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星を超えて世界を変えた日~星が導くのは、希望か、それとも終焉か。~  作者: 廻野 久彩
第5章 星を蝕む座標

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暁の羅針(ルミナ・ナビス)

凍てついた大地に、ようやく朝が訪れた。


灰白の雲間から差し込む淡い光が、雪を照らし出す。


氷原での戦いと祠での出来事を経て、一行は一時拠点の雪洞を発った。荷物を背負い、足元を踏みしめるその姿に、どこか“整った”気配が宿る。


「……よし、準備完了っと!」


ライナが背負い袋の紐を締めて振り返る。


「ユイ、荷物の紐、ちゃんと留めてある?」


「……うん。ミリアさんが教えてくれたから」


「ふふ、完璧ね」


小さなやりとりの中に、自然と“仲間”の雰囲気が滲んでいた。


「ねぇ、そろそろ“あれ”が必要じゃない?」


「“あれ”?」


ライナの言葉に、カイルが肩を竦める。


「つまり、俺たちの正式名称ってやつだ」


「……ああ。パーティ名か」


ぽつりと呟いたレオンの言葉に、場の空気が少しだけ和んだ。


「先に言っておくが、ライナのあの案は却下だ」


カイルが即座に切り捨てた。


「えー!《レオニャンズ》って、可愛いのに!!」


「というかレオン要素しかないだろ、それ」


ミリアがくすくすと笑う。ユイも小さく笑っていた。


カイルは腕を組んだまま、真面目な顔で言った。


「実力も揃ってきたし、そろそろちゃんと登録するべきだな。今後ギルド依頼も増えるし、名義がないと面倒が多い」


レオンはふと空を見上げた。


いつからだろう。ただ歩くだけだった旅路が、“誰かとともに進む道”に変わったのは。新たに出会い、再会し、共に戦った。そして、新たに今、仲間が増えようとしている。


この“選択”は、もうただの偶然じゃない。


「だったら──《暁の羅針ルミナ・ナビス》でどうだ?」


レオンの声に、皆が振り返る。


「夜明けを指し示す羅針。導かれるんじゃなく、自分たちの意思で進む。そんな意味を込めた」


しばらく沈黙があった。


「……いいじゃん、それ。かっこいいし!」


ライナがニッと笑った。


「星や神に導かれるんじゃなくて、自分たちで未来を決めるってことね。悪くないわ」


ミリアも静かに頷く。


「ルミナ・ナビス……」


ユイはその言葉を、何度か小さく繰り返した。


「……わたしも、その羅針の中にいて、いいのかな」


「お前がいたから、ここまで来れた。胸を張れ、ユイ」


レオンの言葉に、全員が静かにうなずいた。


「……うれしい」


ユイの声は、風に溶けるほど小さかった。だが、確かに、心の底からのものだった。


「……じゃあ、俺たち五人はこれから──《暁の羅針ルミナ・ナビス》だ」



出発の時。

東の空に、光が射し始めていた。


レオンは小さく息を吐き、前を見据える。


(──もう、迷わない)


「行くぞ」


雪原の先、まだ見ぬ道の果てへ──


《暁の羅針ルミナ・ナビス》が、旅立つ。

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