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射!~Kyudou~  作者: ココロ丸
8/23

練習試合まで

〇村本 隼人



●同じ機械科で電車通学であるが、雪とは方向が逆である。ほぼ運で入学できた男子で、成績は今のところ下位に属している。何気に赤点は回避しているらしい・・・

男らしい顔立ちだが、かなりのアニオタ・・・・残念男子である。しかし、まさかのカーリーとアニメの話で意気投合。休み時間には今期のアニメの話で盛り上がっている

練習試合の発表から1週間3日が経過した。

僕はこの間、かなりの上達を見せた。



「・・・・・」


身体が軽い。でも、どっしりと構えている。そんな感じがする。


ああ、もう大三か。下筋が張っているのが分かる。骨で大きく引き分ける


気づけば会。・・・まだ、まだ伸びる・・・まだ・・



「・・・・・・!」


ギャン!

・・・パンッ!


的中。4射中3本。まだ皆中は出せていない・・・



「おう、雪!ずいぶん良くなったな!」

「ふん、隼人も的中率は上がってるじゃないか」

「へへ、まぁな!練習試合も近いし、気合入ってるんだよ!」

「というか、全部員かなり上達したと思うんだよ」


この期間、確かにみんなの実力は上がった。なぜか?



「ここは・・・そう、そうやって肘を後ろにまわすイメージで」



浅野先生が最近道場に来てくれるようになったからだと思う。先生は昔、日本代表だったらしいし、実際指導されるとかなり理解しやすい。課題も克服しやすくなる。


それもあるが、みんな練習試合に向け、かなりモチベーションをあげていることも大きいと思う。みんな燃えている。相手は昔からのライバル校である豪江北高校だ。今年の総体で2位の高校で、うちは3位だった。

だから、ここで勝ちたいとみんな思っている。



「・・・・・・・」


カーリーの射は、この一週間で少し変わった。


3日前に的前に上がったのだが、最初は的に届かなかった。初心者とはそういうものだ。カーリーも例外ではなかったらしい。


でも、今は・・


「・・・・・・・」


弓手、つまり弓を持つ左手を会で完全に固定している。


「・・・・・・!」


キャン!

・・・・パンッ!


自然な離れとともに軽い弦音がする。そして矢は緩やかな放物線を描き、的中した。


「うん、カーリー、それでいい。お前は重い弓が引けない分、上を狙わないといけないからな。最初は固定のイメージが良いだろう」


弓手固定は先生の指示らしい。


「・・・また中った。楽しい」


練習試合まであと数日はある。いや、数日しかないのか・・・カーリーはすでに的中率7割を超えている。


「的前3日であんなに中る人は初めて見るな・・今年は女子の成績も期待できるかもな!」

「水谷先輩は最初は中っていたんですか?」

「ん?俺は夏休み後半にやっと的前に上がったからね・・・最初はかすりもしなかったかな?あはは」


とっても意外な答えだった。水谷先輩って最初からエースかと思ってた・・・




「はい、今日は最後にチームで引いて終わろうか!女子は3人からチームを組めるから、女子もやるぞ」


そして先生は道場の黒板に何か書き始めた


「・・・と。これは、今現在の豪江北高校の男子の平均的中らしい。今日はこの的中を出すまで帰さないからな。女子は・・そうだなぁ。今なら3人で10中はだせ。これがノルマだ。」



黒板には男子平均的中16中と書いてある。この時期としてかなり高い的中だと思う。果たして達成できるのか・・・


「立順を言うぞ、大前、井田!二番、竜!中、隼人!四番、雪!落ち、水谷!」

「「はい!」」


「次、女子言うぞ。大前、葉月!中、カーリー!落ち、鹿本!以上。」

「「はい!」」

「・・・はい!」


お?カーリーが大きい声出した。カーリーも気合はいってるのかな?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


男子

一本目はみんな集中力があった。その証拠に一本目は全員的中。


二本目。井田先輩は的中。竜も的中。・・・・


「・・・・・」


隼人が外したのが分かった。


「・・・・・・」


自分が中てなければという重圧が襲う


会に入る


「・・・・!」


まずい、手首に力が・・・!


ギャン!

・・・・・


外してしまった


・・・水谷先輩、的中。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「・・13中か。あと3本だったな。・・・男子は女子の後でもう一回」

「「はい!」」



井田先輩、皆中。竜、3中。隼人、半矢。僕、1中。水谷先輩、皆中。


あと3本はかなり大きい。


「あー、隼人、雪。ちょっと来い」

「「はい・・」」


水谷先輩に呼ばれた。やっぱり怒られるんだろうか・・・


「そんなに硬くならなくていいよ?俺と井田は確実に中てるからさ。自分達が外しても俺ら先輩が何とかするから!」

「そうだぞお前ら!お前らに1本も外すななんか今は言わない。だから、練習してきたことをそのまま出すんだ。最後まで集中して!自分が外しても誰か中ててくれる。そう信じて己の射をするんだ!」


「「水谷先輩、井田先輩・・・」」


「わ、わかりました!次は自分の射をします!」

「僕も後ろにいる水谷先輩を信じて引きます!」


「よし、じゃあ次で終わらせて、早く帰ろうか!」

「「はい!」」



やっぱり水谷先輩は凄い人だと思う。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



女子

葉月先輩、皆中。カーリー、皆中。鹿本先輩、3中



「よし、女子は完璧だな。すばらしい!これなら次の練習試合3人でも張り合えるだろう」


「「ありがとうございます!」」

「・・・・ありがとう」


「ごめん、一本外しちゃって・・」

「気にしないで鹿本さん!それより12射11中は凄いわ!」

「・・・うれしい」






「ヒュー・・・女子えげつないな」

「・・・竜、ごめんな、さっきの立。」

「え?・・・気にするなよ!次で中てればいいんだから!」

「そうか・・・ありがとな!」

「おうよ!」


竜は少し水谷先輩の雰囲気がする

・・・さて、


2立目


「落ち着こう」



そう呟き、僕は弓矢を手に取った




お楽しみいただけたでしょうか?次回は更新が遅くなります。今月の半ばには再開できる予定です

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