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アイコン三国志  作者: 小金沢
第四章 官渡の戦い
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31/126

〇三〇   白馬の戦い

~~~易京(えきけい)の要塞~~~



挿絵(By みてみん) 趙雲(ちょううん)

「どくッス! 道を空けるッス!

公孫瓚先輩! 話を聞いてください!」



挿絵(By みてみん) 公孫瓚(こうそんさん)

「趙雲! 門を突破してまで何用だ!

さては俺の首を奪い、袁紹に寝返るつもりだな!」



挿絵(By みてみん) 趙雲(ちょううん)

「そんなことはしないッス!

前線に置き去りにされたことも恨んでないッス!

自分はただ、ただ」



挿絵(By みてみん) 公孫瓚(こうそんさん)

「黙れ裏切り者め! お前ら、断じてここの門は開けるなよ!」



挿絵(By みてみん) 趙雲(ちょううん)

「自分はただ、先輩に一言お礼を言いたくて……」



挿絵(By みてみん) 公孫瓚(こうそんさん)

「射殺せよ!」



挿絵(By みてみん) 厳綱(げんこう)

「くたばれ趙雲!」



挿絵(By みてみん) 関靖(かんせい)

「みなさんCM中も裏切り者を逃がさないでくださいよ!」



挿絵(By みてみん) 趙雲(ちょううん)

「先輩……。今までお世話になりました……」



~~~青州(せいしゅう)~~~



挿絵(By みてみん) 袁紹(えんしょう)

「フン、やっと易京の要塞が落ちたか」



挿絵(By みてみん) 田豊(でんほう)

「はい。地下から穴を掘り

ようやく城内へ忍び込むことができました。

公孫瓚とその一族、さらに主だった将の首は残らず挙げました」



挿絵(By みてみん) 審配(しんぱい)

「公孫瓚ごときにここまで手こずらされるとはな」



挿絵(By みてみん) 逢紀(ほうき)

「誰かさんがもう少しマシな策を立てれば

こんなに苦戦はしなかったのだがのう」



挿絵(By みてみん) 審配(しんぱい)

「なんだと」



挿絵(By みてみん) 沮授(そじゅ)

「やめられよ。逢紀殿は別に審配殿のことだとは言っていない。

それより今は戦勝を祝おうではないか」



挿絵(By みてみん) 許攸(きょゆう)

「デュフフwww 公孫瓚の一族の公孫度(こうそんど)、

それに烏丸(うがん)族も拙者たちに降伏したしおすし。

もはや北方は拙者たちのものですなwww コポォwww」



挿絵(By みてみん) 袁紹(えんしょう)

「いやいや、名族の勢いは北方だけに留まるものではない。

かくなる上は――」



挿絵(By みてみん) 袁譚(えんたん)

「かくなる上は?」



挿絵(By みてみん) 袁紹(えんしょう)

「南方、すなわち逆賊・曹操を討伐し献帝陛下を奪回する!

そしてこの名族の威光があまねく天下を照らすのだ!!」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「袁紹様バンザーイ! 名族バンザーイ!」



挿絵(By みてみん) 許攸(きょゆう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 沮授(そじゅ)

「………………」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「ん? わしなんか、おかしなこと言ったかのう?」



~~~許昌(きょしょう)の新都~~~



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「そうか、ついに袁紹君が動いたか。

優柔不断な男だが、決断するとさすがに早いね。

全軍を挙げて南下してるって?」



挿絵(By みてみん) 荀攸(じゅんゆう)

「はい。東の北海(ほっかい)方面から徐州(じょしゅう)へ長男の袁譚が、

西の并州(へいしゅう)からは長安(ちょうあん)へ次男の袁煕(えんき)が、

そして袁紹自身は中央から白馬(はくば)を目指しています」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「名族と名乗るにふさわしい正攻法の作戦だね。

正面から僕らを押しつぶす自信があるのだろう。

それじゃあ僕らも兵を割り振ろうか。まずは荀彧君」



挿絵(By みてみん) 荀彧(じゅんいく)

「はいはい」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「君には都の守りと僕が留守の間の政治を任せたよ」



挿絵(By みてみん) 荀彧(じゅんいく)

「わかりました。でも私だけでは間に合いません。

殿も二月に一度くらいは戻ってきていただけると助かります」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「ああ、そうするつもりだ」



挿絵(By みてみん) 夏侯惇(かこうとん)

「お、おい。

指揮官のお前がそんなに頻繁に前線から抜けるつもりか?」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「そりゃあそうさ。

袁紹君との戦いより、政治のほうが大変だからね。

それとも夏侯惇君は僕がいないと怖くて戦えないのかい?」



挿絵(By みてみん) 夏侯惇(かこうとん)

「お前なんかいらねえよ!

見てろよ、お前が留守の間に袁紹の首を挙げてやる!」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「それが一番助かる。ぜひよろしく頼むよ。

……つづいて徐州方面だね。そっちは曹純君と臧覇君に任せよう」



挿絵(By みてみん) 曹純(そうじゅん)

「袁紹のドラ息子は引き受けました。殿は安心して戦ってください」



挿絵(By みてみん) 曹仁(そうじん)

「大役を預かったな弟よ! 殿の期待に応えろよ!」



挿絵(By みてみん) 臧覇(ぞうは)

「ガッハッハッ! 俺もいるから大船に乗ったつもりでいろ!」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「徐州にはまた僕に降ってくれた陳登(ちんとう)君もいる。

彼は徐州と自分の身を守るためならなんでもするから、

頼りにするといいよ。

西のほうは、長安に詰めている鍾繇(しょうよう)君に任せればいいだろう」



挿絵(By みてみん) 董昭(とうしょう)

「わかりました。鍾繇様に伝えておきます」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「兵站はいつもどおり韓浩(かんこう)君に委ねるとして、

他に何か打っておくべき手はあるかな?」



挿絵(By みてみん) 郭嘉(かくか)

「揚州(ようしゅう)」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「ふむ。がら空きの揚州に孫策君が手を出さないとは限らないね。

袁術君の残党も暴れているそうだし、なにか布石をしておくべきか。

それじゃあ、劉馥君」



挿絵(By みてみん) 劉馥(りゅうふく)

「へい」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「君は袁術君のもとにいたから、土地勘があるだろう。

揚州に入り、地盤を固めてくれ」



挿絵(By みてみん) 劉馥(りゅうふく)

「わかりやした」



挿絵(By みてみん) 程昱(ていいく)

(降伏したばかりの無名なこの男をそんな大役に抜擢じゃと……。

あいかわらず殿はとんでもないことを考えおるわ)



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「悪いんだけど兵はあんまり回せないんだが……」



挿絵(By みてみん) 劉馥(りゅうふく)

「なあに、兵は300人も貸してくれれば十分でさあ」



挿絵(By みてみん) 王朗(おうろう)

「たったの300人だと?」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「何か腹案があるみたいだね。君の好きなようにしたまえ。

兵は貸せない代わりに、副官には

若手なら誰でも連れていってくれていいよ」



挿絵(By みてみん) 劉馥(りゅうふく)

「じゃあ温恢(おんかい)を貸してくだせえ」



挿絵(By みてみん) 曹洪(そうこう)

「温恢? そんな奴いたか?」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「父の遺産を捨てて無一文で官吏になった彼か。

いいよ、連れていきたまえ」



挿絵(By みてみん) 劉馥(りゅうふく)

「貧乏暮らしが長く続きそうなこの任務にゃあ、

うってつけでやしょう?」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「もっともだ。それじゃあ頼んだよ。

名前を挙げなかった諸君は、

本隊として僕とともに白馬に向かってくれ。

袁紹君の兵は……そうだね、僕らの十倍はいるだろうから、

一人あたま十人を相手にするつもりでいてくれたまえ」



挿絵(By みてみん) 張遼(ちょうりょう)

「十倍か……! 面白えー。望むところだ!」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「そうそう孔融君、何か意見はあるかな?」



挿絵(By みてみん) 孔融(こうゆう)

「孔子曰く『袁紹は逆賊』と申す。この戦に反対はせぬ」



挿絵(By みてみん) 曹操(そうそう)

「孔融君のお墨付きももらった。

大義は僕らにありというわけだね。

それじゃあ出発しようか」



挿絵(By みてみん) 夏侯淵(かこうえん)

「おう! 先に行っているぞ!」



~~~白馬(はくば)~~~



挿絵(By みてみん) 侯成(こうせい)

「チッ……曹操のヤロー、

俺たちをこんな最前線に飛ばしやがって。

誰のおかげで呂布を殺せたと思ってるんだ」



挿絵(By みてみん) 宋憲(そうけん)

「当てが外れちまったな」



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「恩賞はもらったが、それだけで一生暮らせはしない。

軍人を続けるのはしかたないが、

よりによって白馬への駐屯を命じられるとは……」



挿絵(By みてみん) 侯成(こうせい)

「若僧の張遼や山賊の臧覇が呂布軍の残党を率いてるってのに、

なんで古参の俺たちがこんな扱いなんだよ!」



挿絵(By みてみん) 宋憲(そうけん)

「まあ逆に言えば大手柄を立てる好機でもある。

聞けば袁紹軍の先鋒は、顔良(がんりょう)と劉備だそうだ。

どちらも名の知れた将だ。どちらかの首を取れれば……」



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「私にいい考えがある。

劉備はかつて呂布に徐州を奪われた。

呂布を殺すきっかけを作った我々は、

いわば劉備のために徐州を取り戻してやった恩人だ」



挿絵(By みてみん) 侯成(こうせい)

「その徐州はあっさり曹操に奪われてるけどな」



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「だが劉備は望んで袁紹陣営についたわけではない。

あの男は非常に単純な人間だという。

曹操に許してもらえるよう我々が取りなしてやると言えば、

誘いに乗るのではないか」



挿絵(By みてみん) 宋憲(そうけん)

「そううまく行くか?

だいいち俺たちが取りなしなんかできるのかよ」



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「ただの方便だ。そのまま捕らえて曹操に突き出してやればいい。

もし誘いに乗らなければ、その場で殺すだけだ」



挿絵(By みてみん) 侯成(こうせい)

「二段構えの策というわけか。

どちらに転んでも俺たちにとってはおいしい話だな」



挿絵(By みてみん) 宋憲(そうけん)

「おっ。早速おいでなすったようだぜ」



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「よし、出陣だ! 劉備を狙うぞ!」



~~~白馬 北部~~~



挿絵(By みてみん) 魏続(ぎぞく)

「ぐおおおおっ!」



挿絵(By みてみん) 宋憲(そうけん)

「うぎゃあああああっ!」



挿絵(By みてみん) 侯成(こうせい)

「く、クソが! 退け! 退けーーい!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「……なんだったのかしらアイツら」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「全くけしからん連中じゃ! 袁さんを裏切れだと?

わしと袁さんの友情をなんだと思っておる!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「……ちょっと親切にされただけで

すっかり袁紹に心酔しちゃってるわね」



挿絵(By みてみん) 糜芳(びほう)

「呂布に騙され、曹操に追われ、

人間不信になってもおかしくないアルからな」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「こいつはそんな繊細な人間じゃないわよ。単細胞なだけ」



挿絵(By みてみん) 顔良(がんりょう)

「さすがは名にし負う劉備殿! 曹操めの誘惑をはねつけ、

間者を即座に斬り捨てるとはお見事!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「魏続を斬ったのはアタイだけどね」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「顔良さんこそ、宋憲とやらを

一刀両断にした腕前、惚れ惚れしたぞ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「後ろから不意打ちだったけどね」



挿絵(By みてみん) 顔良(がんりょう)

「劉備殿と張飛殿がおられれば、曹操など恐れるに足らん!

この勢いをかって我々だけで曹操軍を壊滅させてやろうぞ!」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「おうよ! 袁紹様バンザーーイ!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「………………」



~~~~~~~~~



かくして前哨戦は侯成らの失策により、袁紹軍の大勝となった。

はたして袁紹軍はこの勢いのまま、曹操軍を圧倒するのか?

だが劉備の前には数奇な運命の罠が待ち構えていた。


次回 〇三一   劉備 VS 関羽

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