強者の証と弱者の証―6
公園から路地裏を抜け繁華街に出ると、若者を中心とした人々の喧騒が大きくなった。その音を煩わしいとさえ思う俺の心境なんて構いもせず、街は今日もいつも通りに回っている。休日の暑苦しい人混みをかきわけながら、一人先を歩く黄地の後ろを俺と白崎は何の気なしについて歩く。
黄地が目指した先にあったのは公園から十分ほど歩いた場所にある大型ショッピングモール。駅やバスターミナルが近く、アクセスしやすい立地とあって休日の人だかりが収まる事を知らない。
何か所もある入り口の一つ、自動ドアの手前で黄地は立ち止まる。
「こ、ここから入ればいいのでしょうか……?」
「来た事ねーのかよ。別にどっからでもはいりゃあいいんだって」
「そ、そうなのですか? あはは、流石黒屋くんは都会慣れしていますね」
「別にここ都会っつー都会でもねぇし、田舎にも小さめのショッピングモールなんてあるとこはあるだろうし、俺は別に何にも慣れてないからな?」
今度は俺が先頭に立ち自動ドアを我が物顔で通り過ぎる。ドアが開けた瞬間、外気で火照っていた顔が涼しい空気で一気に冷やされた。
「お前ここに来てみたかったのか? 確かにここだったら大抵のもんは買えるし見れるし触れるし、まあその辺の奴らにとっちゃ遊び場っちゃあ遊び場だけどよ……何してんだ?」
入り口を抜けてすぐにあったのは家電量販店。冷たい空気を感じながら振り返ってみると、キョロキョロと店内を見回している白崎と黄地の姿があった。
「すごい。こんなに物があるなんて」
「はわわわわ。何と煌びやかな世界なのでしょうか。腰が抜けてしまいそうです」
どちらも挙動からして初めて来たようで、一緒にいて恥ずかしくなってくる。
「せっかく友達を連れて行けると言うのですから、この若者たちの集うショッピングモールを目的地としてみたのですが……私にはまだ早かったでしょうか?」
「別に小学生でも来れるから安心しろよ……」
いかにこの二人が世間慣れしていないかがよくわかる。あまり目的もなく寄る場所ではないが、流石の俺でも暇つぶしに中を覗いた事はあった。
家電量販店を抜け、吹き抜け構造の広い構内を見渡せる場所で立ち止まった。若者向けのアパレルショップやアクセサリーショップ。CDショップ等の様々な店がずらりと並んでいる。
「さあ黄地、どこへ行く?」
「と、とりあえず……」
俺の質問に対し、店内の様相に圧倒され続ける黄地は意を決してこう答えた。
「お茶でもして落ち着きましょうか……」




