武装入手
「おはよーございます。」
ギルドの雑魚寝の大部屋で一晩明かした俺は朝イチで鍛冶屋の戸を叩き、中に入る。
さて、俺の防具は出来ているのだろうか。いや、昔気質で堅気なアダムの事だ、約束事を破るなんて事をするわけがない。
「おぉ、来たかホワイト。」
「何とか出来ましたよー……。」
充実したような顔をしたアダムと淡い金髪で綺麗な整った顔立ちなのに目の下に深い隈があるせいで不健康そうな顔になっている妙齢な女性が顔を出してきた。
あの人がイブか。取り敢えず、今すぐに寝ろ。その目の隈はちょっとどころかかなりヤバい。肌も妙に白いし、いつ倒れてもおかしくない。
「取り敢えず、寸法があっているかを確認するためにちょっくら着てくれ。」
「部屋はあっちだよー……。」
「分かった。……取り敢えず、イブさんは今すぐにでも寝ろ。本当に倒れてしまうぞ。」
「分かったわー……。」
指を指した方向にある部屋に入る前に少し振り向いてイブに注意すると、イブは頑張って笑みを浮かべてふらふらとした足取りで奥の部屋に入っていった。
……大丈夫かな、あの人。
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(……凄いな、これは。)
俺は着こんだ鎧とマントを動いたり叩いたり、魔力を流してみたりして性能を確かめる。
鎧はくすんだ灰色で全体的には薄いが胸や脚などの戦闘に重要な部分は比較的厚い。鎧の下には衝撃に強い反面耐刃性の低い『ヴィストシア』と呼ばれる樹木の繊維で編まれた布が敷かれている。
マントは何故かマフラーになっていた。要望とは違うが、よくよく考えてみると俺の武器は連結剣、鞭のように伸びるのが特徴の武器だ。マントだと動きの妨害になるからと変えてくれたのだ。けど、若干重い。それに、マントよりも防御範囲は狭い。が、元々マントは顔を隠すためのものだしそれでもいいか。
ちなみに、二つとも案外通気性が良い。蒸れるのはあんまり好きじゃないし、これも助かる。
「……どうだ?」
「上出来だぜ、アダム。」
部屋から出た俺をアダムは着心地を聞いてきたから親指を立ててグッドサインを送る。
後は、連結剣を入手するだけか。
「アダム、連結剣の方は?」
「ちゃんと研いでおいた。」
アダムは奥から鞘に入っている連結剣を俺に投げ渡した。
……うん、ちゃんと研がれている。それと、柄にトリガーがある。これを押せば連結が解除されるのか。
「試し切りしてもいいか?」
「裏庭に試し切り用の木がある。それを使え。」
アダムに言われた通りに奥の方に行くとちょっとした裏庭があり、そこにそこそこの大きさの数多の切り傷がついた木が植えられていた。
これなら幾ら打ち込んでも問題なさそうだな。
「ふっ!」
短い呼気と共に連結剣を引き抜くと同時にトリガーを押し、連結を解除する。
「せいっ!」
剣を上段から振り下ろすと剣は鞭のように刃が伸び、木を切り裂く。
「よし。」
剣を引き戻し、トリガーから指を離すと剣は連結する。
刃こぼれ一つないな。これは良い武器を選べた。
「どうだ。」
「問題ない。良い武器が手に入った。」
剣を鞘にしまうと室内に戻り、アベルに礼をして扉から出ていく。
さて、次は軍資金を手にいれる為に仕事をしないとな。
(っと、その前に。)
顔を隠すためにマフラーを口元まで上げてから、俺は表通りを歩き始めた。




