第5話 敵と影響力
二人の様子を見るにニャングリラにかなりの危機が迫っているのは、わかる。しかし一体どんな危機が来ているのだろう。とりあえず今のところこの建物や街には異変はないようだが……
しばらくして落ち着いたのかジプチがぽつり、ぽつりと、説明をしだした。
「百八年前に封印された魔王が復活したのです。」
文献によると……
魔王は百八年周期で復活、再封印を繰り返しているらしい。しかも復活するたび影響力は多くの場合強まっている。
そしてとくに力が強大だった八回前と五回前の復活の際には異世界からの召喚が有用であった。と最近発見された資料にあったらしい。
五回前の封印が優秀だったのでそれ以来は猫又族の強者でなんとかなっていたらしいのだが、比較的平和な時代が続き戦闘力や魔法の弱体化も進み、今回はどうにもならなかったとのことだ。五回前、つまり五百四十年前の資料にのっとってほぼ失われた古い術で勇者を召喚という流れらしい。
「ところで、魔王が現れて具体的には何が起こっているの?」
「まず魔物がでました。これは若干気味が悪いくらいで成人男性ならまず勝てるので問題ないのです」
「それぽっちの力なら、と思って有志の強者で魔王山に向かったんだが……魔王の奴め三千人の猫又族で城を囲っておった。」
「強者たちは正義のために魔王のもとへ向かった者達です。魔物ならまだしも人に対峙するとは思ってもいなかったでしょう。この辺りでは戦争はしばらく行われていないので、なおさらです。なんとか逃げ延びた方の話によると、強者たちの知り合いもいて、ただ魔王に操られているだけだとわかったとか。それで倒すことに罪悪感などを感じ、心に隙ができ、強者のほとんどが魔王に操られてしまったそうです」
「結果、身体能力の高いものが魔王の力となり、対抗できる者が減ってしまった。他にも今のところ首都は無事だが、その他の地域では、魔王の瘴気に当てられた負の感情を多く持つ者たちが、ところかまわず暴れ回っているのだ」
二人は話し終えるとため息をついた。
魔王はかなりたちの悪い能力を持っているようだ。うまく立ち回らないと、あっけなくやられてしまう。
これといった手は思い付かない。しかしどうにか対策を考えねば。帰れないだけでなく役たたずのレッテルを貼られ迫害されたり、殺せば新たな勇者を呼び出せるとか言いだしたりする可能性さえある。
しかたないので一縷の望みにかけ、私は発言した。
「とりあえず魔法を教えて下さい。私の世界に無かった要素なので意外なことが起こるかもしれません」




