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第10話 …………
真っ白な視界
ふわふわする。そして私の体表に異物感がある。やわらかい、しこりのようなそれは、腕をとおり胸の前へ。
―――きもちわるい
下へ下へ落ちてくる。
足元へ到達すると背中側に向かい、ぞわり、ぞわり、と背中を這い上がってくる。
―――いやだ。これいらない。
そう思った瞬間、異物と体の表面のあいだに隔たりができた。
5センチくらいだろうか。
不快感は減ったものの、変わらず異物はナメクジのように這い回っている。
いらいらする。
「くっついて、くんな !!」
言葉とともに異物は腕をとおり、手のひらから飛び出た。
そう感じたと同時に、私の目の前が真っ暗になった。




