表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/203

コレが有名パテシエが造った品かぁ、いざ!実食です!

俺は早速、フォークでケーキを切り分け口へと。

あ、各皿の転移門は外してっからね。


おれのケーキは、転移門付けてます。

いつまでも冷たいし、俺なら時止め状態の品へ干渉するのは容易い。

時が止まってるから変に形崩れせず、スンナリと切れるんだよ。


口に入れたらさぁ、一言で言うと、パラダイス!

楽園やね。


あ、コレが、口福(こうふく)っうヤツやね。

ベト付いた甘さや、クドイ甘さではない。


スンナリ素直なサラリとした甘さ。

だが、シッカリとした甘味の存在感がね。


その甘味がサポートし、フルーツの味が際立つ。

そんな味をスポンジとクリームが包み込み、口を、口内を満たして行く。


ああ。


マンガやアニメで、美味い物食って、大きなリアクションするじゃん。

この場合だと、「なんじゃ、こりゃぁ、ウメェ」とかね。


うん、無理。

人ってさぁ、本当に美味い物を食べると無口になるんだよ。

いや、違うか。


喋ることも、動くことも、すべて忘れるんだ。

だってさぁ。

口の中の味に、意識を全て集中させるから、他のことへ意識を逸らせられないんだよ。


美味いよー、美味いよぉっ!

あー幸せだなぁ。


カッン!


ん?

あ、無い!

俺のケーキ様、どこ行っただっ!


ん?


「藤吾、これ藤吾。

 返事せぬか。

 無視するでないわっ!」


え?

ヒルデガルデさん、オコ?


「あれ?

 なんで怒ってるんです?」

「さっきから呼び掛けおるに、ソナタが無視するからじゃ。

 まさか聞こえおらなんだ、とかではあるまいに」


いや、睨んで言わんでもさ。


「そうだったんですね、ごめんなさい。

 正直、気付きませんでした」ったらな、唖然とされたよ。


「いやぁ、あまりの美味さにですね、他のことが全く入って来なかったんですよ」って、ハハハっと笑ったらさ。


「なんじゃ、それは?

 コレ実は、ヤバい物でも入っておるのかえ?」


恐る恐るな。


「ええ、そうですね」

「なんじゃと!

 そんな物を食わそうとしたのかえ!?」


ビックリ仰天ってね。


俺は深刻そうにさ。

「そうなんですよ。

 旨味とか甘味とかがヤバくてですね。

 ヤバいですから、代わりに食べましょうか?」


いくらでもイケルぜっ!


「アホかぁ!

 我が食すわえっ!


 それよりも藤吾。

 ソナタが持っておる珍妙な物は何じゃ?

 それで菓子を食っておったようじゃが?」


あ、この世界には、フォークがないんだね。

なら麺類もないのかな。

フォークってさぁ、パスタを食べるために作られたそうだよ。


初めは庶民の食べ物だったパスタを、貴族が食いたいってね。

庶民は手掴みで、パスタを食ってたらしいんだ。

けど、流石に主人へ手掴みで食えとはね。


悩んだ料理人が、農具のフォークから閃きを得てな、小型のフォークを造らせたんだってさ。

最初は先が鋭く尖って、結構危険な品だったらしい。


つまり、パスタなどの麺類みたいに、スプーンや串で掬えない品が無いってことだな。


「コレはフォークって言う、カトラリーですよ。

 コレ一つで、ケーキなら切ったり、刺して持てますからね」


「なるほどのぅ。

 珍妙な品じゃが、便利そうじゃわぇ。

 ソナタの世界の道具かのぅ?」


「そうですね。

 まぁ、コレは僕が魔術で創ったんですけどね」


そう告げると、呆れたようにみられたよ。


「もはや藤吾は、金属を創造し、金属製品を創り出すことも可能なのじゃな。

 やはり流吾じゃのぅ」


「そんなことより、食べないんですか?

 要らないなら、貰いますけど?」ったら、全員が慌てて隠す。


いや、取らないからね?


その後は、皆がケーキをね。

あー、俺も、ああなってたのかね?


黙々とケーキを切り分けては口へと。

途端に、へにゃ、っう笑いが。


うん、目が地走ってません?

使用人が茶を側へ置くが、誰も反応しません。


うん、まるでケーキを食べるマシンのようだ。

イヤなマシーンだな、をいっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ