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12 これからどうなる? ケント目線

12 これからどうなる? ケント目線


 俺は、どこまでしゃべった?


 リシアを拾った日から、今日までのことをほとんど全部しゃべってしまった。


 もし知っていれば、尻の毛が何本あるかまで喜んで答えていたと思う。


(この人、やっぱり怖い)


 俺が青くなっていると、魔術師団長はにこやかに笑った。


「今日はありがとう。とても参考になったよ」


「俺、話してはいけないことまで話していませんか?」


「君の話を悪用するつもりはない。約束するよ」


「本当ですか?」


「ああ。それから、これからもときどき、こうして話をしようね」


 断れるはずがなかった。


「はい……」


 俺はうなずいた。


 来たときとは違う意味で足元をふらつかせながら、研修の部屋へ戻った。


 扉を開けると、全員が一斉に俺を見た。


 教官まで見ている。


「ケント、大丈夫だったか?」


 ダグラスが代表して尋ねた。


 心配してくれていたのだと思う。


 リシアのおかげで、最初に比べれば同期の皆とはずいぶん仲よくなっていた。


 けれど、心配より好奇心のほうが、少しだけ大きそうだった。


「大丈夫だ」


 俺はにっこり笑って席へ戻った。


 誰も納得していない顔をしていたが、教官の前だったので、それ以上は聞いてこなかった。


 その代わり、研修が終わった途端、俺はダグラスたちに両脇を捕まえられた。


「よし、食堂へ行くぞ」


「なんでだよ。俺は宿舎へ帰る」


「駄目だ。魔術師団長と何を話したのか、全部聞かせてもらう」


「さっき大丈夫だって言っただろ」


「大丈夫なのはわかった。俺たちが知りたいのは、その先だ」


 同期たちは俺の反対を聞かず、そのまま食堂まで歩いた。


 今度は魔術師団長のように昼飯を用意してくれる者はいなかった。水だけが置かれ、皆に囲まれた。


「さあ、話せ」


 仕方なく、俺は魔術師団長に呼ばれた理由を話した。


 ただし、リシアが池のそばで「アレク」と口にしたことや、教会にドレスが残っていることまでは言わなかった。


 リシアには何か事情がある。


 魔術師団長がリシアに興味を持っていることは、皆にも伝わった。


「リシア、やっぱりすごい人だったんだな」


 ダグラスが腕を組んで言った。


「前からすごかっただろ」


「そうだけど、魔術師団長まで興味を持つとは思わなかった」


「このことを、ほかでしゃべるなよ」


 俺が同期たちを見回すと、皆の表情が真面目になった。


「わかってる」


「リシアに迷惑がかかるかもしれないからな」


「聞かれても、俺たちは何も知らない」


 俺たちの同期に、この話を広める馬鹿はいなかった。


 魔術師団長とのつながりを利用して、自分だけ得をしようと考える馬鹿もいなかった。


 騒がしくて、遠慮がなくて、俺を食堂へ拉致しておきながら水しかださない連中だったが、そういうところだけは信用できた。

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