるだけであった。
「えと、一刀。その……重くないか?」
「いや?全然余裕だよ」
「そ、そうか……」
そう言われてホッとする翠。いつもは度胸のある武将だが、心は立派な女の子。好きな異性の目は気にするものである。
それに対し、一刀はというと―――
(とはいえ、翠にはああ言ったものの……)
自分の膝の上に座っている翠。彼女もまた愛紗や桃香達と同様、美少女の部類に入る。本人は気づいていないのか、若干自分にもたれかかっており、柔らかい感触と共に女の子特有の良い匂いがする。
一刀も少なからず動揺していた。
もっとも、二人はお互いに気づいていないのだが。
「じゃ、じゃあ、近くの小川にでも行ってみようか。あんまり遠くに行くと、帰るのが遅くなるだろうし」
「そ、そうだな。そこは任せるよ」
翠がいつも馬達を洗いに行っている場でもある小川。そこに行く事にし、二人は馬を歩かせる。
そしてその二人を尾行している二つの影。
「おっ?二人共、人気のない所に行った。これはもしや~?」
「何で俺がこんな事を……」
「ほら、行くよ昴」
「はぁ~~……」
イケナイ妄想を膨らませるたんぽぽ。昴はまたもため息をつく。そのまま、二人の後をついていくのであった。
緩やかに流れている澄んだ川。二人を運んでいた馬は川の水で喉を潤している。そして近くに腰かける二人。
「はぁ~、やっぱり川の近くは涼しいなぁ」
「あたしも馬の世話をするついでに、ここに涼みに来るんだよ」
二人で他愛もない世間話をする。この二人だけの空間で、風のせせらぎと川の流れが音として響いている。
その空間のすぐ側。大きめの岩陰に隠れている二人組。
「ふむふむ。いい感じだねぇ~♪」
「そうかそうか」
目だけを覗かせて二人をじっと観察するたんぽぽ。昴は岩にもたれて相槌を打っている。
「にしても驚いたね~。あの翠姉様が男の人を好きになっちゃうなんてさ」
「そんなにか?」
「だって、西涼にいた頃じゃあ全然男っ気がなかったもん。あんなに楽しそうにしてるのなんて見た事ないよ」
自らの腕を鍛えるしか頭になかった姉が、今や恋する乙女へと変わっていた。
たんぽぽはその事に驚き、同時に喜んでいた。
いつもは厳しいが、時には優しい面を見せる。そんな姉が好きで、尊敬もしていた。
「だからって覗くか普通?」
「翠姉様ったら、たんぽぽが聞いても顔真っ赤にして否定するんだもん。バレバレなのにさ」
「へぇ、それは初耳だな」
「問題は、お兄さんだよね」
「殿か?」
「たんぽぽが察するに、愛紗や星姉様は少なからずお兄さんが好きと見た。でも、お兄さんはそれに気づいていない」
「えぇっ?」
たんぽぽの言葉を聞き、昴も岩陰から二人を観察する。
「そういえば翠。どうして今日、誘ってくれたんだ?たんぽぽになんか言われてたけど」
「えっ!?そ、それは……」
急に口ごもる翠。顔を背ける際、頬がやや赤く染まっているのが見えていた。
鍛練場での手合わせ。たんぽぽの口車にまんまと乗っかり、一刀と対戦した。結果、思いもよらない力で勝利した(たきつけたたんぽぽも驚いていた)。
よって一刀と共に、軽い逢引の様な状況になっていた。
「ほ、ほら、あれだよ!頑張れ~!みたいな感じの……」
「でも、たんぽぽが提案したアレとかも」
「いや、日頃から馬の世話とかを手伝ってくれてるから、ちょっと息抜きも兼ねてさ」
「翠も俺の乗馬の練習に付き合ってくれたから、手伝うのは当然だよ」
「あたしがやりたいからやってる事なんだ。気にすんなよ」
「……そっか。ありがとな翠」
「お、おう……」
笑顔で礼を言う一刀。至近距離で直視し、ボン!と沸騰したやかんの様に赤面する翠。
「なるほどなるほど。ああやって女の人を釘付けにしていると。お兄さんも罪だね~」
「お前はさっきから何を言ってるんだ」
たんぽぽの呟きに横からツッコミを入れる昴。
「あっ、翠」
「えっ?」
〈〈っ!?〉〉
一刀に呼ばれて振り返る翠。途端に彼女の頬に手を添える一刀。その動作にドキッとしてしまう翠。
その行動に思わず目を大きく見開く昴とたんぽぽ。
「……よし、取れた」
「へっ?」
「落ち葉がついたから。ほら」
「………………………………」
彼女の髪に付いていた葉を翠に見せる一刀。すると翠は俯き、体を小刻みに震わせていた。
「翠?どうかした?」
「ま……」
「ま?」
「またかあああああああっ!!!」
「ぶぼぉっ!?」
勢い良く拳を振り上げた翠。強烈なアッパーを食らい、宙を舞う一刀。そのまま川へびっしょりと浸かるのであった。
「ふん!」
「ちょっ、翠!?」
カンカンに怒った翠は、馬の手綱を引いてその場を去っていく。びしょ濡れになった一刀は、慌てて後を追いかける。
「あちゃ~、お兄さんやっちゃったね~」
「っておい。こっち来るぞ」
昴の言う通り、翠はこちらに向かってくる。それを見て慌て出すたんぽぽ。
「やばやば……!どっか隠れないと」
「どこにだよ」
「と、とりあえず後ろの方に―――うわっ!」
「どわっ!?」
足がもたつき、前方に転げるたんぽぽ。近くにいた昴も巻き添えを食らい、胸元にたんぽぽの顔がつく。
そしてそのまま地面に倒れる二人。
「いたた……!」
「ぐっ………!」
丁度、二人のすぐ側を翠が通る。もっとも、彼女の目線からは草むらや岩に隠れて見えないが。そしてその後を一刀がついていく。
「やばっ……!」
「ちょっ、たんぽぽ―――」
「しっ!翠姉様に気づかれちゃうよ」
小声で囁くたんぽぽ。耳元に吐息がかかり、昴は歯を噛み締める。
仰向けに倒れている昴の上に横たわっているたんぽぽ。翠程じゃないにせよ、年相応の膨らみが昴の胸の上で形を変えている。
(す、翠!殿!早く通り過ぎて下さい!!流石にこの状況は耐え兼ねます!!お願いだから早く!!)
目をぎゅっと瞑り、切に願う昴。同年代の少女が自分の上で横になっており、顔もかなり近い。
昴が一人奮闘している中、目標の二人は過ぎ去っていった。
「……よし、行ったね」
「な、なら、早くどいてくれ」
「一時はどうなるかと思ったよ~」
頭をかきながら昴の上から退くたんぽぽ。ゆっくりと立ち上がる昴。その頬は微かに朱色に染まっている。
「にしても、お兄さん気づいてるのかな~?昴はどう思う?」
「そう言われても……。俺にはまったく経験がないからな」
「でもでも、何かしらの感想はあるんじゃない?」
「…………恐らく、気づいてないんじゃないか?」
「やっぱし?」
昴の感想を聞き、たんぽぽは苦笑いを浮かべる。これは、姉も前途多難かもしれない。
「と、とにかく、俺達も戻るぞ。殿も戻られた事だしな」
「それもそうだね」
「……なぁたんぽぽ」
「なぁに?」
「…………いや、やはり何でもない。気にしないでくれ」
「っ?そう?」
首を傾げた後、たんぽぽは先に前へ出る。昴はというと、右手に目線をやっていた。
(あの柔らかい感触……ま、まさかなぁ?)
そう自分に言い聞かせ、昴もたんぽぽを追いかけ、桃花村へと帰っていく。
その帰り道。
「にしてもさぁ、昴ったらいつまで顔赤くしてんの?」
「う、うるさいな!」
「にしし、かわいいなぁもう♪」
「からかうな!まったく!」
「たんぽぽみたいな美少女に抱かれて恥ずかしいのかなぁ?」
完全にからかっているたんぽぽ。掌の上で転がされている昴。
「あのなぁ……確かにお前は可愛いが、もう少し慎みというものを持て。そうすれば何の問題もないのに」
「…………」
不意に言葉が途切れるたんぽぽ。怪訝に思い、昴が声をかける。
「ん?どうかしたか?」
「……別に?何でもないよ~」
「そうか」
顔を見せずに歩み始めるたんぽぽ。昴の目に写ったのは、夕陽のせいなのか、さくらんぼの様に仄かに赤く染まった彼女の頬だった。
(う~ん……面と向かって、しかも真顔で言われると……なんか調子狂うなぁ)
口を尖らせて、今の表情を見られないように背けているたんぽぽ。
冗談で言ったつもりが、否定されずに肯定され、やや意識してしまう。
(それに……)
たんぽぽはチラッと自分の胸元に目をやる。
昴と共に倒れてしまった時、彼の右手がたんぽぽの左胸を鷲掴みしていたのだ。上からのし掛かっている事もあり、ずらす事も敵わなかったのだろう。
実はたんぽぽ自身も気づいていたのだ。
(……あぁ、やっぱ恥ずかしいもんだねぇこれ)
思わぬハプニングに遭遇し、たんぽぽは未だに赤くなっている顔を見せない様にするのであった。
そして翌日。翠に呼ばれたたんぽぽ。
「おいたんぽぽ。縁から聞いたけど、ありゃどういう事だ?」
「………………てへ♪」
――――ばれました。
あれだけ長く空けておいてこの少なさ。本当に申し訳ございません。夏もようやく終わりを迎えるというのに、OVAに行き着いてすらいない。マジで焦ってます。今回も内容がかなりごっちゃになってしまいました。
次回も出来るだけ早めに仕上げられる様、頑張りたいと思っております。
こんな僕ですが、どうかこれからも応援よろしくお願いいたします!!
それでは♪




