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アイコン三国志  作者: 小金沢
第十章 秋風五丈原
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104/126

一〇三   第三次北伐

~~~蜀 成都~~~



挿絵(By みてみん) 張苞(ちょうほう)

「へへ……俺としたことがドジっちまったぜ……」



挿絵(By みてみん) 星彩(せいさい)

「いくら殿軍を任されたからって張り切り過ぎなのさ。

曹真軍の追撃を退けて、調子に乗って逆に追い掛けたら

落馬したんだって? 馬鹿ねえ」



挿絵(By みてみん) 関興(かんこう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 星彩(せいさい)

「関興の思ってる通り、今はゆっくり休んどきなよ。

あたいは看病に残るし、関興があんちゃんの分もがんばるからさ」



挿絵(By みてみん) 張苞(ちょうほう)

「ああ……。すまねえな……」



~~~蜀 成都 軍議場~~~



挿絵(By みてみん) 高翔(こうしょう)

「思ったよりも張苞は重傷のようだな」



挿絵(By みてみん) 張翼(ちょうよく)

「ええ。趙雲将軍も静養のため、

馬雲緑もその看病で次の遠征には出られないでしょう」



挿絵(By みてみん) 呂義(りょぎ)

「早くも第三次の北伐が決まったが、我々の戦力は低下する一方だな……」



挿絵(By みてみん) 馬忠(ばちゅう)

「何を弱気なことを! そうやって座っているから余計なことを考えるのだ!

体を動かせ! 汗をかけ! そうすれば万事がうまく行く!」



挿絵(By みてみん) 王平(おうへい)

「てやんでい! どこのどいつが弱気になったって?

汗でもなんでもかいてやろうじゃねえかこのすっとこどっこい!」



挿絵(By みてみん) 姜維(きょうい)

「………………」



挿絵(By みてみん) 呉懿(ごい)

「おや、どうされましたか姜維さん? 顔色が悪いようですが」



挿絵(By みてみん) 呉班(ごはん)

「姜維さん、様子がおかしくねえですかい?

いつもならこのへんで難解なツッコミでも入れるとこなのに」



挿絵(By みてみん) 陳到(ちんとう)

「呉班殿の言う通りだ。

姜維殿、もしや趙雲殿のことを気に病まれているのでは?」



挿絵(By みてみん) 姜維(きょうい)

「…………力が欲しい。目の前の誰かを傷つけさせない力が」



挿絵(By みてみん) 陳到(ちんとう)

「趙雲殿が貴殿をかばって負傷したのを気に病むことはない。

もしかばえずに貴殿が負傷していれば、その時は趙雲殿が悔やまれていただろう。

趙雲殿は貴殿を救えて満足している。貴殿は趙雲殿の分も戦えばよいだけだ」



挿絵(By みてみん) 姜維(きょうい)

「………………」



挿絵(By みてみん) 陳到(ちんとう)

「気に病むのは、別任務についていて趙雲殿をかばえなかった拙者だけでよい」



挿絵(By みてみん) 姜維(きょうい)

「……理解しよう。理屈ではなく、心で」



挿絵(By みてみん) 尹賞(いんしょう)

「自分勝手な俺様ヤローだった姜維が変わったものだな」



挿絵(By みてみん) 梁緒(りょうしょ)

「んだ。趙雲将軍は姜維が初めて

一騎打ちで勝てなかった相手だ。尊敬してんだ」



挿絵(By みてみん) 梁虔(りょうけん)

「――おや? ハカセが軍議場に来るとは珍しいな」



挿絵(By みてみん) 馬鈞(ばきん)

「楊儀クンはいるかネ?」



挿絵(By みてみん) 楊儀(ようぎ)

「これは博士、お呼びだてしてくだされば出向きましたものを」



挿絵(By みてみん) 馬鈞(ばきん)

「出掛ける前に寄ったんダ。

ワタシは都に上がるから、今後のギヱンの運用はキミに任せるヨ」



挿絵(By みてみん) 楊儀(ようぎ)

「は?」



挿絵(By みてみん) 馬鈞(ばきん)

「陳倉の戦いで新兵器がミンナ失敗したろう?

益州にいたのではこれ以上の研究は進まない。

ヤハリ最新の技術と知識に触れなくてはネ。

そういうわけでワタシは都へ行く。後は任せたヨ」



挿絵(By みてみん) 楊儀(ようぎ)

「そ、そういうことでしたら私も同行させてください!」



挿絵(By みてみん) 馬鈞(ばきん)

「キミもギヱンも官職をもらってるんだからそんな無責任なことはできないヨ。

それにキミもそろそろ独り立ちする時期だ。

ワタシから離れ、キミはキミの研究を進めなさい」



挿絵(By みてみん) 楊儀(ようぎ)

「は、博士……。

わかりました! この楊儀、全身全霊をかけて

博士をも驚かせるような成果を挙げてみせます!」



挿絵(By みてみん) 馬鈞(ばきん)

「うんうん。それじゃあ諸君、サヨナラ」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「身体にお気をつけください!」



挿絵(By みてみん) 張嶷(ちょうぎょく)

「息災」



~~~蜀 成都 玉座の間~~~



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」



挿絵(By みてみん) 譙周(しょうしゅう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「フハハハハハハハハハハ!

実に愉快だ。なんと面妖な。なんと滑稽かつ不気味な面相だ。

譙周とか言ったな。気に入った。貴様も劉禅の補佐につけてやろう」



挿絵(By みてみん) 譙周(しょうしゅう)

「ぼ、ぼくちんをそのような大役に……。

あ、ありがとうございます諸葛亮様!!」



挿絵(By みてみん) 董允(とういん)

「…………顔だけで決められたのは気のせいですかな」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「なあなあ諸葛亮。

お前がくれた新しい出師の表なんだけど、よく意味がわかんないぞ。

なんかやたら言い訳がましいし、知らない名前がたくさん出てくるし」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「はあ? 余は新たに出師の表など書いてはおらぬ」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「へ? でもほら、後出師表(こうすいしのひょう)って書いてあるし――」



挿絵(By みてみん) 蔣琬(しょうえん)

「テッテレー! ドッキリ大成功!!」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「わあびっくりした!!」



挿絵(By みてみん) 尹黙(いんもく)

「し、し、蔣琬殿! 玉座の間の床をくりぬいて現れるとは――」



挿絵(By みてみん) 蔣琬(しょうえん)

「おじさん、昨晩から徹夜して穴掘りしました。モグラと友達になったんですよ。

さっきお腹空いたから食べちゃったけど」



挿絵(By みてみん) 郭攸之(かくゆうし)

「そ、それで朝議に姿が見えなかったのか……」



挿絵(By みてみん) 蔣琬(しょうえん)

「で、その後出師の表はおじさんが書いたものでした!

よく書けてるでしょそれ」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「書けてないよ。支離滅裂じゃん。

陽羣、馬玉、閻芝、丁立、白寿、劉郃、鄧銅とか誰なんだ?」



挿絵(By みてみん) 蔣琬(しょうえん)

「おじさんの小学校の頃の同級生です」



挿絵(By みてみん) 尹黙(いんもく)

「ず、頭痛が……」



挿絵(By みてみん) 向寵(しょうちょう)

「-・・・・・・-・・-・・・-(馬鹿め)」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「フハハハハハハハ! 楽しそうではないか劉禅。

貴様の周りにこやつらを配してやった甲斐があった」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「うん。おかげで毎日退屈してないよ。

――でさ、出師の表は偽物だったけど、北伐は本当にやるんだろ?

戦力は減ってるみたいだけど大丈夫なのか?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「魏や呉と比べれば蜀は人口も文化も経済も何もかも劣っている。

人材もまたしかりだ。

だが全知全能の余にかかれば問題ではない。たとえば――」



挿絵(By みてみん) 陳式(ちんしき)

「し、失礼します! 申し上げます!

呉の孫権が新たに皇帝を名乗りました!」



挿絵(By みてみん) 来敏(らいびん)

「なんじゃと? 孫権の小僧までもが皇帝を名乗るとは……。

まるで皇帝のバーゲンセールじゃな」



挿絵(By みてみん) 劉禅(りゅうぜん)

「ふ~ん。まあ別にいいんじゃない?

呉は蜀より国力は上なんだしさ。

わしが皇帝名乗れるなら孫権だって名乗れるんじゃね?

で、諸葛亮。話が途中だったけど」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「――たとえば余の話をくだらぬ報告でさえぎったこの者。

この者を名将に仕立てあげてやろう」



挿絵(By みてみん) 陳式(ちんしき)

「………………え?」



~~~魏 長安~~~



挿絵(By みてみん) 孫礼(そんれい)

「諸葛亮率いる蜀軍が再び北上を開始しました。

どうやらガァァオ!山に布陣したようです。

失礼、祁山(きざん)に布陣したようです」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「性懲りもなくまた来たか! 今度こそ頭から丸かじりにしてやる!」



挿絵(By みてみん) 郭淮(かくわい)

「先鋒は本官にお任せください! 諸葛亮に手錠を掛けてやりましょう!」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「待て。敵は大軍だ。我々の戦力だけでは心もとない。

亡くなられた曹仁将軍に代わり荊州都督に任じられた

司馬懿の兵も動員する許可を得ている。至急、援軍を請おう」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「だが皇帝を僭称しやがった孫権が、勢いに乗って遠征を企んでると聞くぞ。

荊州の防備を緩めて大丈夫か?」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「荊州方面は曹仁将軍や徐晃が亡くなり、将よりも兵力を増強している。

司馬懿を出撃させても曹洪将軍がいれば問題なかろう」



挿絵(By みてみん) 戴陵(たいりょう)

「小難しい話はやめようぜ。要は蜀軍をさっさと撃破して、

司馬懿をさっさと荊州に帰せばいいんだろ」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「もしくは我々だけで蜀軍を破ればいいだけのことだ」



挿絵(By みてみん) 楽綝(がくちん)

「同意する」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「……まったく頼もしい奴らだ。

よし、行くぞ! 蜀軍を一気に平らげてやろう!」



~~~蜀 北伐軍~~~



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「張郃、郭淮に杜襲か。定軍山を思い出すな。

あの時は法正ごときが夏侯淵を討ち取った。

ならば余の手にかかれば曹叡くらい討ち取れるであろう」



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「曹叡は都にいるからさすがの御主人様でも無理です」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

(右将軍なら呪いとか使えばいけるのでは……)



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「李恢」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「は、はい! なんでもありません!」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「呆けている暇があったら後方に兵糧の催促をしろ。

長雨でもないのに輸送が遅れている」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「はッ。李厳、いや李平がまた横着しているようです。すぐに手配いたします。

…………それで右将軍。戦のほうはいかがなさいますか。

郭淮の兵が迫っているそうですが」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「小細工などいらぬ。このまま前進せよ」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「たしかに兵力では我々が勝りますが……。

相手は曹真です。何か策を秘めていると思いますが」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「ほう。余が無策で戦に臨むと思うのか」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「滅相もない! あ、あくまで一般論を申し上げただけです」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「一般論か。貴様ら凡俗にはお似合いの言葉だ。

見ていよ。クックックッ……。半月もあれば魏軍はおのずと崩壊するであろう」



~~~魏 曹真軍~~~



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「後方の武都(ぶと)と陰平(いんぺい)を蜀の別働隊に落とされただと?

くそ! 諸葛亮の本隊をおとりにしやがったのか!」



挿絵(By みてみん) 孫礼(そんれい)

「武都と陰平を攻略したのはワォォォォォン!だそうです。

失礼、陳式という将だそうです」



挿絵(By みてみん) 戴陵(たいりょう)

「……虎ってワォォォォォンって鳴くっけか?」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「陳式……。かつて黄忠の部下にそんな名前がいたな。

そんな大役を任せるとは、ひとかどの将に育ったのか」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「武都も陰平も戦略的には大した重要性はない。

だが部隊を背後に回されたのは厄介だな」



挿絵(By みてみん) 司馬懿(しばい)

「お、遅くなりました!

台風と突風と竜巻と嵐に襲われ到着が遅れました!

そのうえ怪我をして動けなくなっているお年寄りを百人ほど救助していたのです!

本当です! 信じてください!」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「予定より一日遅れただけだろ。

荊州からここまで来ればそのくらい許容範囲だ。気にするな」



挿絵(By みてみん) 司馬懿(しばい)

「おお……。曹真将軍の祁山よりも高く長江よりも深いお慈悲に感謝いたします!」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「お前の援軍が来てくれればいくらでも巻き返せる。頼りにしているぞ」



挿絵(By みてみん) 司馬懿(しばい)

「こ、この司馬懿 仲達(ちゅうたつ)、不惜身命、誠心誠意、全身全霊をかけて――」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「司馬懿は放っておいて話を戻すぞ。

蜀軍の泣き所は兵站だ。持久戦に持ち込めば必ず奴らは撤退する。

だがそれでは決定的な打撃を与えられず、奴らは何度でも戻ってきてしまう」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「西部戦線を守るだけならそれでも十分だ。

しかしできることなら、蜀軍に二度と立ち上がれないほどの痛手を負わせたいな」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「……だがそうなるとますます武都や陰平を落とした理由がわからない」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「どういうことだ?」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「先にも言った通り、武都や陰平は小都市で、多くの兵は駐屯できまい。

せいぜい我々を牽制することしかできないし、得られる軍需物資もわずかだ。

諸葛亮ほどの切れ者が、なぜそんな策を打った?」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「……諸葛亮のやることには必ず裏がある」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「子午谷(しごこく)を抜け、長安を急襲する恐れはないか?

あるいは街亭(がいてい)を奪回に向かうか」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「諸葛亮は一か八かの博打はしない。どちらも可能性は薄いだろうな」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「ならば――」



挿絵(By みてみん) 郭淮(かくわい)

「曹真将軍! 一大事であります!」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「郭淮? 蜀軍と対峙していたお前がなぜここにいる?」



挿絵(By みてみん) 郭淮(かくわい)

「そ、その蜀軍が全軍撤退しました!

武都と陰平も軍需物資と民だけを接収し、放棄したようです。

追撃しようにも本官らの行く手を阻むように

暴風雨が続いておりまして、どうすべきか判断を仰ごうと――」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「諸葛亮め……。まさか二郡を落としただけで満足したのか?

それとも大雨を察知し、これ以上の対陣は無駄だと考えたのか?」



挿絵(By みてみん) 杜襲(としゅう)

「……おそらく街亭、陳倉(ちんそう)と連敗していた蜀軍は勝利を欲したのだろう。

ここで引き上げれば、戦果の大小はともかく勝利という結果は得られる」



挿絵(By みてみん) 曹真(そうしん)

「あの諸葛亮がそんな小さな勝利を求めただけ? そんな馬鹿な話があるか!」



挿絵(By みてみん) 郭淮(かくわい)

「……本官も同意見であります。撤退したと見せかけて奇襲を仕掛けてくるやもしれません」



挿絵(By みてみん) 張郃(ちょうこう)

「いずれにしろ追撃は控えたほうが良いだろうな……」



~~~蜀 北伐軍~~~



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「目的は果たした。これ以上の長居は無用だ」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「いささか驚きましたぞ。

武都と陰平の軍需物資を奪っただけで右将軍が満足されるとは。

……あ、いや! 決して右将軍が欲深いと申したいわけではなく――」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「黙れ。武都と陰平などどうでもよい。

目的の一つはこの陳式とかいう醜男を名将に仕立てあげたことだ」



挿絵(By みてみん) 陳式(ちんしき)

「わ、私ですか……?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「今後はこの戦力外にして構想外の男を動かすだけで、魏軍は戦々恐々とするだろう。

それだけで牽制や陽動になる」



挿絵(By みてみん) 陳式(ちんしき)

「こ、光栄です……と言うべきでしょうか?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「貴様ごときには分不相応な名声であろう。

もう一つの目的は、陳倉を落とすことだ」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「え? ち、陳倉を落とされたのですか? いつの間に?

それに陳倉はあの郝昭(かくしょう)が守っていたのでは?」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「郝昭は死んだ。余に奇跡的な勝利を収めた功で都に上がり、

任地に戻る前に病死したのだ。留守の間に姜維に陳倉を落とさせた」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

(呪いとか使ったのだろうか……。

だいたいその情報をどこから仕入れたのだ?)



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「余に不可能はない」



挿絵(By みてみん) 黄月英(こうげつえい)

「ネタバレすると全国をふらふらしてる諸葛均から仕入れたです」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「…………と、とにかく郝昭が死に、陳倉を落とせたことは僥倖ですな。

これで作戦の幅が広がります」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「馬鹿め。陳倉など郝昭が守っていなければただの古城だ。

それにこちらも一将を失った」



挿絵(By みてみん) 李恢(りかい)

「え?」



挿絵(By みてみん) 張翼(ちょうよく)

「う、右将軍! 都の星彩から急報です!

負傷により療養していた張苞が、な、亡くなったと……」



挿絵(By みてみん) 関興(かんこう)

「!!」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「ち、張苞が……。ちきしょう! なんてことだ!」



挿絵(By みてみん) 諸葛亮(しょかつりょう)

「フン。また戦力のやりくりが面倒になったな。

だがそれよりも大きな問題がある。次の北伐では、膿を出すことになるであろうな」



~~~~~~~~~



かくして第三次北伐は蜀軍の小さな勝利に終わった。

しかし張苞を失い、蜀軍の戦力は低下する一方。

魏軍も兵の損耗は少なく、まだまだ戦況は芳しくなかった。


次回 一〇四   獅子身中の虫

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