表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1人の方言話者より  作者: 言根(ことね)
3/20

「ている」

 内容に一部誤った見解があります。(活用についてです。)その間違い方さえも生の語感であるとして、編集ではなく次の次のエピソード『「ている」に訂正』の割り込み投稿をいたしましたので、よろしければ是非、合わせてご覧ください。

 「もしもし?」


「もしもし。ごめん!今家?」


「いや、もうすぐ着く。なんで?」


「いや、モバ充貸してもらえんかなって。けどまだ24%やけん、多分なんとかなる。ありがと。」


「ごめん。」


「いやいや。というか、速くない?割とさっき帰りよったよね?」


「結局帰っとらんけん。弟おったけん、荷物預けた。」


「あーね。弟くん優しいな。」


「やろ。」




 いきなりでしたが、なんとなく伝わったでしょうか?会話内容は以下の通りです。




 「もしもし?」


「もしもし。ごめん!今、家にいる?」


「いや、もうすぐ着く。なんで?」


「いや、モバイル充電器を貸してもらえないかなって。でもまだ24%だから、多分なんとかなる。ありがとう。」


「ごめん。」


「いやいや。というか、速くない?割とさっき帰っていたよね?」


「結局帰っていないから。弟がいたから、荷物を預けた。」


「あー、なるほどね。弟くん、優しいな。」


「そうだろう。」




書き言葉にしてみましたが、合っていますか?



 待っている人と、そこへ向かっている人との電話での会話を書いてみました。荷物を置きたいから一旦帰宅すると言って別れた後で、合流する前に電話がかかってきたという場面です。


方言として注目していただきたいのは


「割とさっき帰りよったよね?」


「結局、帰っとらんけん。」


というところ。


この「帰っとらんけん(過去の状態)」は「帰りよった(過去進行形)」ことは否定せず、その上で家にたどり着くことはなかったために戻ってくるのが速かったのだと返しています。


これを標準語にすると


「割とさっき帰っていたよね?」


「結局、帰っていないから。」


となって、ニュアンスは文脈判断になりますよね。


方言で言い分けているものが分けられないとなると、標準語に取り入れてほしくなります。


無理を申しました。



 今はここで解説をするに止めますね。


ご紹介したい「している」に当たる方言は「しよる」と「しとる」です。


「る」は言わずに「しよう」、「しとー」もあるのですが、1つずついきましょう。


 「しよる」は


未然形 しよら ん 

連用形 しより ます

    しよっ た/て

終止形 しよる 。

連体形 しよる とき

仮定形 しよけ ば

命令形 しよけ !


だと思います!五段活用型ですね。行は跨いでいますが。



 そして「しとる」は


未然形 しとら ん 

連用形 しとり ます

    しとっ た/て

終止形 しとる 。

連体形 しとる とき

仮定形 しとけ ば

命令形 しとけ !


活用は一緒のようです。「よ」と「と」の違いだけなのですね。


便宜上、サ行変格活用の動詞「する」をくっつけていましたが、「よる」も「とる」も連用形接続です。


基本的なイメージとして、「しよる」には動きや緊急性、能動的、進行中のようなニュアンスがあり、「しとる」には状態や完了のニュアンスがあります。


もしあなたがコーンでアイスを食べていて


「溶けよるよ!」


と言われたら、少し慌てて、服や靴に垂れた部分がつかないように腕を伸ばしたり、ぐるっと一周確認して舐め取ったりしてください。


この場面で


「溶けとるよ!」


と言われたら、私とは違う方言の使い手の方かもしれません。



 さらに難しいことを言うと、どっちでも良い場面もあります。


「昔はよく走りよった。」

「昔はよく走り回っとった。」


過去進行形として見ても、過去の状態と見ても大きな意味は変わりませんし、ニュアンス差も拾えなくてもあまり問題ないですね。


私の方言の場合、過去形になるとどっちでも良い場面が増えるなんて話もあったような気がします。




 ついでに、い抜き言葉にも触れさせてください。


「している」に対応する「しよる」「しとる」でありながら、補助動詞「いる」はいないのです。


「してる」を認めるとするならば


未然形 して ない

連用形 して ます/た/て

終止形 してる 。

連体形 してる とき/ので

仮定形 してれ ば

命令形 してろ !


ということで、タ行下一段活用型ですね。



これは、単純接続の接続助詞「て」がエ段であったことも、い抜き言葉の普及を助けていそうです。



  1人の方言話者より、


「しよる」と「しとる」の形の違いは「よ」と「と」だけであることと、活用の行がラ行とタ行を跨ぐことを新たに自覚しました。


ニュアンス差については、慣れが必要な類ですね。


また、「ている」が「てる」とされる"い抜き言葉"は、連用形接続でタ行下一段活用型の助動詞「てる」として確立されうる形をしていることを提唱いたします。



 「しよる」と「しとる」に馴染みのない方に合わせるときには、単に「している」に変換するだけでなく、言い回しの工夫が必要そうですね。


それぞれにニュアンスが乗っとーとよ。

 最後の最後に、


私、「乗っとるとよ。」とはあまり言わないな。


と思ってしまいました。


「乗っとるんよ」なら言うのですが、これはまたイントネーションとニュアンスが変わるのです。「○○なんよ」が顔を出すものですから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ