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アイコン三国志  作者: 小金沢
第九章 南中の戦い
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93/126

〇九二   南中の知恵者

~~~蜀軍 本陣~~~



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「――で、南蛮の知恵者とやらはどうしたのだ」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「おう、力を借りようと思ったんだけどよ。

ぶはははは! あの野郎、めんどくせえから出て行くのは嫌だ、

力を借りたきゃ家まで来いって言うんだ。

俺様もめんどくせえから断っちまったぜ!」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「まったく興ざめだ。余は貴様を相手にするのは飽き飽きしておる。

放してやるから今度はおとなしく、その知恵者とやらの家に出向いて余を待ち構えよ」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

(これで四度目の捕縛と解放か……)



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「わかったわかった。わっはっはっ。俺様の頭じゃやっぱりかなわねえもんな。

――そうそう、今回のアンタの策には驚いたぜ。

俺様たちにわざと負けて、油断させておいてよ、

いきなり夜襲を仕掛けてくるなんざ思わなかったぜ!」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「馬鹿め。余がそんなつまらぬ策を立てるものか。

あれはこの馬謖という三下が立てた愚かでつまらぬくだらぬ策だ。

だが貴様程度を破るには十分であったろう」



挿絵(By みてみん) 馬謖(ばしょく)

「………………」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「がっはっはっ! そうかそうか、

俺様はてっきりアンタにしてやられたんだと思ってたがな。

三下にもかなわねえんじゃ、やっぱり朶思王(だしおう)のヤツを頼るしかねえな。

じゃあ待たな! 今度は朶思王んとこで待ってるからよ!

はっはっはっはっはっ…………」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「…………丞相、朶思王といえば禿竜洞(とくりょうどう)の主です。

孟獲より先回りして占拠することも可能ですが――」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「ならぬ。余のせっかくの暇つぶしを台無しにするつもりか」



挿絵(By みてみん) 呂凱(りょがい)

「ぶっはっはっ! 丞相ならそう言うと思ったぜ!

禿竜洞の場所ならよく知ってるからよ、孟獲が着いた頃に案内してやらあ!」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「………………」



~~~禿竜洞~~~



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「よく来たな孟獲よ。

ちょうどいま水浴びをしていたところだ。こんな姿ですまんな」



挿絵(By みてみん) 南蛮一の知恵者・朶思王



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「がっはっはっ! 脱いでようがいまいが

お前の気持ち悪さは変わらねえから気にすんな!」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「ずいぶんと蜀軍に手こずっているようだな。

だがこの禿竜洞に来ればもう心配いらん。

蜀軍はここにたどり着くことすらできず全滅するであろう」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「おお……さすが南中一の知恵者だぁぁ。

ねえねえ、いったいどんな策で蜀軍を倒すの?」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「策など使わん。いや、この禿竜洞へ至る道こそが策の宝庫と言えよう」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「がはははは! そいつは頼もしい!

――で、どういう意味だそりゃ?」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「禿竜洞への道程には毒蛇や猛獣がひしめいているのは知っていよう。

だがそれだけではない。お前たちに教えた抜け道を使わず、

大軍が通れる広い道を行けば、その途中に4つの泉があるのだ。

泉はそれぞれが恐ろしい毒泉だ。

水の手を絶たれた蜀軍は全滅するしかないだろう」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「へぇぇ。いったいどんな泉なの?」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「第一の泉は飲むと口が爛れ、喉を焦がし、

胃を蹂躙しついには腸が焼け落ちる『唖泉』という。

だが禿竜洞では起き抜けに一杯の唖泉を飲む唖泉健康法がおなじみだ。

喉を通る刺激がたまらんのだ」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「ははははは! そいつぁ怖ええな!」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「第二の泉は『滅泉』だ。浴びればたちまち皮膚は剥がれ肉は溶け骨も崩れる。

だが禿竜洞では赤ちゃん肌にも優しい産湯として好まれるし、

いまワシが浴びているのもその滅泉の水だ」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「うわぁぁ! さ、先に言ってよ! し、しぶきが! しぶきが掛かる!」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「第三の泉は『黒泉』という。

手足をつければ黒斑が生じ、身を引き裂くような激痛に襲われる。

だが禿竜洞では黒泉に身を浸し、日焼けしたような

褐色の肌の若者が婦女子の間で大人気だ」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「がはははは! 毒泉もすげえが

ここの住民たちの方がもっとすげえ気がしてきたぞ!」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「そして第四の泉は最も恐ろしい『柔泉』だ。

飲むと体が綿のように柔らかくなり、

やがて骨も肉も内蔵もぐずぐずに萎びて息絶える。

だが禿竜洞では体の固い者が柔泉を飲みながら行う、

柔泉体操が流行の兆しを見せている」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「ど、どの泉もすごいけど……。

でも、それじゃあぼくたちは何を飲めばいいのかな?」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「客人のために酒をたくさん用意してあるからそれで喉を潤せばよい。

蜀軍が全滅するのが先か、大王がアル中になるのが先か、楽しみだろう?」



~~~蜀軍 本陣~~~



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「なに? 先行した王平軍からの連絡が途絶えただと?」



挿絵(By みてみん) 王伉(おうこう)

「ああ、敵軍が動いてる様子は無いんだが、消息を絶っちまった。

おそらく毒泉にやられたんだろうよ」



挿絵(By みてみん) 馬謖(ばしょく)

「毒泉だと? 今さらそんなものに引っ掛かったのか」



挿絵(By みてみん) 呂凱(りょがい)

「禿竜洞の場所は知ってるが、道の方は俺たちにもよくわかってねえんだ。

でも恐ろしい毒泉がいくつもあるとは聞いたことがあるぜ」



挿絵(By みてみん) 馬岱(ばたい)

「なら、王平はんに水と薬を補給してやらなあかん。

またわてが行こうか?」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「待った。馬岱殿にばかり苦労は掛けられん。今度は俺が行こう」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「どっちでもよい。

余が悠々と禿竜洞にたどり着けるよう、せいぜい情報を集めて参れ」



~~~蜀 関索軍~~~



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「…………王平殿の兵があちこちで死んでいる。

外傷は無いから、やはり毒泉にやられたんだろうな」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「でもさ索にゃん。このあたりにも住民はたくさんいるっキャ。

その人たちは水をどっから調達してるんかにゃ?」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「そうだな。誰でも飲める水源がどこかにあるはずだ。

こうなったら付近の村人を捕まえて――うん?」



挿絵(By みてみん) ??

「…………またアンタたちなの」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「おお、また君に会えるなんて思わなかった。このあたりに住んでるのかい?」



挿絵(By みてみん) ??

「違う。ちょっと野暮用があっただけ。じゃあね」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「待ってくれ!」



挿絵(By みてみん) ??

「!!」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「索にゃん。別に抱き寄せる必要はないんじゃないキャ?」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「知っての通り、俺たちは進軍しているんだが、

毒泉にやられ、水も補給できず困っている。

でもこのあたりの村人が生活に使っている水源があるはずだ。

君ならそれを知っているんじゃないか」



挿絵(By みてみん) ??

「…………も、万安(ばんあん)さんがいるから」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「万安?」



挿絵(By みてみん) ??

「東に行った所に万安さんっていう隠者がいるの。

そこには滝があって、付近の村人はその水を使ってる。

それに、解毒の薬も持っているわ」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「そうか。ありがとう。助かったよ」



挿絵(By みてみん) ??

「あ…………」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「索にゃん。別に抱きしめる必要はないんじゃないキャ?」



挿絵(By みてみん) ??

「あ、アタシ帰るから」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「本当に助かったよ。送って行こうか?」



挿絵(By みてみん) ??

「ダメ。パパが怒るから。じゃあ、また……」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「気をつけて。

…………あの子、またって言ってくれた。また会えるかな」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「索にゃん。気が済んだらちょっとあっちの木陰に行こうか。

包帯と傷薬は用意しておくっキャよ……」



~~~万安渓~~~



挿絵(By みてみん) 王平(おうへい)

「こんな密林の奥地に、こんな滝があるなんてよ。

万安さんってのはまるで仙人だな。おかげで助かったぜ関索!」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「いや、俺は何もしていない。村人に教えてもらっただけだ」



挿絵(By みてみん) 王平(おうへい)

「ところで、敵の伏兵にでも襲われたのか? あちこち腫れてるようだが」



挿絵(By みてみん) 関索(かんさく)

「…………それは別件だ」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「ほう。なかなかの風情ではないか。

隆中に飽きたらここに居を構えるのも悪くないな。万安とやらを追い出すか」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「おいおい、水と薬は分けてやると言ったが、土地まで分けるつもりはないぜ」



挿絵(By みてみん) 楽の隠者・万安



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「これが万安ですか? なんだか仙人とは程遠いいでたちです」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「蜀軍が攻めてきてるとは聞いてたが、それにしても結構な大軍だな。

全員に水を分けたら滝が干上がっちまう。

他に飲んでも大丈夫な河のありかを教えてやるから、ほどほどで切り上げてくれよ」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「それはもちろんです。助かりましたぞ。

褒美はなんなりと差し上げましょう」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「いらねえよ。金も宝石も官位もここじゃあなんの使い道もない。

水と空気と小屋がある。他になんか必要な物があるか?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「……なるほど。蛮族どもに中央の言葉を教えたのは貴様か。

蛮族どもの言葉には貴様と同じなまりがあるが、貴様は飛び抜けて流暢に話す」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「へえ。ここまで噂が届いてるぜ。

蜀軍には悪魔みてえに頭の切れる男がいるってな」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「ならばもう一つ暴いてやる。貴様は孟獲の兄弟であろう」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「なっ!?」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「はあ。アンタにゃあ何も隠し事はできねえようだな。

ま、別に隠すつもりもないが。

お察しの通り、俺は孟獲の兄で孟節(もうせつ)ってもんだ。

で、なんでそれがわかったんだ?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「貴様の骨格、声質、面相、その他全てに

孟獲との著しい共通点を見いだせる。造作も無いことだ」



挿絵(By みてみん) 馬謖(ばしょく)

「孟獲の兄ならば、本来はお前が南蛮王のはずではないか。

なぜこのような所で仙人の真似事をしている?」



挿絵(By みてみん) 万安(ばんあん)

「さっきも言ったが、人生を楽しむためには、

金も宝石も地位も必要ねえ。それだけのことだ」



挿絵(By みてみん) 馬謖(ばしょく)

「ふむ。私にはとうてい我慢できない退屈そうな人生だな」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「水を補給したらすぐに出立しろ。

クックックッ……。毒泉を攻略されれば禿竜洞の主には何もできまい」



~~~禿竜洞~~~



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「蜀軍が現れ……た……だと?」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「ど、どうするの? 毒泉を突破されちゃったよぉぉ……」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「あ、あの地獄の一本道を無事に抜けるとは、諸葛亮とは神かそれとも悪魔か……」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「がはははは! さすが諸葛亮サンだ。で、この次はどうするよ朶思王?」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「むむむむむ……。まさかあの毒泉を突破するとは思わなかった。

ど、どうすればよいのだ……」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「兄ちゃん、こいつぜんぜん頼りにならないようぉぉ。

こうなったらこいつの首を手土産に――」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「うわあああっ!!」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「だはははは! 待て待て弟よ。役立たないからって殺すことはないだろう!

その刃物を離せって。だから怖ええって」



挿絵(By みてみん) 楊鋒(ようほう)

「おーーい。朶思王に孟獲のダンナ! いるんだろ?」



挿絵(By みてみん) 銀冶洞のパンク王・楊鋒



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「んん? 誰かが城壁の下から呼んでおるぞ。

おう、隣の銀冶洞(ぎんやどう)の楊峰ではないか」



挿絵(By みてみん) 楊鋒(ようほう)

「困ってるようじゃねえか。

援軍を連れてきてやったから城門を開けてくれよ」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「ぶほっ! 思い出したぞ。

楊峰といえばアマゾネス軍団で有名なヤツじゃねえか!」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「ぼくも聞いたことがあるよ。

すっごい美人ですっごい強い女戦士がいっぱいいるんだよね」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「毒泉が破られても、ワシらには屈強な兵が山ほどいるんだ。

蜀軍などすぐに片付けてやろう……」



~~~禿竜洞 宴会場~~~



挿絵(By みてみん) 楊鋒(ようほう)

「へっへっへっ。俺が来たからにゃあ、蜀軍なんてすぐに片付けてやるよ。

だから大王たちは踊り子のショーを見ながら、酒でも飲んでてくんな」



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「よろしくです。踊り子です」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「はりきって踊るにゃ!」



挿絵(By みてみん) 馬雲緑(ばうんりょく)

「興奮してもステージには上がらないでくださいねっす」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「げへへへへ! 評判通りの美人ぞろいじゃねえかよおい!

…………なんかどっかで見たような顔がいる気もするが」



挿絵(By みてみん) 馬雲緑(ばうんりょく)

「いややなあ。口説き文句でっか?」



挿絵(By みてみん) 孟優(もうゆう)

「…………兄ちゃん。ぼ、ぼくもなんかこの女たちに見覚えがあるよぉぉ。

ひ、ひょっとしてこいつら……」



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「うるさいです。おとなしく私達のダンスを見ろです」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「う……い、いつの間にかアマゾネスどもに取り囲まれている」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「こんな美人を捕まえてアマゾネスだなんて失礼だっキャ」



挿絵(By みてみん) 馬雲緑(ばうんりょく)

「いてもうたろか?」



挿絵(By みてみん) 楊鋒(ようほう)

「おいおい、もうちょっとは踊り子のフリをしろよ。計画が台無しじゃねえか。

まあ、ここまで包囲しちまったらこれ以上、騙す必要もねえけどよ。

――悪ぃな大王。あんな大軍を相手にゃ戦えねえよ。一足先に降伏させてもらったぜ。

この女どもを使うってのは諸葛亮さんのアイデアだ」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「ぶはははは! 思い出したぞ。お前ら蜀軍の女どもじゃねえか!

こいつは一杯食わされたぜ!」



挿絵(By みてみん) 馬雲緑(ばうんりょく)

「よくもまあ、こんな美人の顔を三人も見忘れられたもんやな。

ほれほれ、おとなしく捕まらんかい、われ」



~~~蜀軍 本陣~~~



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「貴様らのもてはやす知恵者とやらはどこにいるのだ?

毒泉やら密林やら、御近所の紹介をしただけではないか」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「ぶわっははは! そう言うなよ。俺様もがっかりしてるんだ。

朶思王があんなに頼りにならねえとは思わなかったぜ!」



挿絵(By みてみん) 朶思王(だしおう)

「うう…………」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「――ってことで諸葛亮サンよ。さっさと放してくんねえかな」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「ほう。今回もノーカウントだと言いたいのか」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「ぶはは! あったりめえだろ!

色仕掛けなんかしやがって汚ねえぞ! あんなの無しだぜ!」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「おや。あの者どもが色仕掛けなどできたのか。それは興味深い」



挿絵(By みてみん) 鮑三娘(ほうさんじょう)

「南蛮王サマ、すっごい鼻の下伸ばしてたっキャ」



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「伸ばしてたです。鮑三娘じゃなくて私を見て伸ばしてたです」



挿絵(By みてみん) 馬雲緑(ばうんりょく)

「いやいや、どう考えてもウチに見とれてたやろ」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「くだらぬ争いをするな。非実在女どもめ。

――孟獲よ、これで五度目の解放だ。五縦五擒となるな。

まだ余を打ち負かす方策はあるのか」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「はっはっはっ! 心配するな、

まだまだ南中にはアンタも知らない強者がひしめいてるぜ。

そうだな……今度はアイツに声を掛けてみるか。ぶはは! 楽しくなりそうだぜ!

じゃあ、俺は行くぜ。弟とついでに朶思王も放してくれんだろ?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「弟と知恵者(笑)とともにせいぜい頭を悩ますのだな。行け」



挿絵(By みてみん) 孟獲(もうかく)

「おう、あいかわらず太っ腹だな!

そんじゃあ、次の刺客を楽しみにしててくれよ。がっはっはっはっはっ…………」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「孟獲め、だんだん図々しくなっているな。

むむむ……それにしても次はいったい誰を頼るつもりなのか」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「何がむむむだ。彼奴が連れてくる輩などたかが知れている。

そろそろ相手にするのも飽きたな。次に捕らえたら……。

クックックッ。そろそろ余興も終いとするか……」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「………………」



~~~~~~~~~



かくして孟獲は四度目と五度目の解放をされた。

次なる南中の刺客は意外なところから現れる。

はたして諸葛亮の心胆を寒からしめることはできるのか。


〇九三   女王と獣王

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