〇〇五 魔王・董卓
~~~洛陽の都~~~
「蹇碩よぉぉぉ……。
お前の罪はわかっているだろうなぁぁぁ……」
「ふん。あたしが何をしたって言うのさ」
「とぼけても無駄だぁぁぁ……。
お前は馬元義という黄巾賊と内通していたぁぁぁ……。
証拠はあるのだぞぉぉぉ……」
「あらそう。あの馬元義とかいう男、
見かけ以上に使えない男だったみたいね。
こうなったらあたしも覚悟を決めるわ。
煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」
「皇帝陛下に仇なす者にはぁぁぁ……。
死、あるのみだぁぁぁ……」
「だったら国を我が物顔で牛耳ってる
十常侍のアンタが真っ先に死ぬべきじゃないのかしら?
何が陛下のためだか。
目障りなあたしを消す口実ができたのを喜んでるだけじゃない。
御託はいいからさっさと斬りなさいよ」
~~~洛陽の都 宮廷~~~
「董卓よ、よくぞ黄巾賊を破ってくれた!
喜ぶがいい! 皇帝陛下からお褒めの言葉があるそうだ!」
「トウタクとやら、よくやったな。ほめてつかわそう。
それにしてもおまえはふとっているな。
ちんは、しんきんかんをもつぞ」
「フハハハハハ! 吾輩にとっては他愛もない仕事であったわ。
だが陛下、わざわざ北の果てから都くんだりまで来てやったのだ。
言葉ではなく、褒美が欲しいものだな」
「董卓、戦勝の立役者だからといい気になるなよ!
陛下に無礼であろう!」
「いや、かまわんぞオウイン。トウタクのいうことはもっともだ。
それでトウタクよ、なにがほしいのだ。
かねか? かんいか?」
「そんな物になど興味はない!
そうだな……たとえば、その玉座などどうだ?」
「な…………!?」
「トウタクはかわったおとこだな。
こんなふるくさいイスがほしいのか?
ほれ、もっていくがいい」
「…………ああ、その通りだ。
とりあえず、そのイスをいただいておくとしよう。
とりあえず、今はな」
「………………」
~~~洛陽の都 董卓軍 陣営~~~
「ウホッ、魔王様、どうでしたか皇帝陛下は」
「無能、無能と聞いていたが、想像以上であったわ」
「ウホホッ! 魔王様、めったなことをおっしゃってはいけません。
誰が聞いてるかわかりませんぞ!」
「なんの、ここにいるのは吾輩とお前だけだ。
ところでのう丁原、聞いて欲しいことがあるんだが……」
「ウホッ、魔王様のおっしゃることでしたら、何でも聞きましょう」
「ならば、死ね!!」
「ゴホォォォッ!?」
「フハハハハハハ! 吾輩はこれから王になるのだ!
そのためにはお前の配下である呂布が必要だ!
呂布さえいれば、吾輩は天下を獲れる!
フハハハハハハ!!!!!」
~~~洛陽の都 宮廷~~~
「つまよ、こんなところによびだして、なんのようだ?」
「おーい妹よ、俺に何の用だ?
……んん、これは陛下。こんな時間にどうされましたかな」
「カシンこそどうしたのだ。
ちんはつまに、おまえのいもうとによばれたのだぞ」
「陛下ぁぁぁ……。何進ぃぃぃ……」
「うおっ!? ち、張譲ではないか。夜中にお前の顔は心臓に悪いぞ。
ところでお前、妹の何皇后を見なかったか?」
「皇后様はいねえよ!」
「なにッ!? き、貴様は黄巾賊!
ブヒィィィィィィッッッ!!!」
「ああ、カシンがきられてしまった。
……おや、ちんもきられている。うわああああ」
「張曼成ぃぃぃ……。よくやったぞぉぉぉ……」
「げひひひひ!
これで約束通り、黄巾党を再興させてくれるんだな!」
「……なんだなんだこれは。呼ばれてきてやったら血の海ではないか」
「喜ぶがいい董卓ぅぅぅ……。皇帝と大将軍は殺してやったぁぁぁ……。
天下はお前のものだぁぁぁ……」
「ほほう、つまりお前ら宦官は
吾輩を新たな主君として迎え入れようというのか。
皇帝でも、大将軍でもお望み通りの地位で。
その代わり、恩返しにお前たちの権力を保証しろと言うのだな」
「そうだぁぁぁ……。話が早くて助かるぞぉぉぉ……」
「フハハハハハハ! 見誤ったな張譲!
吾輩はやる時は己の手でやる男だ!
お前らの手など借りなくとも、
いずれは霊帝も何進も叩っ斬っておったわ!
ちょうどいい、皇帝殺しの下手人としてお前の首を差し出し、
吾輩は霊帝の仇討ちをした英雄になってやろう」
「愚かなり董卓ぅぅぅ……。お前は黄巾賊の残党に包囲されているぅぅぅ……。
断るのならばここから逃げることはできぬぅぅぅ……」
「げひひひひ! かかれお前ら!
って、げひぃぃぃぃぃぃ!?」
「F*`lksaas13334438zkl;:」
「どうか私の無礼を許してください。
あなたを後ろから襲ったことをです。
でもしかたのないことでした。
あなたはあまりに無防備で、そして私の主人を襲おうとしていたのですから」
「フハハハハハハ! 黄巾賊の百人や二百人がどうした!
呂布よ、こいつらを氷人形にしてやれ!!」
「董卓ぅぅぅ……。我々の策謀を見破っていたのかぁぁぁ……」
「aflsdfl:saasdfl;:」
「私を恨まないでください。丸腰のあなたを斬ることは卑怯です。
でも私の新しい主人がそうしろと言うのです。
これはビジネスですからね」
「無念だぁぁぁ……」
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かくして董卓は混乱に乗じて都の実権を握った。
魔王の支配が招くのは、はたしていかなる世の中なのか?
魔王に対抗しうる勢力は現れるのか……?
次回 〇〇六 名族、起つ