カーリー来日
どうもです!今回も少し用語説明を入れておきます。次回から登場人物の説明を入れる予定です!
〇丹田・・・お腹の下あたり
〇滑走・・・矢が的に届かず、地面を滑るようにして矢が飛ぶこと。というか、飛んでいないw地面を滑っているイメージです
〇弽・・・「かけ」という。ここでは、「カケ」と書こうかと思います。カケはあの右手につけている手袋のようなもの。親指の部分に溝があり、そこに弦を引っ掛けて弓を引く。
〇ぎり粉・・・カケにつける滑り止めのようなもの。こいつをつけたときの音がなかなか癖になるww
両親は今日から海外で仕事、家では俺が1人のはずだ。なのに・・・・
「・・・どうしたゆっきー?難しい顔してる。」
なぜこの子はリビングでスコールを飲んでいる・・・・
「えと、君はどこから来たの?なんで俺の家に?」
「アメリカ。・・・もしかして何も聞いてない?」
「・・・・・」
無言で携帯を取り出し、かあさんに電話をする。
何がどうなっているか聞かないと・・・
「・・・あ!かあさん!家に居る金髪美少女だれ!?」
「・・・・はぁ?説明しにくい?なんで・・・・孤児!?」
つまり、かあさんの言い分はこうだ
メキシコ勤務だ。ゆっきー寂しがるかな?⇒向こうの友達の子が引きこもりだし、ゆっきーと同居!
向こうというのはアメリカで、知り合いがこのカーリーという子を日本に来させたらしい。
「美少女だなんて・・・ぽっ」
「ぽっ・・・じゃねえよ。引きこもりは日本でも引きこもりだろ?」
「ゆっきーの学校の制服預かってる。・・・明日から一緒に登校。」
「・・・・・」
展開が早すぎる・・・でももう仕方ないか
「・・・はぁ、分かったよ。それで?いつまでここに?」
「未定・・・らしい。」
「なんて適当なんだ・・・でも、編入ってことだし、卒業までは一緒なのか・・・」
もう一度かあさんに電話してみる
「あ、かあさん。いつ帰ってくる?え、たまに帰ってくる?・・・・ああ、もう分かったよ・・・」
とりあえず1ヶ月以上は帰って来ないらしい。
「ゆっきー、お腹すいた・・・」
「・・・飯作る気になれないな。食いに行くか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ここは・・・?」
「ふふふ、アメリカでは屋台なんか無いだろ?来日初日でラーメンというのはどうかと思うけど、まぁいいだろ?」
「・・・いい匂い。はやく食べたい」
「おじさん、ラーメン二つ!」
「あいよ!兄ちゃん可愛い彼女連れてんな!こんな屋台でいいのかい?」
ニヤニヤしながら屋台のおじさんが言う。
「・・・私、妹。でも長い間会ってなかった。」
「え?ああ、そうかい!じゃあ、再会を記念してサービスしとくよ!」
「あ、ありがとうございます!」
「はい、ラーメンおまちっ!」
「・・・おいしそう!」
「え?どうした急に大きな声出して・・・」
「・・・おいしい!特にこのスープが良い」
「お?お嬢ちゃんうれしいこと言ってくれるね!」
「うん、確かにうまい。特にこの海苔とキクラゲ。」
「・・・・兄ちゃん渋いね~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいまー」
「・・・ただいま」
「さて、どうしようか・・・色々聞くことと決めることもあるけど・・・」
「・・・お風呂」
「え?風呂?ああ、でも今沸かしてないからシャワーになるけど?」
「・・・それで良い」
タッタッタッと風呂場に向かうカーリー。
「あ、待て、着替えは?あるのか?」
「・・・そうだった。そこのバックの中にある」
「ったく。ほらよ!・・・僕は2階で勉強するから上がったら呼べよ~」
「・・・分かった」
「ふー、なんでこうなった・・・。いや、考えても意味が無いんだろうけど・。」
学校のみんなに説明するのめんどくさいなぁ・・・。明日も朝練あるし、登校時間ずれるしな。あいつだけ先に行っても余計ややこしくなりそう・・・いや、転校生って担任の紹介で教室に入るから大丈夫か。
いや待て、まずカーリーって何科だ?あとで聞いとくか
「・・・さて、勉強勉強!専門教科から始めるかな。」
30分後・・・・・・・・・
コンコン
「え?あ、そうか。えっとカーリー?上がったら冷蔵庫の飲み物飲んでいいぞ。」
カーリーがいること忘れてたよ
ガチャ・・・
「ゆっきー・・・」
「ん~・・・っ!?おま!なんで着てないの!あ、いや、大丈夫!下は見てない、見てないから!」
「・・・?ここでは裸は駄目なの?」
「駄目っ!アメリカではどうだったか知らないけど、日本は駄目だから!」
「・・・分かった。覚えておく」
やはり女の子と同じ屋根の上だなんて・・・・
「あ!そういえばカーリーは何科に入るの?」
「・・・・・機械科」
「・・・なんで?」
「ゆっきーと同じクラスになれる。ゆっきーと一緒だから」
「ッ!?////」
なんか顔が赤くなるのが自分でも分かった。
ああ、なんて恥ずかしいことを言うんだ・・・アメリカ人恐るべし
「わ、分かったよ。毎朝僕は朝練に行かないと駄目だから登校時間になったら・・・そうだな」
綾乃には事情を説明して、明日一緒に行ってもらおう。近所だし、幼馴染は有効活用。
「俺の友達と一緒に学校に行けよ?カーリーのこと紹介しておくから。」
「・・・朝練?」
「僕、弓道に入っているんだ。6時には家を出るから。」
「・・・・私も行く。きゅうどうを見てみたい」
「はぁ?嫌だよ、恥ずかしいし・・・」
「ゆっきーを見るわけじゃない。きゅうどうを見るの」
なんか心に突き刺さる言葉・・・・。
「・・・分かったよ。じゃあとりあえず僕はシャワー浴びてくるから。飲み物、冷蔵庫な?」
「・・・スコール飲む」
家事の分担とか、部屋割りも考えなきゃなぁ・・・はぁ。
そんなことを考えながらシャワーを浴びていた。
ああ、金髪少女と同居なんて、隼人が発狂するかもな。あいつアニオタだし、こういう世界にあこがれてそうだし・・・。
まぁ、なんとかなる・・・たぶん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そういえば、日本語ペラペラだな?」
「・・・英語も日本語どっちも話せる。勉強はしていた。でも学校行ってない」
「そ、そうか」
テレビを見ながらカーリーが少し寂しそうな顔でそう言った。基本彼女は無表情だが、ラーメンの時や今のように少し表情が変化することがある。
にしても、向こうの学校で何かあったのかな?あまり良い思い出がなさそうな声だったし
「じゃあ、明日は早いし、もう寝ようか?俺は少し勉強するけど」
「・・・じゃあゆっきーの部屋で寝る。」
「それは駄目。俺の部屋の隣に空き部屋があるから、そこをお前の部屋にするから。そこで寝てくれ?」
「・・・童貞」
「おい今なんて言った・・・」
「何も言ってない。おやすみ」
「・・・あ、カーリー!」
「・・・なに?」
「えっと・・・これからよろしくな!」
「・・・よろしく、ゆっきー」
ふふっとカーリーが笑ったような気がした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「朝から酷い目にあった・・・」
「どうして日本人はすぐ私達を撮るの?兄妹という設定なのに」
「ああ、あれはバカッターだ。気にするな。それより乗客の視線が痛い・・・俺が美少女連れてたら犯罪ですか・・・」
「・・・ここが学校?」
「そうだよ、ここが八城工業高校。弓道場はこっちだ。ほら、行くぞ!」
「うん」
ガラララー・・・
「おはようございまーす!」
「「おはよう」」
「・・・・おはよう」
「・・・・・・」
あ、みんな、ん?って顔してるな。当然です、はい。
「えーと、こいつはカーリーと言って、アメr・・・待て隼人、なぜ僕に弓を構える!」
「まさか雪に裏切られる日が来るとは・・・覚悟だ、雪!」
「・・・・弓」
「おい、お前が原因なのに弓に見とれるな!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なるほど、妹ねぇ・・・?」
「信じてくださいよ葉月先輩・・・」
「疑っているわけじゃないわ。でも、金髪だし、スタイル良いし」
「まぁ、雪。お前の割りに合わないってことだ!」
「井田先輩・・・・」
同級生だったらシバいていたかもしれない
「でも雪、良かったじゃないか。こんな美少女が家に来て。しかも二人で生活だろう?」
「・・・どうなんでしょうね?」
「というか、水谷君!なんで昨日来なかったの?」
「そんなに怒るなよ主将様?色々あるんだよこっちにも」
「まったく・・・。鹿本さんはもう体調は大丈夫?」
「うん、もう大丈夫よ。ごめんね、大変だったでしょ?」
今日は全部員集まっている。鹿本先輩は身体が少し弱いため、学校自体休むことも珍しくない。
水谷先輩はちょくちょく練習をサボる。というか、屋上で寝ている。しかし、的中率が高くて、僕が入部をしてから先輩が外したところをあまり見たことがない
「・・・理解したか?隼人?」
「・・・まぁ・・・竜はどう思う?」
「ゆっきーは過ちを犯すような奴じゃないだろ?別にどうこう思わねぇよ」
「・・・むぅ、そうか。」
「きゅうどう・・・見たい!」
突然のカーリーの発言
「そうね。アメリカには弓道はないからね。今日は見学をしてもらいましょうか。良いわよね、井田君?」
「俺は主将の意見を尊重するからな!いいと思うぜ」
「じゃあ、拝礼をして始めようか?」
水谷先輩の呼びかけでみんな並び始めた。カーリーは頭にはてなマークを浮かべているようだ。
・・・パンパン!
「「お願いします!」」
チラッとカーリーを見てみる。・・・なんで拝礼であいつは目をキラキラさせているんだ?
巻藁練習も終わり、いよいよ的前での射込みとなる。
「・・・・・・・」
僕は集中には自信がある。
弓を持つ手は昔から鶏の首、握卵などと言われている。つまり、強く握りこむなということ。
弓道には射法八節というものがあり、足踏み、胴造り、弓構え、打ち起こし、引き分け、会、離れ、残心という構成になっている。
手首の力を抜き、丹田に意識を集中させる。
打ち起こしまでは良い状態で持っていけている。でも、いつもここから手首に力が加わってしまう・・・
会。もう完全に手首の力だけで引いてしまっている。
離れ。初心者は会は5秒は持たなければならないが、2秒ほどで離してしまう。
「・・・・・」
矢は弧を描き、的の下に滑走してしまった・・・
「・・・・はぁ」
四本引き、矢取りに向かう。
・・・あ、水谷先輩だ。
「・・・・・・・」
いつもの穏やかな顔と爽やかな笑顔とは違う、また別の先輩がそこにいた。
「雰囲気から違うもんなぁ・・・」
まさに王道といった引き方。人によって少し引き方にアレンジがあるらしいが、水谷先輩はそれがない。まるで教本に載っているような射をしている。
ギリギリとぎり粉のすれる音が微かに聞こえる。手首の力が抜けている証拠だ。
・・・・キャン!・・パンッ!
「・・・凄いなぁ。」
水谷先輩は僕の憧れだ。今年の総体も唯一2年生の中でレギュラーだったし、引退した3年生の先輩よりも的中率は高かった。井田先輩もメンバーだったけど、補欠だったし・・・いや、馬鹿にしているわけじゃない。きっと水谷先輩が凄いからなんだろうな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうだったかな?カーリーちゃん?」
「葉月がカーリーちゃんっていうと違和感たっぷりだね」
「黙って鹿本・・・。」
「あはは、ごめんなさい、ふふふ」
上品な笑い方だな~、鹿本先輩は・・・。
今日は昨日のこともあって弓は引いていなかった
「ねね、どうだった俺?かっこよかった?」
「隼人、食らいつくな・・・それより、俺どうだった?」
「隼人、竜、お前ら一緒のこと言ってるぞ・・・」
「・・・隼人と竜は見てない。きゅうどう・・・・弓道を見ていた」
あ、二人ともショック受けてる。カワイソウー・・・。
「・・・でも、水谷は良かった」
「先輩覚悟オオオオっ!」
「まて隼人!先輩に弓を構えるなあああ!」
「・・・弓道かっこいい。とてもクール。」
「・・・・・弓道する!」
「「え?」」
突然の発言にみんな目を丸くした・・・
用語の説明も分かりにくいところが多々あるかと思います。特に射法八節なんか、経験者じゃないと分かりませんよね・・・。え?じゃあ未経験者はどうすれば良いかですか?それは・・・弓道を始めるしかないですね!笑