〈第四十話 御守りという名の乾電池〉
私は翌日出発予定だったのを、一日延ばした。
魔石を使って、シュリナとサス君、そしてココ用に御守りを作るためだ。
ココ曰く、作り方は意外にも簡単だった。
魔石を握り、魔力を握った手に集中させる。上手くいけば、魔石の色は変化する。色が変化すれば成功! 後は、濃い色に変化するまで注げばいいだけ。反対に、魔力の保存量が少なくなれば、魔石の色が薄くなっていく。そしたら、また注げばいいのだ。
まるで、充電池付きの乾電池のようだなぁって、私は思った。
これは、魔法使いとしての訓練にもなった。
膨大な魔力を有している私は、魔力を今尚、上手く使いこなせていない。
大きな、派手な攻撃は出来るが、反対に小規模な攻撃、例えば、数体いる魔物を一体だけ仕掛けるなどの攻撃は出来ない。少なくとも、半分以上は、いや全体に攻撃を放ってしまう。魔力のコントロールが苦手だった。
最大の要因は、魔力に慣れていないのが原因だ。
それは、私が生まれた〈日本〉の土地柄のせいだと、サス君は教えてくれた。
〈日本〉は魔力の代わりに、科学が発達した世界。
魔力を持つ者は異端とされ、人から脅威、畏怖な存在として見られる。現に、私の家族は私を怖がり、私という存在を自分たちの中から消した。半年前までの話だ。そのことに関しては、私にとって、もうどうでもいい話だった。彼らを思い出すこともほとんどない。
ただ……私が言いたいのは、魔力が抑圧された世界だったということだ。
つまりーー
重要なことは、私が魔力を認識し、開放出来たのは半年前だってことだ。大きな0歳児ってことだよね。
魔力のコントロールの訓練のついでってことを全面にだして、私は、無理矢理、シュリナとサス君を納得させて御守り(乾電池)を制作している。
「見て見て! ココ、色がつき始めたよ」
私は嬉しそうに、魔石をココに見せる。
握り込んでいた小さな魔石は、透明ではなく、黄色と橙色、そしてうっすらと赤みがかった色が、混ざり合ったものに変化していた。
「綺麗な色だね。これがムツキの色なんだね」
ココは嬉しそうに微笑む。姿は猫なのにね。いつの間にか、私はココの表情が分かるようになっていた。勿論、サス君もシュリナもだ。
(これが、私の魔力の色かぁ……。何か、オーラみたい)
私はそんなことを思いながら、色が変わった魔石を見詰めていた。
(さて、もうひと踏ん張り、頑張ろうっと!)
出来たら、村の見学に行ってもいいよね。橋を渡って対岸の陸地から見た村は、キラキラ光ってすごく綺麗で、神秘的だって、ミレイが言ってたからね。どうしても、見ときたいじゃない。
伊織さん、私ね……
本当にこの世界に来れてよかったって、心からそう思ってる。
この魔力のせいで、私が長い間、九年間も辛い思いをしてきたのは事実。
でも、この能力のおかげで、私は〈常世〉に渡ることが出来た。そして、魔法使いの修行のために、この世界へやって来ることが出来た。新しい仲間も増えた。心に宝物を増やすことも出来た。
今、目の前に広がる光景のようにね。
これからも、宝物を増やしていける。
私は、少し、ほんの少しだけど、自分のことが好きになれた気がした……
お待たせしました。
今回も短めです。
次回から、長くなるかな。
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




