〈第九話 再会〉
明けましておめでとうございますm(__)m
それぞれの行き先が決まったので、早速、私たちは商人の所に向かった。
商人は荷馬車に積み込んでいた荷物の仕分けを、部下に指示している。
遠目でも分かる程、キラキラ光っている金髪の髪。その髪に負けてない華やかな容姿をした男性を見て、私は嬉しくなった。思わず、大声で男性の名前を呼んだ。
「ゼローーーー!!!!」と。
私の声が聞こえたゼロは作業の手を止める。そして、私たちを見て満面な笑みを浮かべると、軽やかな足取りで小走りに駆け寄って来た。
「ムツキ!!!!」
満面な笑みを浮かべたまま、ゼロは私をギュッと抱き締めた。
胃が締め付けられる。さっき食べたばかりの朝御飯が……
「ゼロ!! 苦しい……」
私の必死な訴えに、ゼロは慌てて抱き締めていた腕を緩める。
危なかったよ……マジで。
「ごめん、ムツキ。久し振りで、嬉しかったから歯止めがきかなかった」
謝る様も王子様だね。神妙な顔をして謝るゼロを見て、そんなことを思ってしまう。ちょっと不謹慎かな。でも、ゼロって容姿は王子様そのものなんだよね~~。
それで、商業ギルドのギルマスでもある。そしてゼロ自身、薬屋を何軒も営んでいた。見た目とは全く違い、かなりのやり手で頭が切れる人物だった。
「ほんと、久し振りだよね! 王都にあるゼロのお店に顔を出したんだけど、いなくて。キョウさんに渡していた物、受け取ってもらえた?」
キョウさんはゼロの懐刀的存在だ。ゼロがあちこちと移動して、店を留守にしていることが多いので、代わりに数店舗ある薬屋をキョウさんが統括している。
雰囲気と容姿から、真面目でかたぐるしくて、少し怖い(目付きが)印象を抱かれやすいが、意外とそうでもない。仕事が絡むと容赦ないけどね。
私が商業ギルドに入った時、ポーション等の薬を作った時は、その数本をゼロの問屋に卸す約束をしていた。
だから、洞窟のダンジョンに寄る前に、私は皆と一緒に王都のゼロのお店に顔を出した。
特上ポーションと初めて作った入浴剤を、キョウさんに渡す。
因みに、特上ポーションは三本で金貨十五枚に。おまけで渡した入浴剤は、五袋で金貨一枚になった。お金はいらなかったんだけどね。
それから、生成に成功したエリクサーは、さすがに売らなかった。蘇生草のことも内緒だ。訊かれても答えようがないしね。
「受け取ったよ。さすが、(僕の)ムツキだね。入浴剤も使わせてもらったよ。とっても良かった。どうやって作ったの?」
「あれはね~~」
作り方を説明しようとした時だった。ケイが私とゼロの間に割って入った。
「悪いが、その話は次の機会に。ゼロ、別に荷馬車を二台用意出来るか?」
そうでした。すみません。
「いきなりだね。……まぁ、出来ないことないけど」
「じゃ、頼む。至急用意してくれ」
「分かった。明日の早朝までに用意しとく。勿論、別料金頂くよ」
さすが、商売人。出来ないとは言わない。
「ああ、分かった」
「いいよ。ゼロ」
当然、自分の荷馬車の分は私が払うつもりだ。
「ムツキが使うの?」
「うん。一台ね」
「そうなんだ」
そう言うと、ゼロは黙り込み何かを考え込む。
「ゼロ?」
名前を呼ぶと、ゼロは笑みを浮かべ「何でもないよ」と答える。そして、普通に仕事に戻った。
ん? 何か、引っ掛かるんだけど……気のせいかな?
首を傾げる私の隣で、ケイとシオンは「「まさかな……」」と呟く。反対に、シュリナたちは大きな溜め息をついていた。
お待たせしました(〃⌒ー⌒〃)ゞ
最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m
2018年も宜しくお願い致しますm(__)m




