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ある事故物件①

 これはですね、家の清掃や廃品回収、あと引っ越しとかも請け負う会社で働いている人から聞いた話なのですけど……。



 ある日、その会社に電話がかかってくるんですよ。



 電話に出ると家財道具を処分したいという依頼だったんです。



 依頼者は男性で四十代後半から五十代前半くらいの方でした。



 それで先ずはどのくらいの量があるのか下見ということでその依頼者の自宅へ行くことになるのですが、



 家は二階建でかなり大きな家で、庭もまぁまぁ広く裕福な家庭なんだろうなぁと思ったそうです。



 インターホンを押して依頼者の男性が出るのですが、



 まぁ、とんでもなく暗いオーラを纏っていた方だったんです。



 見た瞬間にちょっと逃げたくなるくらいのオーラで。

 


 それでも仕事ですから逃げるわけにもいかず家に上がって見積もりをするのですが、玄関、正面にある引き戸で開く居間に髪の長い女性が一人、下を向いて体育座りで座っていたんです。



 客ではないですけど、他人が家にやって来たのに挨拶すらしなかったそうなんですね。



 ずーっと下を向いていて起きているのかどうかも疑うくらい微動だにしなかったそうで。



 で、両足を目にしたら不健康なくらい細くて。よく見たら全体が痩せこけているくらい線が細いんです。



 これはまともに食事をしていないんだろうなと思ったそうで。



 逆に男性の方はどちらかと言えば肥満体型な方だったんでご飯もまともに食べらないほど貧乏ではなく、女性が拒食症状に悩まさられていたのかもしれませんね。



 こっちは仕事でやって来ているんであまり気にせず家を一通り回って見積もりを出すわけですが、大きな箪笥(たんす)や食器に布団、衣服とかそんな物まで捨てちゃうんですか? と思ったみたいです。



 要はこんなに捨ててしまってこれから生活していけるんですか? ってことですね。



 亡くなった家族の遺品整理を機に不要な物も捨ててしまおうって依頼はそれなりにあるそうですけど、さすがにそこまで捨てるのか!? と感じてしまったのは初めてだそうで内心、困惑してたみたいですね。



 そんなことを思っても依頼者が捨ててくれと言うなら従うしかないので数日後に不用品を回収しに行くことになります。



 当日は特に問題もなく回収を終えることができたのですがその日はあの髪の長い女性がどこの部屋にもいなかったんですね。 



 おそらく女性の部屋と思われる所にもおらず。



 まぁ普通に考えれば外出中ってことなんでしょうけどあの銅像みたいに固まっていて痩せこけている姿を見たら正直、外へ出る気力もないんじゃないかとも思ったのも事実でございまして……。



 こちらとしては余計な口出しができる立場ではないので家財道具をトラックに積んでその家を去ることになるわけですが、さらにその一週間後くらいに電話がかかってくるんですよ。



 相手は◯◯警察署の者ですが……って警察からだったんですよ。



 えっ、なに? って思いますよね。



 話を聞いてみると●●さんってご存知ですか? って聞かれて。



 その●●さんって方がその約一週間前に不用品の回収を依頼した人だったのですよ。



 ……知っていますけど何かあったんですか?



 と聞くと詳しいことは警察署へ来てくれって言うから行ってそこで話を聞くと●●さんの家で女性が亡くなっていたみたいなんですね。



 どうやら病死とかじゃなくて頭に外傷があることから何者かによって殺害された説が濃厚で……。

 で、もう一人の男性とは連絡が取れていないって言うんです。



 警察はその男性の行方を追っているみたいですけどなんでその会社に電話かかってきたかと言うと、



 家の中に依頼を終えた時に渡した領収書があったみたいでそれで何か知らないか? と電話してきたそうなんですね。



 でも事情聴取というよりかは殺人事件なのでその会社の従業員を疑っているような取り調べをさせられて心底、疲れ果てたそうですけど。



 結果はその家の者と会社に不用品処分を依頼した以上の関係はないと分かったのでそれ以上、困ったことにはならなかったそうですけど。



 それで行方不明の男性がその数日後に川で水死体となって発見されたみたいです。



 警察としては女性を殺したのは男性で、その男性も後を追うように自殺をしたということになっているみたいですね。



 ……はい、そうなんです。



 それが事件の真相であるならなぜあの日、家にある家財道具のみならず生活必需品まで処分したのか説明がつくんですね。



 あの二人は何かしらの事情でもう人生を終えようとしていたのかと思うとゾッとしたって言っていましたね。



 しかも男性の方は殺人犯ですからね。



 もう間もなく殺人を犯そうとしていた人と自分は接していたのかと思うとそれもまた怖いってなったそうです。



 ……そうですね。



 回収しに行った日に女性の姿がなかったってことはもう女性は殺されていたのか?



 殺されていたのなら遺体はどこに隠してあったのか?



 それに、もう死のうと思っていたわりには家をちゃんと整理してから逝くなんて随分と律儀なんですよね。



 こういうちょっと不思議な点もあってこの事は今でも忘れられない依頼だったということです。



 で、これだけでも怖い話なんですけどその二人はどういった関係性だったのか?



 そこをこちらで追加取材したんですけど、これがまた謎なんですよ。



 二人で暮らしているなら夫婦なのかな? と思いますけどそこの家、近隣の住人は女性一人しか長らく住んでいないと思われていたそうなんです。



 そこへ住み始めた当初は夫婦で引っ越してきたらしいですけど、その夫が早い内に亡くなってしまってそこからは一人暮らしのはずだって言うんです。



 けど事件が起きる直前に庭でその女性が見知らぬ男性に暴行を加えられているのを目撃して近所の人が止めに入ったんですね。


 あなたどなたですか? って聞いたら知人だとしか答えず女性も気にしないでくださいって言うもんですからそれで終わったんですけど、その後にこの殺人事件ですよ。



 この男性、結局は身元が今も分からないままなんですよ。



 でもね恐ろしいのが、男性を事件前に見た住人いわく……なんか亡くなった女性の夫に似ていたかもしれないって言うんですよ……。




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