転校生の正体
「はーい皆さん!これから転校生を紹介しまーす。」
ノゾムのカップリングが成立したひの翌日、朝のホームルームにて担任の先生から転校生の紹介が行われた。
(おー。ついにご登場かー。どんな人だろう。)
「どんな人かな?……知ってる人だけどね。」
っとノゾムが聞いてきた。ついでに本人はかなり抑えたようだが、付け加えた語尾の部分まではっきりと聞こえた。やけに顔がニヤついているしな。
「はぁ。」
俺は深くはないため息を吐いた。
「なんだよ。分かっちまったのか?」
「お前のせいでな。」
一応楽しみにしていたのに、余計な真似をしてくれたな。今度こいつの誕生日にひ、んん。今のは無しだ。ガキだな俺も。
「じゃあ入ってー。」
おっといよいよ転校生の登場だ。
先生が転校生を呼び出すと1人の女の子がクラスに入ってきた。
「えーと、ユミカです。これからよろしくお願いします。」
これまでの話から予想できる展開と名前、ノゾムの態度を見てお気付きだろう。この転校生の正体はユミだ。
しかし随分と見た目が変わったな。以下でご説明しよう。
before
身長147cm
体重 聞かないのが常識
血液型 AB型
クリクリと大きい目が特徴。髪型は頻繁に変化するがあまり伸ばさない主義らしい。正直者で照れ屋。褒められた時も怒った時も赤面するところが、特にロリコン男子から人気を集めている。
after
身長 163cm程
体型は前よりスラッとしている。以前より細長くなった、という言い方が分かりやすい。
顔つきにいたってはもはや以前の面影はなく、大人らしい顔つきとなった。明るい笑顔よりも怪しい笑顔の方が似合いそうだ。
こんな感じだ。この2週間程でまるで別人のように変わっていた。
一体何があったのだろう。空の上でミスターPさんの作ったカッコいい名前の部屋ででも修行していたのだろか。
「えーと、ではユミカさんはあちらの席にお座りください。」
「はい!」
先生に指示を受けてユミ、いやユミカはこちらに向かって歩いてきた。ちょうどユミカがノゾムの席の横を通りかかった時、ユミカとノゾムはお互いに頭を下げた。
訓練期間が少し重なっているからな。交流する場面があったのだろう。
ユミカは椅子に腰を下ろすと俺の方に笑顔を向けてきた。
「ではこれでホームルームを終わります。」
この日は珍しく先生の無駄話が無かった。明日は嵐だな。
ホームルームが終了して自由時間を迎えると、右側から話しかけられた。
「お久しぶりです。先輩。」
「あー。お久しぶり。結構でかくなったけど、声は変わってないのな。」
俺がそういうと、ユミカは顔を赤らめた。
「な、何言ってるんですか!?セクハラです!」
「あーいや、身長の話をしているんだが。まぁそっちもそれなりにでかくはなったな。」
見た目は変わっても中身は変わっていないようだ。
その後、俺は気になることをいくつか聞いてみた。
まず、ノゾムとの関係だが自らのエネルギーをコントロールするという共通の目的を果たすために、訓練や実験、食事などアジト内ではほとんど一緒に過ごしていたらしい。
総帥もその2人を俺とチームを組ませようという腹らしい。ノゾムとユミカのチームワーク向上のため、協力戦を多く行ったのだと言う。
そしてユミカの短時間の変わりようだが、あれはエネルギー開花のせいらしい。以前のユミカは自分のエネルギーを体外に引き出すほどの器の大きさでは無かった。そのためにアジトで研究を重ね、あらゆる実験を行った結果、器の大きさを大きくすることには成功したのだが、それに比例して体の方も成長してしまった。
そして何故1度学校を離れてもう1度、今度は2年生として転校してきたのかと言うと、俺達3人がチームを組んでもらうと、全員が側にいた方が色々と都合が良いだろうと思ったかららしい。
まぁ今のこいつの見た目なら他の生徒にバレることもないか。
「よし。事情はわかった。つまりお前らは総帥に俺とチームを組むように言われたんだな?」
「「あぁ。/ はい。」」
俺がそうたずねると2人は同時に答えた。それもどこか嬉しいそうに。
「分かった。2人共、今日の放課後ちょっと付き合え。」
俺はそういいながら1限の授業が始まる前にトイレに行こうと、席を立つ。するとユミカに呼び止められた。
「待ってください!それはどう言う」
「後で説明する。それと、お前への質問タイムはまだまだ終わってないぞ。」
ユミカは「?」と言いたげな顔をしたので、俺はユミカの視線を教室の中に誘導した。
その視線の先にはユミカのことを知りたくて集まってきたクラスメイト達がたむろっていた。
「そう言うことだから頑張れよ〜」
質問地獄は転校生のさだめだ。
〜4限目〜
今日の4限目の体育はハンドボールをやった。ゲームは、俺とノゾム、それに友人3人組対ユミカ率いるガールズ軍団で行われることになった。
うちの高校の体育はたまに男女合同で行われることがあるのだ。
そうして、両チームがポジションに着くと試合開始のホイッスルがなった。
こちらのチームのゴールキーパーはノゾムだ。非常に心強い。だから俺は安心してオフェンスに回る。女子軍は素早いバス回しで少しずつゴールに近づいてきた。なるほど、息きはぴったりだ。だが、
「よっと。」
俺は女子Aから女子Bに向けられたパスをかっとし、ゴールを奪った。すると、
「信じてたぜシュウヤ!」
友人の1人がゴール前まで上がっていたので俺はその友人にバスを出した。
「ナイスバス! オリャーー!」
友人は見事なジャンプシュートを決めてくれた。
「ふーん。」
すると側にいたユミカの表情が変わった。こいつも負けず嫌いなんだろうな。
今度は女子軍の反撃。細かいバス回しから、ボールはユミカへと渡った。
するとユミカは1歩で8メートルほどジャンプして前へ突進した。二歩で16メートル進み、そこから強烈なシュートを放った。
ユミカも常人を遥かに超えた身体能力を手に入れたようだな。しかし
「ごめんね。」
ノゾツはあっさりとそのボールをキャッチした。
「先輩!今のはありですか!?」
とユミカが不満げな顔で俺に聞いてきた。
なぜならノゾムは能力を使い、放たれたボールが自分の手元に来るに連れてその威力を徐々に殺していきキャッチする直前で完全に止めてしまったからである。
ボールがキャッチされる前に動きを束縛されでもしたら、ボールは空中で急停止し、地面に落ちてしまう。それは大ごとだ。他の生徒の顎が外れてしまう。ノゾムの束縛能力を人にバレないように使いこなすテクニックだ。
「あれはずるくないですか?」
「ま、まぁルール上に異能力を使ってはいけないとは書いてないし。」
俺がそういうとレミアは顔を真っ赤にさせて悔しがった。
その後はノゾムの提案で異能力は禁止となったが、俺がオフェンス、ノゾムがゴールキーパーというチートチームに女子が叶うはずもなく、点差はどんどん開いていった。
<試合終了!>
教員から試合終了の合図が出された。結果は男45ー女8となった。
俺達の失点は全てユミカによるものだった。得点の方はというと、なんと俺は25しか得点していない。他の友人3人組もかなり活躍してくれた。
授業時間も終わり教室に戻ろうとすると、前の廊下でユミカの姿を見かけた。
少し赤面しながら膨れている。
(あいつあんなに負けず嫌いだったのか)
俺はユミカに見つからないようにそっと教室に入った。
その後ユミカがクラスに溶け込むのに時間はそうかからず、あっという間に放課後を迎えた。
今朝俺が言ったように、俺はノゾムとユミカを連れて学校を出た。そのまま俺達は各自家に帰宅することはなく、山の奥深くまでやってきていた。
「どこまで行くんですか?」
「もうすぐそこだ。」
そうして山を突き進むと1つの洞窟が見えていた。
「ここだ。暗いから気をつけて。」.
その洞窟は地下へとつながっており、その中には広大な部屋が存在していた。
「シュウヤ、これは一体」
「あー、ここはツルミさんの作った隠れ地下室だ。俺も小さい頃はよくここで特訓したものだ。。」
「ツルミ先生が!?すげーな。」
その部屋はツルミさんの自信作らしく、大抵の衝撃なら部屋を覆うエネルギーが守ってくれるらしい。
「なんで私達をここに?」
「あー、お前達の強さや能力の確認と、俺とチームを組んで大丈夫かを判断するためにな。」
「ここで戦うってことか?」
ノゾムは飲み込みが早くて助かる。俺が相手をするのは基本的にレベルの高い魔物だ。そんな俺と行動を共にして大丈夫なのかを確かめたい。
「そうだ。お前らの2対1でいいぞ。」
「わかりました。やります!」
「本気で行くぜ!」
2人ともいい顔つきになって気合十分という感じだった。俺はバッグを下ろし、戦闘モードに入る。
「よし!かかってこい!」




