表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/316

〈第四十六話 意外な人との再会〉

 百話目です!!

 


 洞窟のダンジョンに潜って、五日目。



 途中、大きなハプニングがあったが、無事、私たちは二十階層に通じる通路の手前まで来た。このまま通路を進むと、二十階層だ。



「やっと、休める……」



 私は安堵から体の力が抜ける。ここまで、マジ色々あったよ。



 あれから口先だけの死にたがりさんは、無言のまま、私たちの後ろをついて来ていた。ここまでで来たら、もういいだろう。



「じゃあ、ここまでで。約束通り好きにしたら」



 私は男を解放する。どうしていいか分からず、呆然と立ち尽くす男を私たちは無視した。ここから先、生きるなり、死ぬなり、男の自由だ。冷たいようだけどね。私は思う。自分の人生は自分のもの。それをどう生きるのかは、自分次第なのだと。



 十六階層から十九階層までは〈回廊のダンジョン〉。十九階層は何故か、〈密林のダンジョン〉だった。ダンジョンはまさに、生き物のようだと、潜ってて感じていた。



 階数を進むと同時に難易度は上がる。これも、ダンジョンの特徴だ。事実、十四階層までとは違い、難易度はグンッと上がっていた。流石に、疲労困憊(特に精神面が)なので、さっさと宿屋にはいって休みたいんだけど……



 私たちは妙なところで、足止めをくらっていた。



(この奥に通路があるんだよね?)



「ミレイ。この奥にあるのはお城?」

 思わず、私はこのダンジョンの案内人であるミレイに尋ねた。



「いいえ。この奥にあるのは、通路ですよ。普通の」

「じゃ、通路の先にお城があるの?」

「城ではないですね」



 はっきりとは答えないミレイ。その声はどこか楽しそうだ。日にちが経つにつれ、ミレイの表情が徐々にだが、柔らかくなってきた。私はそれが、とても嬉しかった。



(ミレイは城じゃないって言ってたけど、城じゃなかったら、何?)



「城がないのなら、何で目の前に城門があるの?」



 城にこだわった理由。それは、王都バーミリオンの城下街に入る時に潜った城門と、同じような立派な門が、私たちの行く手を塞いでいたからだ。城門は固く閉じられている。



「魔物の侵入を阻止するために決まってるじゃろ、嬢ちゃん。もしかして、嬢ちゃんはここ初めてか。そおか。この階層にはレアな魔物がいてな、そいつが厄介で、通常は門を閉めとる。安心しな。まもなく開くぞ」



 私の疑問に答えたのは、ミレイではなかった。野太い男性の声だ。どこかで聞いた気がする。私は声がする方向を見るが、誰もいない。



(ん? あれ? こんなこと、前にもあったような……)



「あれ? ダン、どうしてここにいるの?」

 思い出すより早く、ココが声の主に話し掛けていた。



 なるほど。前にもあったはずだ。



 視線を下げると、そこにはドワーフが立っていた。あごひげを胸のあたりまで伸ばし、髪をぼうぼうと生やして、今は三角帽子を被っている、あのドワーフだ。ファンタジーの世界で、エルフと同様に欠かせない種族。



 目の前にいるドワーフの名前は、ダン。



 私が今装備している銀色のアーマーは、ダンの作品だ。彼はグリーンメドウの街の外れで、防具屋を営んでいる。因みに、双子の兄のデンは、同じ街の反対側の外れで武器屋を営んでいる。



「お久し振りです、ダンさん。……でも、どうして、このダンジョンに?」



 こんなところで、それも意外な人との再会に、私は嬉しくて頬を緩める。一瞬、ダンの目が見開く。



「久し振りじゃな。嬢ちゃんの噂はよく聞いてるぞ。ゴールドになったんだってな。ハンターになって数か月で、ゴールドに出世か! さすが、ワシのアーマーを装備するに値するハンターだ!!!! ガハガハ!!」



 豪快に笑うダンさん。素直に、私を祝ってくれる気持ちが伝わってくる。ちょっと、会話がズレてるけどね。



 それでもダンの気持ちが嬉しくて、私は笑みを浮かべる。そんな私のすぐ側から、「「笑ってる……あの、ダンが笑ってる……」」と、かなり失礼なことをブツブツと呟く声が聞こえてきた。ココとサス君だ。呟きながら、後ろに下がり距離をとっている。失礼だよ。



 ドワーフは気難しくて、交流は難しい種族だと聞く。確かにダンさんやデンさんは、豪快で乱暴なところもあるし、仕事が絡むと気難しい面もある。だけど、基本陽気で情に厚い人だと、私は思う。「「嘘だ!! どこが!?」」って突っ込む声が聞こえたが、私は完全に無視する。



「五月蝿いぞ、オメーら!!!!!」



 五月蝿い外野に、ダンは怒鳴りつける。怒鳴られて当然。



「ありがとう。ダンさんのアーマーを装備してるから、安心して頑張れるんだよ。で、どうしてここに?」

 再度、尋ねる。



「防具屋のワシが来る理由は、一つに決まっておるわ。防具の材料を狩りに来たんじゃ」



(へぇ~~。材料を狩りにって、意外にダンさんって強いんだ。もしかして、ハンターの資格持ってる?)



 私が育った世界の本の中でも、ドワーフは意外に戦闘民族だと書かれていた。あくまで、空想上の話だけど。



 でも、この世界には様々な人種や魔法に剣、魔物がひしめいている。



 そして、ドワーフも存在する。この世界のドワーフは嘗てよく読んでいた物語に似ているようだ。だとしても、材料まで自分で手に入れようとする、職人としての姿勢に、私は素直に感心する。



「防具の材料?」



(魔物の皮とか、牙とかかな)



「そうだ。んで、嬢ちゃんは?」

「私は、マジックバックを作ってもらいにね」

「ほ~~お。マジックバックか……」



 私がマジックバックのことを口にした途端、ダンがニヤリと笑ったが、あごひげに隠れてて、私は全く気付かなかった。





 お待たせしました。

 今回で百話目です。

 ここまでお読み頂き、本当にありがとうございますm(__)m

 これからも、頑張ります(゜∇^d)!!


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ