03 取り立てじゃねーよ!!
成巻が手を振りお辞儀をして、龍典を待っていた。
「タクシー大丈夫だったか?かなりへこんでたけど。」
「そうですね、保険に入っていたので少々は・・・・」
「これって自家用?」
「はぁそうでして、荷が重いです・・」
「何かゴメンな俺のセイで・・・・」
「いえいえ!!とんでもない、あれは、アクシデントですよ、こちらの方が謝らなければいけないですよ!!藤谷様を危険な目に合わせてしまって・・・前回は本当にすいませんでした、今後はこの様な事が起きない様に私、気を張り巡らせて、気を引き締めて仕事に精進して参ります。」
・・ハハハもとはと言えば全部俺がまいた種なんだけどな医者料も出してもらったし。
「もう藤谷様は、わたくしのタクシーには乗って貰えないんじゃないかと思っていました。」
「・・・・。」
「またこうして、乗ってもらえて本当に有難いです!!」
「・・・・それより、こっちに向かってくれ。」
龍典は成巻に名簿に書かれた住所を指差し言った。
古びたアパートの横の路地にタクシーは、止まった。
・・・ここか、あんま見覚えねーな本当に取り立てたかこんなアパートに住んでいる男に・・・ベル鳴らしても出てこねーな、
「おーい石本さーんいるかー?」
「おーい!!いねーのか石本ー!!」
「何とかいいやがれー!!石本!!」
ヤッベー取り立てる時の口調になっちまった!?
「そんなんじゃねーよ、石本さん今日はお金取り立てに来たんじゃねーよ。だから早くここ開けてくれねーかな。」
うんともすんとも言わねーな居ねーのか?
・・・・この窓開くかな?・・おっ!?開いた・・
八ッ!?
「オイ!!何してんだよー!!早まるんじゃねー。」
どうするか!?ドア開かねーし後ろに回ろう!!
おっ!?
ベランダの窓開いた!?
「オイ!!早まるんじゃねー石本さん!!。」
「何首吊ろーとしてやがるんだよ!!」
「止めないでおくれ、もう私には何もないんだよ!!」
「一体どうしちまったんだよ!?」
「うちの会社が倒産してしまってもう食いぶちがないんだよ!!だからもう死ぬしかないんです。」
待てよ?もしかして、このままこの男が死んだら金返さねーでいいんじゃねーのか?
そしたら、そのお金、全部俺の物になるじゃねーか!!ハハハハ儲け、儲け・・・・
はっ!?
何だ床に紙が落ちてやがる。
『この人死んだら、スグにでも、お前を殺しに来る ー神よりー 』
何だよソレー!?
「オイ!!死んだら俺が困るんだよ!!」
「あっ!?あなたは、確かヤミ金の・・あーもう私に関わらないでくれ、もう私には、何も食べる金すらないんです!!」
「取り立てじゃねーよ!!それにキッチリ全部、金、徴収したじゃねーか。」
「じゃあ何ですか!?また私に金貸せようとしているんですか!?もうその手には乗りませんよ!!」
「だから違ーって!!」
「じゃあ何ですか!?」
「実は今日は、徴収した金、全部返そうと思って・・」
「えっ!?お金返す?」
「そうだよ。」
「・・またまた、そうして言いくるめてまた高い利息請求するんでしょう!?もう、そういう手には乗りませんからね!!」
「だから~違ーって。」
やっぱそう言っても信じてくれねーよな、
「もう出て行って下さい!!私もう死ぬって決めたんですから!!」
「そう言われてもなー困るんだよ、金返さねーと俺が神に殺されちまう・・・」
「早く出て行って下さいよ!!」
「じゃあ分かったこの紙、今ここで破るよ・・・・ホラ・・これで貸した事ないって事になった。そして、これホラ。ここに今まで徴収した253万ある。これ置いてくぞ。いいな。」
「こんなお金もういらないんですよ!!私はもう死ぬんですから!!」
そういうと男は柱にくくられた縄に首を入れた。
「オイ!?待てよお前に死なれたらこっちが困るんだって!!」
重々しく縄が首にめり込みしまっていく、それを龍典は、必死にその男の体を抱いて上の方に上げ縄から外そうとしている。
左手で首を吊っている縄に隙間を開けほどいた。
「お”ごお”ごお”ご・・・・」
男の喉から咳が大量に発生して苦しそうだ。そして、首には赤くめり込んだ縄の跡がついている。
「お”ごお”ごお”ご・・・・・・・何で止めるんですか!?止めないで下さいよ!!」
「オイ!!何で金返したのに死のうとするんだよ!?」
また男は縄の所に向かったので龍典は、片手で男の腕をつかみ制した。
・・・このままじゃ、この男。俺が帰った後に死ぬな。
そしたら、俺も神のヤローに殺されちまうし・・どうにかしねーと、
「オイ!!一体何があったんだよ!?俺が相談にのってやるよ!!」
すると、その男は龍典に腕をつかまれ身動きがとれないまま泣き崩れてしまった。
「実は・・・実は・・・妻が息子を連れてこの家を出て行ったんです。」
はぁ~~~何だソレ~~!?
「いつだよ!?いつ出ていったんだよ?」
「もう4年前です。」
「じゃあ俺、帰るわ。」
「待って下さいよ~~!!私死にますよ!!」
「ウソだよ、ウソ、それで何だよ!?」
「ですから、家を出た妻と息子に会いたいんです!!」
「それで、居所は分かるのかよ?」
「分からないです。」
「全くか?」
「はい、全く分かりません。」
はぁ~テメー1人でやってろよ!!と思ったけど結局、探偵に頼む事にした。俺の金でな!!
石本のヤローは、会社が倒産するとか、なんかで借金があるって言うし、はぁ~ため息しか出てこねーまっいいか金はまだ充分にあるしな。