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〈第二十二話 一緒にいてくれるだけで〉

 


 変態双子の屋敷から脱出し、無事宿屋に再度チェックインを済ませた私たちは、遅めの昼御飯を食べに、宿屋の近くにあった食堂に入った。この食堂は、ジェイのお勧めの店だ。



「いらっしゃいませ!!」



 看板娘かな、ウェイトレスの白猫の獣人さんが出迎えてくれる。



「ジェイさん、いらっしゃい!!」



 入って来たのがジェイだと分かると、ワンオクターブ高い声で答える。ほんのりと頬を染め、駆け寄ってくるウェイトレス。



「久し振りだな、ウィン。テラス席空いてるかな?」



 ジェイの足下にいるココとサス君の姿を見て、納得したウィンは、微笑みながら「テラス席ですね。空いてますよ」と弾む声で答えると、テラス席に案内しようとした。だが、ジェイの後ろにいた私とミレイの存在に気づくと、一瞬顔を曇らせる。



「ごゆっくりどうぞ」



 椅子に座ると、モモス水が入った瓶を置き去っていく。チラリチラリとこちらを見ているのが、目の端に映る。私とミレイが、どうしても気になるようだ。



 私はモモス水を一口飲むと、ジェイの顔をマジマジと見詰めた。



 確かに、ジェイはカッコイイ部類に入る。いや、実際カッコイイ。ゼロのような美しさとは違うが、じっくり見れば整った顔をしている。でも、王子様タイプじゃない。騎士かな。それよりも、正統派ヒーローが一番似合う。精悍で……



「どうした? 俺の顔に何かついてるか? それとも、しんどいのか?」

「大丈夫。それで、この後どうしますか?」

「あの店に行かなくていいのか?」

「午前中で売り切れになるらしいから。だから、今からは無理かな」

「明日行くか?」

「いいえ。転移魔法でいつでも行けるから、無理に明日行く必要ないです」



 そう答えると、僅かに眉をしかめるジェイ。



「少しは我が儘言ってもいいんだぞ」

「十分、我が儘言ってますよ、ジェイさん。ほんと、一緒に来てもらえただけで嬉しいですから」



 微笑みながら答える私。



 流石に、この数か月色々あった。あり過ぎて、パンクしそうだった。



 生死を賭けた死闘。

 それから、課せられた使命。

 そして最後に、黒紫の契約紋の件だ。



 十四歳の自分が、背負い込みきれない重圧。



 潰されないのは、サス君たちがいてくれたからだ。でも……



「そうか……」



 そう言うとジェイは立ち上がり、テーブルに片手をつくと、身をのりだし私の頭を撫でてくれた。



 その温かさに、私は救われる。



「……ムツキ様、ジェイ様。ここは、人通りの多い場所だと認識していらっしゃいますか?」

「「私たちもいるよ」」



 ミレイは呆れ気味に、セッカとナナはビーフシチュウで口元を汚しながら、無邪気に答える。



(マジ、この子たち可愛い!!)



 だらしなく顔が緩む私と違って、ジェイは焦って座る。その顔がどこか赤いのは気のせい?



「そうだね。セッカもナナもいる。勿論、ミレイもいるしね」



 私はセッカとナナの頭を撫でる。さすがに、ミレイは撫でれないから、その代わり、ミレイに向かって私は微笑む。ジェイに撫でられて顔を緩めたのではないと、気付いているミレイは、小さな声で呟く。



「…………ジェイ様、深く同情します」



(どういう意味?)



 意味が分からない私と違って、ジェイはその意味が分かっているみたいだ。深く溜め息をつく。



「それで、この後どうする?」



 骨付き肉にかぶり付き咀嚼そしゃくしながら、今まで黙っていたシュリナが尋ねる。



「薬草採取でもする?」

「まだ陽も高いし、行きましょう」

「うん!!」



 ココとサス君の提案にのる。ジェイがこの前言っていたことを思い出したからだ。翠の大陸には、珍しい薬草があるって言っていた。



「だったら、我の仲間が栽培している薬草園に行ってみるか?」



(シュリナの仲間? ……シュリナの仲間って……まさか、五聖獣様?)



「そうだ。眷族に任せてはいるがな。ボルンのすぐ近くだぞ。明るいうちに帰ってこれる距離だ」

「ええーー!!!!」

「ムツキ、五月蝿い。で、行くか?」

「勿論、行ってみたい!!」



 弾んだ声で答える。テンションが上がった私を、皆温かい目で見ている。



 急いで食事を終えた私たちは、食堂を出ると、薬草園に向かって出発した。





 お待たせしました("⌒∇⌒")


 今回、ちょっと恋愛要素を取り入れてみました(゜∇^d)!! 一方的ですが……


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪


 

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