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48 見守るのと紙一重?

昨日は投稿出来ずすみません。


お読みくださりありがとうございます!

 複雑そうに珍しくため息をついたディオは、フランに手伝ってもらいながら服を着替える。

 

 仕上げに帽子を顔が隠れるよう目深に被ると、ディオはどこにでもいそうな護衛のように見えた。

 ディオを手伝うフランは()()使()()()の格好をしていて、それが妙に様になっている。


「ねぇ、やっぱり野暮じゃない?」

「そうだよね。いいのかなぁ」

「引き受けた以上はやるしかないだろ」


 ディオと同じように護衛の格好をしたシドが言った。

 声には怒気が混じっているようにも感じる。


「う〜、だってあんな状況じゃ断れないって。シドだって負けたくせに」

「そもそも、断れる人いるの?」


 こうなった流れを思い出し、これからやらなければならないことにディオは困った顔をして、情けなくうなるのだった。


 数日前、家族からの頼まれごとを済ませて家に帰ると、リサとカトリーがエルザに呼ばれて遊びに来ていた。

 理由は単純にエルザがリサに会いたかったりというのが多いようだが、カトリーと公爵夫婦を会わせるためだったりとまぁ、面倒なことなしで気軽にということなのだろう。


 そこまではディオも、エルザ(はは)が仲のいいリサ(ゆうじん)を家に招いただけだと特に気にすることもなかったし、城の妖精たちが騒いでいてディオもそれどころではなかったのだ。


 問題はここからで陽も落ちた頃、ワイングラスを手に談笑する大人たちが悪いのか、はたまたディオのタイミングが悪かっただけなのか。


 特に急ぎではなかったのだが、ディオは忘れるといけないからと両親に伝え忘れたことを伝えるために彼らのもとに向かった。

 妖精に騒がれて疲れ切っているディオをいくら城の中といっても一人で歩かせるのは不安だとシドがアルドを連れて、ディオに付き添った。


 部屋に入ると中では大人たちが軽く酔っていた。

 幸いにも酒飲みに付き合わさせることはなかったのだが、厄介で野暮なことを押し付けられた。


「ちょうどいいところにきたな、ディオ」


 自分でボトルからワイングラスにワインを注ぐ公爵が言った。

 なんだかその笑みに嫌な予感がして、ディオはすぐに戻りたかったのだが父である陛下に肩を組まれて逃げ出せない。


「そうでもないよ。今からじゃみんなに付き合えないもん」


 もっと早く誘ってよと言いながら、ディオはあくびを一つする。

 今日は妖精に騒がれすぎて起きていられる時間が少ないのだ。


「それもそうだな。そっちじゃないから安心しろ」

「頼みたいことがあるのよ」

「それって断れる話?」


 目をこすりながらディオは確認のように尋ねる。

 大人たちが集まっていてその視線の愉快なことに、ディオは一応逃げ道を作っておくことにする。逃げられるかどうかはわからないが――。


「ああ、嫌だったら断ってくれて構わない」

「うーん、それで頼みって」

「実はな――」


 深刻ぶった言い方をする陛下と、兄弟だけあって同じノリをする公爵に挟まれたディオは大人しく彼らの話を待った。


「明後日、ダニエルとカトリーが一緒に出かけるんだが二人の護衛の振りをしてお前らに見守ってもらいたい」

「おじさんたちは?」


 まさか二人だけで出かけると思っていないディオは不思議そうに尋ねた。


「いや、二人だけだ」

「それって見守るっていうより……」

「物は言いようってこと?」


 なんとも言えない顔をするディオ、その側ではアルドが小さな声でシドに話しかけて、シドが頭を抱えながら頷いた。


「認識阻害があればダニーたちに気づかれることもないだろうからな。様子をしっかり見られるかと思ってな」

「前にも説明したけど、認識阻害を強力にしてもダニーには効かないからね。すぐに気づかれると――」

「フランの変装技術を入れても?」

「……それはやったことはないけど」


 エルザの言葉にディオは助けを求めるようににしてシドの方をみるがシドは首を横に振った。この提案を飲むしかないとでもいうように。


「気付かれてもあの人のせいにしておけばいいのだし、フランの技術がどこまで通用するかも知りたいわ」

「身内にも通用するのかも分かるな」

「なんか外堀が埋められてく気がする」


 エルザが公爵を見て言って、公爵は一つ頷いてディオをよく知るダニエルに通用するのかを知りたいと笑った。


 できる、出来ないは関係なく、今この場で求められているのはイエスという返事だけだ。

 この場の大人たちの視線を一身に受けるディオは困った顔をして息を吐いた。


「わかったけど、一個お願い」

「なんだ?」

「ライリーを仮メンバーとして入れたい。さすがにオレたちだけっていうのはリスクが高すぎるよ」


 つい先日ライリーに直接泣きついて改善を求められた以上は少しくらい対処はしたい。

 そのためにも、彼の能力を自分の目で見ておきたいのだ。


「噂のやつか。ディオたちにつくように言っておこう。今はどこにいたかな」

「そういうことで、そろそろ帰ってもいい?」

「ああ、頼むな」


 ようやく解放されたディオはため息とともに大きなあくびを一つして、フラフラと部屋に戻って行った。


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