三年 剣術大会
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
今日の天気は晴れです。
今日は剣術大会当日です。
ここ数日でレッサーパンダも慣れたのか、威嚇してくる事も無くなり平和。
ソラ達とはとても仲良くなってるし。
起きた途端目の前にレッサーパンダの顔があるのはまだ慣れないけどね!
今日も起きた目の前、鼻の触れる距離でプープー寝てるレッサーパンダ。
発声練習と準備体操をしていると、起きたレッサーパンダが、
「ヤヤヤ、ヤヤー!」
と何やら訴えている。
全然意味が分からなくて首を傾げてると、ガッと顔を持たれて、デコとデコをガツッとぶつけられ、俺とレッサーパンダの体がピカッと光った。
………………勝手に従魔になったよこいつ?
期待するような目で俺を見るレッサーパンダ。
また名前を考えないといけないらしい。
苦手なんですけど!
レッサーパンダと呼んではいたけど、良く見ると微妙に違う。
前世の動物園で見たレッサーパンダよりも、手足は短く、茶色の部分が赤い、顔はレッサーパンダなのに、体型は熊寄り。
名前名前名前と唱えながら考えてるんだけど、風太君しか思い浮かびません!
でもそれはどうかと思うので、レッサーパンダ、ベアー、レッサーベア?
じーーっと眺めながら悩んでいると、目の前に鼻先を突き出して催促される。
その鼻先が、赤身の強いピンク色で、すもものように見えて、
「プラム?」
と呟いたら、
「ヤヤ!」
と元気良く返事された。
名前はプラムで良いそうです。
着替えて食堂へ。
何時ものメンバーで朝食を済ませ、ディーグリー以外のメンバーで、保護者として来ている王様達に挨拶するため来賓室に。
ディーグリーの保護者は、また別の保護者控え室が用意されてるからね。
部屋に入って王様や王妃様、教皇猊下や将軍さんに挨拶。
激励の言葉を掛けられ退出。
その際アールスハインが当然のように俺を王様にパス。
王様も当然のように受け取る。
なんだろうかこの流れ作業は?
初めて会った人達に、プラムが警戒して密かに威嚇ポーズを取っているが、ソラとハクに宥められてる。ラニアンは俺に抱っこされてる。
ほのぼのとした動物達に、来賓室が和んでいる。
警戒してるプラムの紹介をすると、皆さん無理に近付かず、離れた位置から微笑ましそうに眺めるだけ。
すぐには慣れられないだろうと、ソラとハクはプラムに付いていてくれるようです。
ええ子らや!
その後大人達の会話で、俺の誘拐事件は、誘拐犯の学生は捕まったけど、そこからどう言う経緯で妖獣の密売人に渡ったのかは不明。
でも妖獣の密売人達は、俺が報告した倉庫に騎士団が踏み込んで全員捕縛され、奴隷落ちさせられた。
俺が妖獣を全部逃がしちゃったから、慌てて付近を探し回ってた所にタイミング良く踏み込めたらしい。
取り引き場所を見張ってた騎士達は、魔道具師とAランク冒険者のスコラウスを捕縛しようとしたが、腐っててもAランク冒険者、騎士達を撒いて逃げ延びたらしい。
冒険者登録は一時停止されてて使えないようになってるので、遠出することも、国を出る事もだいぶ難しくなった。
潜伏してた屋敷は使用人以外は見当たらず、その使用人達も、臨時で雇われただけで魔道具師、冒険者スコラウス、クシュリアが本当は何者だったかも知らなかった。
屋敷を借りる際に、元女神の養子先のマーブル商会が関わっていたが、それは正当な商取引だったので、マーブル商会も騙された側として、責任を問う事は出来なかった。
これは本当に関わって無いのか、上手く回避したのかは微妙な所。
見張りは付けるらしいけどね。
逃げた奴等の捜索は続行されるけど、未だ手掛かりは無い。
ーーガガーンガーンガーンーー
銅鑼が鳴り、剣術大会の始まりを知らせる。
競技場にゾロゾロと移動して、貴賓席に座る。
俺は王様の膝の上。
動物達は王様の足元にいる。
たまに王妃様に撫でられながら観戦。
アールスハイン、ディーグリー、助は順調に勝ち上がり、他には三人の騎士科の三年生が残った。
お昼は貴賓室に決勝に残った生徒を招待して食事になる。
アールスハインと助は慣れたものだけど、ディーグリーは王妃様に、騎士科の三年生は、同席している全員に緊張してカチンコチンになっている。
午後の試合大丈夫?
緊張で食事が食べられないかと心配になったけど、その辺は大丈夫だったようです。
テーブルに並んだ、学園の料理人渾身の豪華料理に目が釘付けだもの。
出された側からモリモリ食ってる。
まあ、王妃様以外は負けずにモリモリ食ってるけどね。
王妃様も、仕種は上品だけどモリモリ食ってるよ!
休憩を挟んで準決勝戦。
三人で戦う試合が二回、その試合に勝った一人が決勝へ。
剣術大会なので仕方がないんだけど、今の騎士の主流は魔法剣なので、お城の訓練では、それはそれは派手な魔法のぶつかり合いが常に見られる。
それを見慣れてると、ただの剣の打ち合いは、物足りなく感じてしまう。
勿論、模造剣とは言え一歩間違えば命に関わる試合なのは分かるんだけど、同じ感想を持ったのか、将軍さんも微妙な顔してるし。
騎士科の希望者には、魔法剣も教えるようになってきたし、来年か近いうちに、剣術大会も、魔法剣術大会になりそうだけどね。
そんなことを考えてる内に、決勝進出者が決まった。
アールスハインと助。
二人はこっちに礼をして向かい合い、体に魔力を流し、肉体強化を使い出した。
二人とも声は出さないものの、顔が満面の笑みになってるし。
肉体強化なんかしちゃうから、模造剣が途中で折れちゃうし、終いに殴り合いになってるし、二人があまりに速く動き捲るせいで、審判が止めるに止められないし、将軍さんが大興奮で、ヤジを飛ばしまくってるし、最終的にお互いの顔を殴り合って倒れるって、伝説のボクシング漫画か!!って突っ込みたくなった。
助には通じるだろう。
剣術大会なのに殴り合いでも決着が付かなくて、異例の二人優勝って事になった。
なんかグダグダだね!
王様に表彰される二人は、反省の為か、顔を治癒魔法で治してもらえず、パンパンの紫色な顔で表彰されてた。
観客には大ウケだったけどね!
剣術大会の後は、演習の結果発表なので、生徒は速やかに講堂に集合。
俺を迎えに来たアールスハインと助の顔を見て、将軍さんが爆笑してた。
講堂に着くと、後ろの方の席をユーグラムとディーグリーが確保しといてくれたので、座ってると、チラチラチラチラチラと、ちょっと前の席に座ってるクラスメイトな令嬢のグループが見てくる。
初日に挨拶してきた根性の悪そうな令嬢。
名前は忘れた。
これだけ顔が腫れて、紫色なアールスハインをうっとり見つめられるなんて、根性あるな、と感心はした。
演習の結果は、今年も断トツとは行かなかったけど、一番はユーグラム班と発表された。
前に座ってるクラスメイトな令嬢のグループが、立ち上がって拍手してくるけど、顔がボコボコの男ですよ!
まあ、他の皆も拍手してくれてるんだけどね。
今年は肉目的の騎士科の生徒が大いに張りきったので、上位二十位くらいまでは全部騎士科の生徒だった。
ウオオオオオって叫びが凄かった。
普段なら森での演習が、一番効率良く点数を稼げるはずだからね。
肉への執念が凄かったね!
発表も終わり、夕飯にはちょっと早い時間、どうする?って相談したら、アールスハインと助にトンカツとプリンをリクエストされました。
それを聞いたシェルが、速やかに調理室を確保。
今日はお祝いなので、助ではなくディーグリーとシェルが助手です。
もう何回も作ってるので手順は覚えて、確認だけの楽なお仕事です。
トンカツは二人に任せて、俺はプリンを作ります。
お祝いなのでちょっと豪華にプリンアラモードにしてやりましょう!
果物を切って、作り置きオヤツのビスケットなんかも飾って、生クリームに味も見た目も同じなココナッツみたいな実の中身も飾って、冷蔵庫へ。
トンカツを食べ終わる頃には食べ頃の冷たさになっているだろう!
サイズは洗面器サイズだけどね!
皆してそれくらいペロリだからね!
俺のはコップサイズで別に作ったよ!
ちょっと焦げたトンカツを腹一杯食べて、プリンアラモードをとても満足そうに食べて、本日は終了。
ちなみにソラとハクはアールスハイン達と同じ量のトンカツを喜び、ラニアンは自分と同じサイズの生肉を食べ、プラムはトンカツも食べたけど俺と同じ量、プリンアラモードはアールスハイン達と同じ量を食べたよ!
大きくなったわけでもないのに、皆どこにその量が入るのさ?!と驚愕しました。
更にちなみに、プラムは風呂が好きでした。
俺を洗うシェルを見て、ハクとラニアンを泡まみれになって洗ってた。
アライグマだったの?まあお互い楽しそうだから良いけど。
水嫌いのソラは逃げました。




