表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

158/316

〈第三十八話 神殿〉

 


(……ここ最近、洞窟に潜ってるよね)



 今回は私一人だけど。

 皆はお留守番。

 意外なことに、シュリナもだ。



 同じ五聖獣でも、神殿内は立ち入り禁止らしい。暗黙のルールだそうだ。

 何でも、テリトリー内に、他のドラゴンが足を踏み入れるのが、もの凄く嫌らしい。正確に言えば、別の生物自体が嫌だと言った方が正しいかも。



 なので、一人でテクテクと洞窟を歩いている。光りの道の上を通っているので、道に迷うこともない。その点、安心だ。



 歩きながら、必死で、ビャッコ様の名前を思い出そうとしているけど、ここまで進んでも、私は名前を一向に思い出せずにいた。

 思い出す兆しもない。

 切っ掛けが掴めれば、思い出せるかもしれないが……。



 伊織さんから託された〈鍵〉以前の問題。



 そういえば、シュリナの名前は……確か色にちなんだ名前だった。過去世アキラは、五聖獣の名前を体色よって決めたはず。



(そもそも、ビャッコ様って何色なの?)



 翠の大陸だから、緑竜グリーンドラゴン? 

 だとしたら、緑色にちなんだ名前になる。緑を片仮名読みでリョク。

 安直過ぎるか……。思わず、自分の考えに苦笑してしまう。



 ゴールが近い。

 顔を上げると、少し先で光りの道が消えているのが見えた。



(……なるようにしかならないか)



 半分投げやりだ。



 ーー自分を信じろ。



 シュリナの言葉が頭を過る。



 信じる。



 その対極に近い所で過ごした自分にとって、それはとても難しいことだった。

 一年ほど前まで、自分の存在を圧し殺して生きてきたのだから。

 そう簡単に、自分を信じることは出来ない。



 それでも、何としても、ビャッコ様の名前を思い出さないとーー。



 私は自分に言い聞かせた。









 光りの道が、それ以上の光りに吸収されて消えた。



 私は光りに包まれる。



 そこは、洞窟の中ではなかった。

 近いのは、洞窟のダンジョンの五階層や十階層のような、セーブポイントだ。



 出口は高台だった。

 高台から見渡す限り森だ。

 端が見えない。その中央には、拓けた小高い丘が見える。その小高い丘の頂上には、一本の巨木が、天をつく勢いで生い茂っていた。



 シュリナの時とは全く違う、神殿らしからぬ神殿に、私は驚く。



 でも、翠の大陸の特徴を考えると、それもアリなのかなって思えてくる。ほんと、不思議だ。



 取り合えず、周りを見渡して、あの巨木が怪しい気がする。

 あそこに、ビャッコ様がいるかもしれない。



(だぶん……ううん、きっとそう)



 私は坂を下り、小高い丘に向かって歩きだした。



 高台から見た時は、鬱蒼うっそうとした森だと感じたが、実際はよく手入れされた森だった。



 適度に木々を伐採し、陽の光りは、苔が生えた地面を適度に照らす。

 風通しもいい。不思議なことに、ここには空気の流れがある。風も吹くし、匂いもする。

 木陰はちゃんと涼しい。じんわり汗ばむ。



(もしかして、外なの?)



 そう思えるほど、何もかもが自然だった。



 だけど、ここは外じゃない。

 それは明らかだった。だって、空には、無数の魔石が散りばめられていたからだ。



「ここまで、自然を模倣するなんて……」



 洞窟のダンジョンのセーブポイントは、どこか、人工的なものを感じていた。綺麗だったし、感動はしたが……。



 クオリティーがまるで違う。

 さすが、ビャッコ様が眠る神殿だと、私は感心する。



 マイマスイオン一杯の澄んだ空気を、胸一杯に吸い込むと、丘に向かうスピードを上げた。






 お待たせしました("⌒∇⌒")


 いよいよ、神殿に到着!!


 次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ