真相、そう、それは何時も、予想外なんです。なんでじゃぁ!
ん?
カツンカツンが、止んだ?
あ、精霊さん達が、トリップから覚めたみたいだね。
したらさぁ、フォーさんが開口一番に。
「ワーちゃん!
なんて物、食べさせるのさっ!
ビックリじゃん!」ってね。
いや、なんか不味かった?
したらさ。
「フォー殿。
それでは責めているように聞こえるやでなぁ。
しかし、確かに、とんでもない代物や。
こないに精霊力が込められたモンを、食べたんやから、そらぁ仰天もするやさぁ」
ん?
精霊力が込められている?
どゆこと?
「アロンさん」
「なんやえ?」
「つかぬことを伺うんですが」
「なんやろか?」
小首を傾げる木像なアロンさん。
シュールです。
「提供したケーキ、いや、菓子なんですが。
精霊力が入ってたんですか?」
そう尋ねたらな。
「せやで。
そらぁ、ぎょうさん入ってはってなぁ。
質も極上やから妾ら精霊には、堪らん品やったえ」
はぁ?
いったい、どうして、そんなことに?
俺が首を傾げると、ヒルデガルデさんが呆れたようにな。
「そんなん、藤吾が菓子を冷やしたからじゃろう。
それ以外に、原因はあるまいが」
そうは言われますがね。
「いや、僕が使ったのは魔術・・・じゃなかった、魔法か?
兎に角、魔力を使ったんですよ!
なんで精霊力が付与されるんですか?」
そう疑問を口にするとな。
「精霊力は魔力の上位互換みたいなものじゃ。
ゆえに精霊力を使えるならば、魔力の代わりに精霊力を使うこともできるでな。
藤吾は精霊召喚にて精霊力を感じ、それを元に属性魔力を感じたのじゃろ?
ならば、属性魔力にて魔法行使するつもりで、属性精霊力を使用しても、おかしくは無いじゃろうのぅ」
そうヒルデガルデさんが、予想を告げるとな。
「ほぅ?
渡部殿は菓子へ魔法を使ったのかや?
して、どのような魔法やろか?」
いや、さっき説明したんだがなぁ。
トリップ中だったから、仕方ないか、ふぅ。
「菓子を冷やしたんですよ」ったらな。
「ふむ。
それは、なにゆえやな?」ってな。
だからさ。
「物によりますけど、菓子は冷やした方が美味しいですからね。
この手のフルーツケーキなら、適度に冷えてた方が良いでしょう。
それに生菓子なので痛み易いんです。
そう言う意味でも、冷やした方が良いと考えました」
そう説明したんだがな。
「なるほど、せやからか」
ん?
なにがでしょう?
「菓子を保持するために、清潔にしようとの念もあったのやろなぁ。
聖霊力や神力などの、聖なる力も込められておるや。
そないな力の相互作用にて、あの旨味になったんやろう。
妾らは食べるということを、初めて経験したんやからのぅ。
そらぁ、意識も飛ぶハズやわ」
はぁ?
「いや、聖なる力って、どこから?」
訳分からんからね!
「もー、ワーちゃん、たらぁ。
ワーちゃんの渦巻くような力から一部使った感じじゃない?
聖なる力も、邪なる力もさ、正負様々な力が渦巻いてるんだし、そこから付与されても驚かないよ?」
いや、俺にとっては、十分に驚く事態なんですが!
「つまり僕は、ケーキを冷やすつもりで大量に高品質な精霊力を、聖なる力を付けて付与したと?」
精霊さん達が、全員頷きますね。
さいですか。
マジかぁー
「ま、まぁ。
害はないみたいだし、問題ないですよね?」
だよね?
「せやなぁ、害はない、やろなぁ」
ん?
気になる言い方だな、なんだろね?
「ワーちゃん。
害はないけどさぁ、益はあるよ?」
なぜに、疑問系?
「ほぅ?
益には、なるのかのぅ?」
そう興味深げにな。
「そうだね。
僕たち精霊はさ、顕現したり召喚しても生き物じゃないからね。
だから、詳しくは分からないよ?
けどさぁ。
聖なる力を纏った、大量良質な精霊力を込められた菓子を、食べたんだよ。
どんな怪我や病も、一発で治っちゃうよね。
呪われてても、呪いが蒸発するレベルさ。
悪意なんかも、これ食べたら浄化されちゃうからさ。
悪人なんかは善人まっしぐら、ってね」
はぁ!?
エリクサーなケーキですかぁぁぁっ!
パテシエ、スゲぇなぁ。
ん?
責任転換?
そうですが、なにか?




