白紙
胸が締め付けられる、そんなお話
……それから庭師のおじいさんは、直接わたしのところにやって来た。
そしてあの人が死ぬかもしれないことを教えてくれた。
おじいさんの運転する車に乗り、私は病院に向かった。
わたしは、祈るような気持ちでおじいさんの話を聞いていた。
わたしが出ていったあと、あの人は月を見ながらお酒を飲んでいたらしい。そして立ち上がった瞬間、不意に意識を失った。
それを翌朝、庭の手入れに来たおじいさんが発見したのは奇跡だった。この屋敷には滅多に人がこないのだから。
……でも奇跡はそこまでだった。
病院に搬送されたときには手遅れで、意識は戻ったものの、次に発作が起きたら持たないという診断が下った。
そして病院にたどり着き、彼の病室に駆け込んだとき、彼の周りで複数の医師や看護士が慌てて処置をしていた。
意識のない彼の目がこちらを見て、優しく笑った気がした。
……はじめて見る、笑顔だった。
ポタポタと彼の日記に涙をこぼしながら、そう書いて見たけれど、わたしの心には後悔しかなかった。
なぜあのとき彼に当たり、飛び出したりしたのだろう。
なぜすぐに帰らなかったのだろう。
わたしがあんなことをしなければ、彼は死ななかったかもしれないのに。
わたしが家にいれば倒れた彼をすぐに助けられたのに。
せめて……おじいさんの電話をちゃんと受けていれば……。
そんな風に考えると、もう涙が止まらなかった。わたしの時間を終わりにしたいと思った。でもそれはできない……。
わたしは日記の最後のページを開く……。
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