第21話 人間カンスト宣言
フクロウ組にはしばらく22階で一緒に戦ってもらう。効率を考えたらオークの洞窟とワニの群れの周回だろう。クロームアリゲーターがいればデカい。だが、あまり細かく指示すると面白くないだろうから、周回ルートは好きに決めてもらう。
俺のレベルはついに46になった。額にあった9つの丸のうち中央の丸だけが残り、そこから8方向へと放射線が伸びている。大日本帝国海軍の大将旗のような形だ。
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素早さなどの一部のステータスを除いて、ステータスの大半が1万の大台に乗った。ガラガエルなどに比べればずっと弱いが、ミルチェルあたりと比べるとそれほど遜色なくなった。
<次のレベルに上がるには進化する必要があります>
人間はレベル46でカンストだ。遂に俺も進化するときがやってきたようだ。進化って軽く言うけど、要するにホモ・サピエンスを辞めるってことだからな。めちゃくちゃ凄いことのような気がしてきた。
<進化先としては魔人または天人が選べますが、お屋形さまの場合は魔人との親和性の方が高いです>
親和性が高いほうがレベルアップが早くなる。俺の場合、レベルアップに必要なマカが魔人だと天人よりも10%低いようだ。
闇属性が強い魔人が一番向いているというのはすこし心外だが仕方ない。陰キャなのが原因なのだろうか? それとも腹黒いのが原因か?
魔人になると闇魔法と闇耐性のレベルが上がるが、その代わり光魔法と光耐性が下がるようだ。魔人のまま王位に就くと魔王になってしまうらしい。そうなると勇者との戦いを宿命付けられるという例のパターンに陥ってしまう。
中庸を旨として生きてきたので、できればそういう極端なキャラにはなりたくない。が、中間属性の種族は選べないようなので効率を優先して魔人になるしかないだろう。
人間から魔人への進化には『進化の種』が3つ要求されるが、すでに持っているので問題ない。
問題はマカだ。進化を実行するには630万マカほど必要になるが、この階層で入手できるのはパーティ全体で一日200万ほど。俺に入ってくるのはその一部なので一週間ぐらいは掛かりそうだ。
「遂にレベル制限から開放されたか。感無量だな」
モンタロスも地味に成長し続けていたので、元の最高レベルを超えた45になっていた。俺のレベルが46になったので遂に制限なしで常に最高出力が出せるようになったのだ。
ブラックモアのレベルも39になっている。流石にこの階層でレベル上げをしていると早い。
「そろそろこの階層の闇騎士に挑戦してみるか」
闇騎士相手に楽勝できるようならば、そのまま33階のボスと戦ってさっさと地下34階に下りたほうがいい。苦戦するようならば、レベル上げと装備の充実に時間を掛けるべきだろう。
流石に地下33階は広い。その日の夜は闇騎士を見つけることができなかった。
翌日に再びレベル上げ作業をこなして、夜間に昨日とは違うエリアを探索すると、闇騎士がいた。
地下33階ではレベル45の闇騎士が2名で行動していた。それぞれがレベル37の闇従者を従えていて、馬のレベルも35になっている。
地下22階の闇騎士よりはずっと強いが、それでも今の俺達にとってはそれほど恐ろしい敵ではない。
アヤさんが凄まじい速度で翻弄して闇騎士を落馬させ、そこを俺が【破荒突き】で始末する。元々は地下22階の闇騎士から学んだ技だが、今では俺の十八番だ。
敵を一体倒すとパワーバランスが崩れて、こちらが圧倒的に有利になる。やはり【眷属召喚】で16体召喚できるのは反則的に強い。勝ちが見えたところでアヤさんが【獣化】して決着が付いた。
「明日はボス戦に行ってみるか」
俺がそう言うと詩織が異を唱えた。
「私もお馬さんが欲しいです!」
今日倒した闇騎士の乗馬はテイムすることができなかった。1匹はアヤさんが瞬殺し、もう1匹を詩織がテイムしようとして失敗した。エリクサーを使わずにけちってハイポーションを使ったからだろう。
「詩織、馬をどうするつもりだ? まさか人間のサイズじゃ満足できなくなって……」
「乗るためですよ! 変なことを言わないでくださいっ!」
詩織はそれほど素早さが高くないから、馬を手に入れると戦術の幅が広がるというのは事実だ。ボスがいるオープンフィールドでしか出現しないので、今のうちに手に入れておいたほうが良いだろう。
「では明日は地下33階宮殿の探索にとどめて、ボス戦は馬を手に入れてからにするか」
これだけ余裕を持って闇騎士を倒せるのだから、ミノタウロス宮殿の時のように「進むも地獄、引くもまた地獄」といったような状況に陥ることはあるまい。




