清濁の青
/
ぽつ、ぽつ、ぽつ。
雨が降ってきた。どの位、私はここで呆けていたのだろうか。
ここは、神社か。12月に、夜久斗と来たっけ。
目の前には死体と、それを抱いて泣きじゃくっている赤い服の少女。私は、それから目をそらし、立ち上がる。
「夜久斗・・・。」
私のたった一人の家族が死んだことを思い出す。涙は、出ない。だって、私が殺してしまったから。全部、私のせい。
でも、どうしようもない。
「これから、どうしようか・・・。」
雨が、降りしきる。
私についた血を洗い流してくれるが、私の服についた血は落ちてくれない。
「家に、帰りたいな・・・。」
でも、家が無い。帰る場所は、もう無い。
それでも、私は雨の中、歩き出す。
「あったかいお家に、帰るんだ------。」[newpage]
/
信号が、四つ全て青になる。
それを合図に、人々は一斉に歩き出す。
だから、私も歩き出す。
行くあては、ない。
だから、交差点の中央で立ち止まる。
「どこに、いこうか。」
夜久斗を、一番大事な家族を殺したにも関わらず、私は幸せになっていない。
頑張った人は、報われなきゃいけない。
報われて幸せにならなきゃいけない。
なのに、私は、報われていない。
幸せでも、ない。
あんなに、家族を殺した奴を殺そうと、がんばったのに。
報われない。
当然、なのだろう。
信号が、一斉に点滅を始める。
だから、私も、歩き出す。
私は頑張ったところで報われなくて、当然だ。
だって、私はまだ、生きている。
私の家族を殺した奴を、殺せていない。
でも、私は、死にたくない。
現に、そのまま立ち止まっていれば死ねる場所からあるきだしてしまっている。何故かは、知らない。
行く当ては、無い。
帰る場所も、無い。
でも。私の願いは、まだ叶っていない。
だから、願いをかなえて幸せになるために、青鞘の刀を持って私は歩きだす。
「だって、頑張った人は報われなきゃ、いけないから---------。」
終