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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
超能力者開発指数(PKDI)。
62/289

学園長殿

「生徒証を」

「ほらよ。」

イリイチと書かれた生徒証を渡す。認証を済ませると、学園長室に案内された。扉をノックするし、中に入る。

「失礼しまーす。イリイチです。」

「久しぶりだなイリイチ君。東京では散々悪事を働いたらしいじゃないか。私が学園長ではなくては君は遠い昔に退学(クビの上で逮捕)になっているぞ。」

「逮捕ねぇ。まぁその通りですな。50億円叩いて買った生徒を日本政府みたいな腰抜け共に逮捕させる訳にはいかんでしょ。」

互いに自らの立場を認識する。今までの悪事からしてイリイチが逮捕されない理由は学園が手を回しているからであって、学園が彼を守っているのは50億円の生徒をそう簡単に手放すわけにいかないからだ。そんな茶番劇を先に終わらせたのはイリイチであった。

「この子、見覚えありませんか。横浜校に対抗するために東京本校が極秘に接触していたもう1人のシックス・センス。イリーナです。」

イリイチはイリーナの肩を軽く叩く。イリーナも切り出していく。

「うん。東京にいたのは事実だよ。学園にいたのもそう。ロシアから亡命して日本に2年間ほどいたの。」

学園長はなんとも意味ありげに笑った。その笑顔には、非常な策略があったのだろう。

「そうか。この子がイリーナか。東京本校は今大騒ぎしている。あと少しで契約できたであろう生徒が失踪したとな。つまりは…!」

「つまりはそうです。イリーナは横浜校が交渉権を得ました。他の11校を出し抜いて、ドラフトで当たりくじを引いたのは貴方です。」

「大変結構!細かい話は後で詰めるとして、仮契約をしておこう。契約金も支払おう。」

学園長は瞬時に状況を理解した。イリイチがイリーナというジョーカーを手に入れたこと。それを守るために学園の力が必要なこと。そして学園当局においても彼女のことは喉から手が出るほど欲しい存在であること。全ては順調だ。学園はさらに飛躍する。もう2度とお荷物校とは呼ばせない。

「制服も用意してやってください。俺は女の子が何を着るかなんて分からないんで。んじゃ、イリーナ。仮契約を済ませようか。」

契約金は25億円。学年は中等部1年。扱いは極秘。学年順位は非公表。それに加えて護衛も付けさせる。完璧な契約だ。

「学生証はおいおい発行する。イリイチ君。君の隣部屋は空き部屋だったな。イリーナさん、貴方にはそこで暮らしてもらおうか。」

「わかったー。」

「じゃ、失礼しましたー。」

学園長室を出ると、そこには義経と武蔵がいた。

「ちっす。先輩。」

「やっぱお前1回やった方がいいかもな。」

「俺と先輩の関係に余計な礼儀なんて要らないでしょ。ほら、イリーナ、もう時期いなくなるどうでもいい先輩だ。挨拶してやれ。」

「こんにちはー。」

義経は怪訝な顔になる。

「このロリコンめ。殺戮だけじゃあなりやまずに、幼女にまで手を出すとは。」

「ちげぇよ!どいつもこいつも俺のことをなんだと思ってんだよ。」

「殺しのジョーカー。サイコパス。快楽殺人鬼。さらにロリコン。」

「ベリヤかよ。言っとくがハゲでもないし、見苦しい体型でもねぇからな?」

他愛もない会話をしていると、イリイチはふと思い出したかのように話し始める。

「そういやさ、生徒会も改選だろ?次の会長は誰になんの?先輩が留年(だぶ)ってもう1回やるの?」

「今のところは高橋かな。まぁ学年順位1位の肩書きは伊達じゃない。一応誰でも挑戦可能だが、この学園の頂点だ。半端者には務まらねぇ。」

「そんなこと言って義経くん、仕事殆ど俺に投げてたじゃない。」

「俺の時間は貴重だからな、致し方ないのさ。」

弁慶の突っ込みにボケで返す義経だが、実際のところ生徒会会長というのは権限が大きい。だからこそ強くないと勤まらない。その点で学年1位の肩書きは有効だ。対抗馬がいるとすれば学年1桁の奴らだろうが困難に達してもへこたれずに進んでいく姿を義経は買っていた。()()()()()()()もう確定している。

「この時期はいつも何かが起こるからな。まぁ楽しみ給えよイリイチ。お前はまだ学園の異常さを知らない。」

意味ありげな言葉はイリイチの中で少し残ったのであった。

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