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 山口とひさしは池袋駅周辺にあるファミレスで向かい合っていた。



「教えてくれた住所で何があったか調べてみましたけど、この近くの土地が事故物件であることは分かりました。その噂についてはそれらしいものも見つかりませんでしたね」


「事故物件……そこで殺人や自殺があったってことだよな。よくそれは数日で分かったな」


「そういう情報がまとめられているサイトがあるんですよ。そのサイトで該当住所付近を調べれば手軽にどんな事件や事故が起きたのかが分かります」


「そこでは何が起きたんだ?」


「火事で家が全焼したみたいです。亡くなった人も一人います。

 ただその家は家族三人で暮らしていたそうですが、その家族とは連絡が取れていなく行方不明とも書かれていました。その亡くなった一人が三人家族の内の誰かだろうとは思いますけど、じゃあなんで残りの二人は行方不明なの? とちょっと謎がある火事なんですよね」


「それだと行方不明の二人が放火して家族一人を殺したんじゃないのか。家族構成は?」


「そこまでは。これを聞くとそう考えたくもなりますよね、真相は闇の中ですが」



 ここで注文した料理が運ばれてきた。



 フォークでパスタを絡めているひさし。



「ここ池袋で……バイト以外でたまたま会った時のこと覚えているか?」



 山口は意外そうで料理を口にするのを止めてしまった。



「それはまぁ……もうやめたんですよね? 私もそろそろ限界だったのでひさしさんから申し出てくれて安心しました」


「あの日、声をかけた女性からこの住所を教えられたんだ。この周辺で夜に人のうめき声みたいなのが聞こえてくるから調査してほしいって。山口が好きな怪談の類いだったからこうして頼んだ」


「えっ……あの、いかにも上京したての身なりだった女性ですか?」


「池袋へは初めて来たの? って俺が声をかけたら、はい、あなたは池袋へはよく来られるのですか? って返してきて。天然でそう返したみたいだしそれが面白くてずっと記憶にあった」


「私が声かけてこなかったら粘って口説いていたって言っていましたね。ひさしさんがそこまでするなんてそんな魅力的な方だったのですか。私は直ぐに去って行ったのでよく顔も見なかったのですけど」


「そうだな。透明な心で、芯があって清き乙女って感じ?」


「その特徴って私の中では祥子なんですけど。天然ぽっいところなんかも」


「祥子は……ブレない芯が無いんじゃないか。他人が何と言おうと絶対にブレない芯。それが彼女にはあった」


「祥子はそういう力強さはなくフワフワしていますからね。その女性がここを調査してくれとお願いしてきたんですね。どうしてひさしさんなんでしょう?」



 ここでひさしはお冷を半分ほど飲む。



「復讐じゃないか? ナンパの」



 山口はまさかの発言に仰天する。



「ごめん冗談。だが……それしかないと思う。復讐、俺は復讐されても文句は言えない人間だ」


「それは、飛躍しすぎのような気が。だって彼女、無関係じゃないですか。どうして復讐なんかを」


「被害者に依頼されてだ。彼女のブレない芯、正義であれば立ち上がってくれそうだ。それに……亡くなったみたいだ。あの社長。何者かに殺された。次は俺の番ってことだ」


「その女性ってそんなに強いのですか」


「池袋でも目撃されたんだよな。なまはげだか山姥の姿をした怪物。そいつは悪者を懲らしめるとされている」


「彼女がそいつだって言うんですか? あんなの、都市伝説ですよ。あの日、上京してきたばかりだったら彼女はまだ東京にはいないことになりますし」



 それでもひさしは得体の知れない恐怖に包まれているようであった。



「都市伝説? 何言っているんだ。この件に関しては俺の方が詳しい。写真もあるし、驚異的な身体能力で逃走したって証言もある。実際の被害もあって俺は取材することにした件だぞ。もしかしたら彼女は……後継者かも知れない」



 ひさしの言う事件は何件かの騒ぎを起こしたらピタリと止まってしまった。



 それが復活したとひさしは予想しているみたいだった。



「そうだとしたらおびき出しているってことですか? なぜこんな辺鄙な地まで」


「そこは本人に聞くしか。ただこれを無視しても俺はどのみち殺されそうだな。行ってみることにするよ、とりあえず」


「私も行きます!」


「いや、山口は待機だ。俺にもしものことがあったらそういうことだったってことで仕事のネタにするなり好きにしてくれ」


「そんな」


「このことを話せるのは山口しかいないんだ。ここで二人が共倒れすることは防ぎたいからわかってくれ。彼女は透明な心の持ち主だからこっちが本気で反省しているって伝われば命だけは助けてくれるかもしれない」


「そうですね。私達、そこまで悪いことはしていません」


「そのジャッジを彼女に下してもらおう」



 ひさしは食欲がないらしく注文した料理を残して先に帰って行く。



第一章(完)




「ネトコン14事故物件」に向けてそのテーマである「事故物件」部分を抜粋して投稿した作品になりますのでここではこのエピソードで一旦完結とします、ご了承ください。




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