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この兄をどうにかしてください!!  作者: 杮かきこ
第2章  『このお嬢様をどうにかしてください!!』
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第12幕  『スィコ』

 それからさらに2日後。

 ナルの姿は、王都イオ。ニキティス本家の居城『スィメア城』にあった。

 小さなテーブルを挟んで、旧知の仲である本家当主スィコと対峙していた。

 


スィコは息子たちが、なかなかピサ島から戻ってこないことが不満だった。

早く愛しい娘の様子を聞きたくて仕方なかったのだ。

 フォスの心配ではちきれそうな父親の姿に、話をしているナルも終始苦笑が崩せなかった。

「今日はフォスの話をしに来たわけじゃないんですがね……」

「わかってる。それでも俺は全然フォスに会いに行けないんだぞ」

 駄々っ子のように拗ねるスィコに、ナルは何度目かのため息をついた。



◆◆◆



「で…敵の正体は掴めたのか?」

「えぇ。オルディネの記憶からなんとか。敵の将の名は『デウス・エクス・マキナ』」

「…『機械仕掛けの神』か…ふざけた名前を……」

 ナルから報告を受けたスィコが、不機嫌そうに吐き捨てた。

「まぁ、あなたも予想している通りの敵でした。今更とは思いましたがね……」

 ナルの呟きのような言葉に、スィコの答えはない。

 が、その険しい表情を見るだけで、ナルには理解できていた。

「それとピサ島に、『カタフ』がそうとう入り込んでいますね。

 恐らくデウスという名のもとに集まった『カタフ』の半数程がピサ島にいるようです。

 オルディネの記憶から当たれる『カタフ』は潰しますが…『タルタロス浄化』に関わると思われる『アトスポロス』は、無条件で命を狙われるでしょう。

 ピサ島の『カコ』と、イディアの『タルタロス』は敵の策の…要のようですから。

 あと、ロイド王国に…奴らは何か仕掛けてますね。

『大きい花火を打ち上げる』とオルディネの記憶は語ってきました。

 これをどうとるか…我等次第でしょうが」

 スィコは嘆息し、ナルの顔を見た。

 胡散臭い笑顔以外、感情を表に出さない事務的な顔などを見せることが多く、表情に乏しいナルだが、スィコは長年の付き合いで、その考えていることは読み取れるようになっていた。

「ロイドの件は、隣国のテバイで何か遣らかしていると考えるべきかもしれんな。

 どちらにせよ、奴らの関与は明らかになったんだ。

 ナルはピサ島の守護に全力してくれ。それと女王がナギと進めてる『騎士団』のことは、結成を急いだ方がいいだろう。

 ピサ島の治安の意識が上がれば、奴らもそれなりに活動がしづらくなるかもしれんしな。

 それも合わせて連絡のやり取りを頼む」

「…御意」

「その言い方はやめろと言ってるだろう?俺とお前の間柄じゃないか」

「じゃぁ、わかりました。かな?」

「それでいい」

 再び拗ねるスィコに、ナルはどうしても苦笑を崩せずにいた。

「でも…フォスも茨の道を選ぶ子だね……」

 ふいに、ナルの口調が砕けたものとなる。

 スィコの顔がどこか穏やかなものへと変化した。

「それでも。その茨の道に、あれの『半身』がいた。そしてようやく会えたのだからな」

「…でもあの子はガイアの申し子だ。その『半身』もね。ガイアが護ってくれるよ。

 もちろん私も護るさ。お前との約束だ」

 ここでスィコが一息ついた。

「…あいつ…来るかな?」

 ぽつりと漏れたスィコの呟きに、ナルは目を瞬いたが、すぐ落ち着きを取り戻した。

「来るだろうな…会いに」

「…そうか。だろうな……」

 それ以上スィコはそのことには触れなかった。

 ナルも触れることを避けた。





 時間は流れてる。留まることなく、ただひたすら、全ての思いを引き連れて――。



第2章 了。

第3章『この祭りをどうにかしてください!!』につづく。

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