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女神は誰にも微笑まない  作者: ゆっくりな人
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プロローグ

 一つ話をしよう。

遠い昔から、今も続く長い長い神話。

自分が作った「人間」という名の実験動物を愛し、そのため神と戦うことになった、一人の女神の話を、、、


 

 この話は神々の住まう世界にある屋敷の一室から始まる。その部屋は、天井が高く照明が無かったが、何か力が働いていているのか、とても明るかった。その部屋の中央には円卓が置かれ、六人の男女が座っていた。その中の一人の男が正面に座る一際豪華な服を着た女性に険しい顔を向けて問いかけた。

「どうするおつもりですか?」

女性が問い返す。

「どうする、とは?」

「人間たちのことです!」 

男は女性の一言を聞いて、更に顔を歪めて大声で言った。

「奴らは、あなたの期待をことごとく裏切り、ただ自分の欲を潤す事だけに全力を尽くし、そのためには同族を殺すこともいとわない、そんな奴らだ!!何度世界を作り直しても必ず同じ結果になる!もうこの実験は無意味だ!今すぐ辞めるべきだ!!」

ほかの四人の視線が我が意を得たりと女性に注がれる。静寂が場を包む。業を煮やした男が何かを言おうとしたとき、女性が口を開いた。

「…わかった」

男が顔をほころばせた。

「では!!」

「だが一つ条件がある」

男の言葉を遮るようにして、女性は言葉をつづけた。男があからさまに顔を赤くし、また何か叫ぼうしたとき

「して、その条件とは?」

また男の言葉を遮るように男の隣に座る老人が質問を投げかけた。

「誰かを人間の世界に送り、観察・報告させその報告を受けた後しかるべき対応を取る。これが条件だ。」

「ほう、では誰を監視員として人間界に送るのですか?」

女性は少し俯き覚悟を決める多様に数秒沈黙し、そして言い放った。

「私が行こう。人間を作ったのは私だ、だからこそ私が行くべきだ。」

彼女の一言に多くの反応があった。驚きを隠せずもう一度怒鳴ろうとする者、愚かだと薄ら笑うもの、哀れみの表情を浮かべる者などがいたが誰一人として声を出すことは無かった。

その日の集会はここで終わった。


翌朝、昨日怒鳴り散らしていた男が泣きそうな声音で報告した。

「何故…あなたが行くのですか…!あなたが行かなくともいいではありませんか!なのに…何故……」

「いやなに、人間の世界に一度行ってみたいと思っていたからな。それに、」

「それに、なんですか…?」

女性は、何かを眩しいものを見るように遠くを見ながらつぶやいた。

「もう一度、期待してみたいんだ。人間の可能性に」

「期待するだけ無駄です!!奴らは、我々の期待をことごとく裏切ってきた!それは今までの実験結果を見ればわかることだ!それなのに、なぜあなたはそこまで人間たちに期待ができるのですか!!」

「おまえ、ちゃんと見てたのか?人間たちのこと。」

「え?」

「どうせお前のことだ。実験結果だけ見て実物は見たことすら無いだろ」

「当たり前です!!結果など火を見るよりも明らかだ!!」

「ちゃんと見てやれよ。中には私たち神々に匹敵するようなやつもいるんだぜ。」

だんだんと女性の周りが光り始める。人間界への転送が始まったのだ。男はあわてて言った。

「我が主よ!!人間界では身分がばれぬよう、あなたの力の大半は封印されます!お気をつけてください!!」

「はいはい、わかったよ。」


「あぁ、それともう一つ」

女性は笑いながら言った。

「今の私の名前は"ユキ"だ。もう我が主何て呼んでくれんなよ。私のことはユキと呼べ。」

そういった直後に転送が終わり女性の姿が消えた。

「お気をつけて、我が主、いえ、ユキ様。」

男は自分一人だけとなった部屋で、小さくつぶやいた。

作者の趣味全開な小説です。

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

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