〈第八話 作戦会議〉
翠の大陸と黒の大陸との国境沿い。
ハンターたちがいるベースキャンプの中で、一番大きなテントの中に私は皆と一緒にいた。シオンとケイも一緒だ。
私は二人と共に、魔物討伐の作戦を練っていた。人数の振り分けと討伐場所の担当決めだ。
まぁ、私はおまけだけどね。一応、ゴールドランクだからかな。
ある程度配置を決め終えると、ケイはその種類をギルドの職員に手渡した。
ここまで出張してるんだ……
「ところで、ムツキ。俺とシオンは王都に向かう」
ギルドの職員が出て行くと、テントに残ったのは、私とシオンとケイの三人だった。
ケイは地図で場所を指差しながら告げる。
何故? とは訊かない。その事で、私が察していることは、彼らに伝わった筈だ。
にしても、王都かーー。
たぶん、ジェイの命を受けてるんだろうな。でも、ここからはかなり遠いんじゃない?
「向かうと言っても、ここから王都まで徒歩で行くの? 魔物を討伐しながら」
「まさか! 徒歩だったら冬が来るよ」
ケイが笑みを浮かべ答える。
「ケイが以前、王都の近くの村まで行ったことがあるからな。そこまで飛ぶつもりだ。そこからは徒歩だな。それでも二週間は掛かるか。荷馬車があれば、一週間程で行けるんだがな」
「さすがの俺でも、荷馬車込みの転移魔法は無理だ」
ケイが苦笑いを浮かべる。シオンはチッと舌打ちした。
二人を見ながら、私は考える。
一週間と二週間は全然違うと。肉体的負担も精神的負担も。
まぁ、この二人なら平気かもしれないけど。
でも……魔物を討伐するだけじゃない。おそらく、彼らはジェイと獣王の命を受けてる筈だ。
偽国王陛下を玉座から引きずり降ろすっていう命をーー。
ケイとシオンがギルドを統括するゴールドランクとはいえ、その負担はかなりのものだと思う。そんな彼らに、私が出来ることといえば……
「……ケイ。その村は何処にあるの?」
「ここだ」
ケイが地図の一点を指差す。
ここから、結構離れてるけど……出来ないこともないかな。グリーンメドウから王都まで飛べるし。転移魔法のレベルも上がってる。
「私が荷馬車を運ぶよ」
「「ムツキがか!?」」
ケイとシオンが驚く。ハモリながら。仲良いよね。
「うん。最初、三人で行ってから、私一人でここに戻って来て、今度は荷馬車と一緒に飛ぶよ」
「……出来るのか?」
ケイが訊ねる。
「たぶん、大丈夫」
ケイとシオンは少し躊躇する。転移魔法の危険性を考えると仕方ない。少し考えると、二人は私の顔を見詰め決めた。
「頼めるか?」
「任せて」
私はにっこりと微笑んだ。
「それで、ムツキは森に向かうんだろう」
「うん。でもね~~場所がね……」
「遠いのか?」
シオンが尋ねる。
「うん。王都よりも遠いらしい。荷馬車でもちょっと無理かな。ヒスイが立ってる位置にあるらしいから」
私のセリフに、シオンとケイは眉をしかめる。
だろうね。私も正直頭が痛い。だって、黒の大陸の外れ。王都から最も遠い場所に森があるのだから。皆、黙り込んでしまう。
「……中継点があればいいんだけど」
重苦しい沈黙を破ったのは、ココだった。
「中継点?」
「ほら、ホルンの外れの森から、ビャッコ様の聖域に直接移動したよね。あれと同じのがあれば、大幅に短縮出来るんじゃない?」
ああ!! なるほど、その手があった!!!!
「ココ天才!!」
私はココをギュッと抱き締めた。
「シュリナ、ヒスイ。中継点の場所知ってる?」
ココを抱き締めたまま尋ねる。
だが、シュリナとヒスイは答えずに唸っている。厳しい表情をして。
シオンやケイにはドラゴンの表情は分かんないだろうな。二人とも若干、引き気味だし。
契約を交わしている私には、ある程度だが分かる。怒っているように見えるが、そうじゃない。シュリナとヒスイは考えているのだ。
「(一応)あるんだけどな……」
「……果たして、機能しているのか」
難しい顔をして、ヒスイとシュリナは答える。
「機能していない可能性があるの?」
「その可能性は大いにある。ゲンブがかなり弱っておるからな。そこまで、力が回っておらぬかもしれん」
かなり弱っている……
シュリナはオブラートに包んで話している。何となくだが分かった。本当は、非常にヤバい状態なんだ。自然と、私も厳しい表情になる。
「場所は分かる?」
「ここだ」
ヒスイが地図の上を移動する。
国境沿いからわりと近い。荷馬車で五日程の距離だ。決めた。
「私たちはこの場所に向かうわ」
大変お待たせしましたm(__)m
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございますm(__)m
次回は、年明けの更新になると思います。
今年一年、ありがとうございましたm(__)m




