〈第四十一話 この命に代えても守ります〉
ーーその日。
眩いまでの緑の光りが、一本の柱となって、天に向かい一直線に走った。
それは、ビャッコ様の本体が、眠りから覚めたことを意味している。
二つの封印が解けたのだ。
無事、ヒスイ本体の封印を解いた私は、洞窟前で待っていた皆と長老と巫女長の少女スイと共に、眷族が棲む村へと足を運んだ。
本当なら、このまま転移魔法でホルンの街に戻る予定だったけど、さすがに、それは長老とスイに懇願され止めたからだ。
「眷族の皆に、ビャッコ様のお姿をお見せ頂けませんか。長い間、この時を待ちわびていたのです」と。
尤もだと思って、私は村へとやって来た。
村の一番奥に、他の家屋より少し大きな建物の前に、一人の若い女性が待っていた。
「…………ビャッコ様」
感極まった女性は、ボロボロと涙を流しながら膝を地面に付く。
「ムツキ。ここの風呂は薬風呂だぞ」
ヒスイの声に弾かれるように、女性は立ち上がる。涙を乱暴に拭うと、私たちに頭を下げ出迎えの挨拶をした。
「兄上、お帰りなさいませ。さぁ、護りて様、お疲れでしょう。湯の用意が整っております。汗をお流し下さいませ」と。
「お風呂~~!! ムツキ一緒に入ろう!!!!」
やけにテンションの高いミカが、鼻息荒く私の腕を掴むと、妹さんに詰め寄った。
(妹さん、引いてるよ。私でも引くよ)
それでもお構いなしに、ミカは妹さんに詰め寄る。その距離は近い。自然と私との距離も近くなる。妹さんと目が合った。すぐに目を逸らされる。
「今すぐ案内して!! さぁ、今すぐ!!!!」
「ヒッ!!」
下からミカの顔を見上げた瞬間、私は短い悲鳴を上げてしまった。
血走った目で詰め寄る姿は、さすがの私も身の危険を感じた。
逃げ出そうにも、掴まれた腕は、私が身を捩っても解けないだろう。
「ミカ様。ムツキ様が嫌がっております。手をお放し下さい」
「「「はぁ~~~~」」」
ミレイはミカに抗議し、シュリナたちは大きな溜め息をつく。
「……変わらねーな、お前は」
そんな中、心底呆れた声を上げたのは、ヒスイだった。
(変わらないって、過去背もそうだったの!?)
って、今はそんなことを考えている暇はない。
自分の貞操の危機だ。同性だけど。何か、悲しくなる……
長老とスイは呆気に取られ、傍観者になっている。ロイは論外だ。
仕方ない。
(また、シュリナたちにくどくど言われるかもしれないけど、これしか手がないよね……)
私は妹さんとミカの間に体を割り込ませ、空いた手で、ミカの弱点を握った。
途端、硬直し、ミカは掴んでいた手を放す。
私はその隙を見逃さずに逃げだした。
立ち尽くすミカと、それを羨ましそうに見ているロイを置いて、私たちは建物内に入った。
「ムツキ様。ご安心してお入り下さい。私の命に代えて、ここは死守させて頂きます」
脱衣場で、真剣な顔をしたミレイが重々しく告げる。
「別に命に代えなくても……」
「主の操を守るのも、仕える者としての役目です」
「…………そうですか。宜しくお願いします」
「はい。お任せ下さい」
私の精神ライフは赤字に点滅したまま、私は服を脱ぎ風呂場に入った。
その背後で、ミレイがセッカとナナに命じた。
「変態双子から、何としてもここを死守しますよ。分かりましたか」
「「はい!!」」
セッカとナナの可愛い声が扉越しに聞こえてきた。
「フゥ~~~~」
大きく息を吐きだす。
ヒスイが薬湯って言ってたけど、思っていたような薬草臭さは全くしない。ミント系の匂いとオレンジなどの柑橘系の匂いと、少しぬるい温度のお湯が、緊張していた体を解きほぐす。
「これって、何を混ぜて作ってるのかな?」
自分で作れるものなら、作ってみたい。薬の生成と同様に。
宿屋のお風呂はゴージャス系で、花の花びらとかを浮かべるものばかりだった。
物足りなかったんだよね。出来れば、筋肉痛とか体をケアするものが欲しかったところだ。楽しくなりそう。
「フフフ……」
自然と口から笑みが溢れた。
お待たせしました("⌒∇⌒")
ミカが暴走してましたが、何とか逃げれてよかったです(^o^;)
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




