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僕とわたし  作者: スナオ
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12/15

白紙

胸が締め付けられる、そんなお話

 ……それから庭師のおじいさんは、直接わたしのところにやって来た。


 そしてあの人が死ぬかもしれないことを教えてくれた。


 おじいさんの運転する車に乗り、私は病院に向かった。


 わたしは、祈るような気持ちでおじいさんの話を聞いていた。


 わたしが出ていったあと、あの人は月を見ながらお酒を飲んでいたらしい。そして立ち上がった瞬間、不意に意識を失った。


 それを翌朝、庭の手入れに来たおじいさんが発見したのは奇跡だった。この屋敷には滅多に人がこないのだから。


 ……でも奇跡はそこまでだった。


 病院に搬送されたときには手遅れで、意識は戻ったものの、次に発作が起きたら持たないという診断が下った。


 そして病院にたどり着き、彼の病室に駆け込んだとき、彼の周りで複数の医師や看護士が慌てて処置をしていた。


 意識のない彼の目がこちらを見て、優しく笑った気がした。



 ……はじめて見る、笑顔だった。



 ポタポタと彼の日記に涙をこぼしながら、そう書いて見たけれど、わたしの心には後悔しかなかった。


 なぜあのとき彼に当たり、飛び出したりしたのだろう。


 なぜすぐに帰らなかったのだろう。


 わたしがあんなことをしなければ、彼は死ななかったかもしれないのに。


 わたしが家にいれば倒れた彼をすぐに助けられたのに。


 せめて……おじいさんの電話をちゃんと受けていれば……。


 そんな風に考えると、もう涙が止まらなかった。わたしの時間を終わりにしたいと思った。でもそれはできない……。


 わたしは日記の最後のページを開く……。



無断転載、盗作を禁じます。

Reproduction is prohibited.

©️スナオ 2020 All Rights Reserved.

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