表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 僕は……  作者: イナカのネズミ
13/199

第4章 ~ 思わぬ出会い…… 突然の訪問者 ③ ~

~ 思わぬ出会い…… 突然の訪問者 ③ ~



 「んっん……」

 僕は目を覚まして寝ぼけ眼で辺りを見回す。

 「あっあ……もう10時過ぎか……」

 「あの酔っ払いのせいで昨日は寝るの遅くなったからな……」

 そう呟きながらベッドから半身を起こし首と肩を軽く回しながら起き上がろうとする。

 「えっ……!」

 僕は我が目を疑う

 「なんで、ソフィーが隣に寝てんだっ!!」

 ソフィーにはやや大きめの絵里香のトレーナーは半脱げ状態であり……

 大事な所が見えそうで見えないという、悩ましい姿で気持ちよさそうに寝ているソフィーを呆然として見ている僕であった。


 「まぁ、やましい事は何もしていないし」

 「寝ボケて人のベッドに入り込んだだけだな」

 絵里香のいつもの姿に慣れていた僕はソフィーの悩ましい姿に別段取り乱すこともなく冷静だった。

 そのまま気にする事も無くソフィーを起こさないよう気を付けながらにベッドから出て一階のリビングへと向かう。


 リビングに入ると昨日、僕がソフィーのために用意した酒の肴を父が食べている。

 「おっ兼次か……」

 「あのお嬢さんはどうしている」

父は僕にソフィーの事を聞いてくる。


 「まだ、寝てるよ……何か食うか」

僕がそう言うと父は首を小さく縦に振る。


 冷蔵庫の中から冷凍してあったご飯をレンジで温め、お茶漬けの素を振りかけ、インスタントの味噌汁にポットのお湯を注ぎ、納豆と漬物を添える。

 簡単なものだが父はこれが大好きである。

 お茶漬けと味噌汁を啜りポリポリと漬物をかじる。

 最後に納豆を残ったお茶漬けの中に投入しズルズルと下品な音を立てて完食すると礼を言いリビングを出ていった。


 同じ物を僕も食べ終わり、食器を片付けていると絵里香がリビングに少し慌てた様子で入ってくる。

 

 「兄さんっ! ソフィーさんがいないんだけど」

 「もう帰ったのかな……」

 絵里香は慌てた様子で問いかけてくる。

 

 「ああ、ソフィーなら僕の部屋で寝てるよ」

 「起こしてきてくれるか」

 「昼飯、なんか適当に作ろうか」

 僕は何事も無かったように言うと絵里香の顔が引き攣り青くなっていくのがわかる。


 「にっ兄さん……まさか……」

 絵里香は真っ青な顔で声を震わせながら僕に言う。


 「絵里香……おまえ今、エッチな事想像しただろう」

 僕は目を細めてそう言うと青かった絵里香の顔色が今度は赤くなっていく。

 「寝ボケて間違えて入ってきただけだよ」

 僕がそう言うと絵里香はホッとしたような表情になる。

 "絵里香でもそんな事(エッチな事)考えたりするんだな……"

 恥じらいの欠片も無い我が妹の、らしくない反応に僕は少し安心した気持ちになる

 「もうすぐ昼だが飯はどうする」

 などと思いながら絵里香に昼飯の事を聞く。


 「私は何でもいいけど……」

 「そうね……ソフィー連れて近所の古民家カフェなんてどう」

絵里香はそう言うと僕の方を見る、何故なら僕が和泉家の財政管理をしているからである。

 

 「いいね!そうするかな」

  僕が同意すると絵里香はニッコリと笑い僕の部屋で寝ているソフィーを起こしに行くのであった。

 「オヤジにも声かけてくるかな……」

 僕は父に声をかけるために仕事場(鍛錬所)に入るとムッとする熱気に包まれる。

 "仕事中か……"

 "これは、無理だな……"

 父に声をかけたが思った通りに手が離せないので行けないと答えが返って来た。



 絵里香とソフィ-、そして僕の3人は近所の古民家カフェに向かって田舎道を歩いている。


 今は、寂れた田舎道だが江戸時代の頃は江戸に通じる主要街道の一つであった。

 その頃の名残が随所に残り、今ではその古い町並を見に観光客が訪れるようになっている。


 その一角に、父の友人がやっている古民家カフェがあり、家族と時々食事に行っている。

 本職は"木地師"なのだが……それだけではやっていけずに古民家カフェも経営しているのである。

 (盆や椀などの木型を作る職人である)

 父は刀の白鞘なんかを作ってもらっており、交友があるのである。


 「Gut…… いいわ……」

ソフィーは小さな声で呟く

どうやら絵に描いたような日本の古風な街並みに感激しているようである。


 古民家カフェに入ると、顔見知りの小母さんが接客に来る。

 そして、見覚えのないソフィーの方を見て少し戸惑っているのが分かる。

 「外国の友達かい……」

 小母さんさは、僕と絵里香に問いかけてくる。


 「まぁね……」

 僕がそう答えてからソフィーの事情を説明すと小母さんはニッコリと微笑む。

 すると、ソフィーもニッコリと微笑んだ。

 メニュー表と熱いお茶を入れてくれる。


 メニュー表をマジマジと見てソフィーが悩んでいる。

 「Hey, Kanetsugu... ねぇねぇ、カネツグ……」

 「Was würden Sie empfehlen... 何がお勧めなの……」

 ソフィーは僕に尋ねてくる


 「この店は"鰻"が美味いよ」

 「Gegrillter Aal」

 僕がソフィーにメニュー表を指さして言う


 「ウ・ナ・ギ……Aal……」

 ソフィーはメニュー表の鰻の蒲焼のサンプル写真をジッと見ている

 どうやら、真剣に悩んでいるようだ……

 「ist es wirklich lecker ホントに美味しいのよね」

 僕と絵里香に問い直す

 「Wenn ja ... werde ich auch ... それじゃ……それにするわ……」

 少し不安そうに言うのであった。


 何故なら、ここの小母さんは静岡県の出身で実家が鰻屋なのである。

 実家の仕事を手伝っていたので、本場仕込みのその美味さは地元民なら誰もが知っているほどであるのだか……

 残念なことに当然、それなりの値段であり安くはない……3人前で諭吉君が1人が飛んでいくのだが……


 僕は躊躇う事無く、鰻の蒲焼を3人前を注文すると熱いお茶を口にする。 

 「はぁ~温まるな……」

 僕は小さな声で呟くと絵里香もソフィーもお茶を口にして一息ついている。

 小母さんの出身地の静岡はお茶の名産地なのでもある……

 当然、お茶も鰻と一緒に実家から仕入れてもらっているで美味いのである。


 僕は、ソファーに聞いておかなければならない事がある事を思い出す。

 「ソフィー、帰りの飛行機の予約は出来たのか」

 僕がソフィーに問いかける。


 "Ich habe eine Reservierung vorgenommen, morgen werde ich vom Flughafen Narita zurückkommen."

 「予約したわ、明日、ナリタ空港から帰るわ」

 "13:48 Uhr Abfahrt..."

 「午後1時48分発よ……」

 ソフィーはそう言うと少し寂しそうな顔をするのであった。


 「長旅だな、フランクフルトで乗り換えるのか」

 僕が問いかけるとソフィーは小さく頷くのであった。

 「そうか……」

 母の実家に行く時と同じ航路なのだなと思う僕であった。


 30分ぐらいすると鰻が運ばれてくる。

 「……」

 ソフィーは目の前に置かれた鰻の蒲焼を無言でジッと見ている。


 「どうした……食わないのか……」

 僕がそう言うとソフィーが絵里香の耳元で何か言っている。

 すると、絵里香に説得されたのが箸を持とうとするのだがどうも上手く持てないようだ。


 "そう言う事か……"

 ナイフとフォーク、スプーンに慣れた外国人は箸を使えない事が多い。

 僕は小母さんに頼んでナイフとフォークそれにスプーンを持ってきてもらった。


 "Danke... Kanetsugu..."

 「ありがとう……カネツグ……」

 ソフィーはニッコリと笑ってそう言うと鰻の蒲焼を口にする。

 「"Es ist so lecker!" 凄く美味しいっ!」

 そう言うと物凄い勢いで食べ始めるのであった。

 僕と絵里香はそんなソフィーを微笑ましく見ているのであった。


 食事を食べ終わった後は、ソフィーの望みもありこの辺りを散策してから地元民が経営する物産店で買い物をして帰路に就くのであった。



~ 思わぬ出会い…… 突然の訪問者 ③ ~


終わり




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ