第58話 森の洗礼、そして通りすがりの女性
どうも、秋水です。
登場させる街の数、後どのくらいにしようかなーと悩み中です。
というよりも、若干スランプ気味になっている気が……。
それでも書くのは辞めないので、生暖かい目で見守っててください!
目を覚ますとそこは、だだっ広い草原のど真ん中。隣にはアメノウズメが無防備に寝ており、それ以外は何もなかった。草花が風に揺られ、木々が心地よい音を奏でている。日は真上よりも若干登りかけの状態、まだ午前中だということが何となく分かる。
「ふぁぁ……」
欠伸をしながらふと起き上がる、するとその音のせいかアメノウズメも目を覚ました。
「……おはようございます」
「おはよう……ごめん、起こしちゃった?」
「いえ……大丈夫ですよ」
アメノウズメも起き上がり、2人して暫くの間座って景色を眺めているだけだった。だが日が丁度真上に登った頃合いを見計らい、雪咲は立ち上がる。
「さて……行こうか」
「はい」
そう言って、2人は次の街である〈エルティア〉を目指し歩き初めた。〈エルティア〉はそこまで栄えた街では無いらしく、森の中にあると言われている。木々に囲まれ、とても静かで穏やかな街だと言う。この情報は、事前に前の街で人から聞いたものだ。詳しい場所までは得られなかったが、大まかな位置さえ聞ければ後は現地に行って探すのみ。
だがそううまくいく筈もなく、森に入った瞬間魔物に囲まれてしまう。熊の様なちょっと大きめの魔物が3体、兎に角を生やしたような小さな魔物が5体、小さな鳥のような空を飛ぶ魔物が15体と、軽い動物園状態だった。雪咲は特に動揺などせず、平然と懐から刀を取り出す。
『連日大型の魔物とか相手にしてたから、感覚が麻痺したのかな……』
そう思いながら抜刀すると、とてもでは無いが目を疑いたくなるような現実を目の当たりにしてしまう。それは美しく研がれたはずの刀身が”消えて”いたのだった、前回巨人の魔物と戦った後からの記憶が全く思い出せない状態だった。刀をどうしたかすら覚えていない状態で、無意識に使えるだろうと思いこんでいた。
「まじかよ……」
「ま、まぁ……この程度なら、軽い魔法だけでも吹き飛びますよ」
苦笑気味にアドバイスをくれるアメノウズメ、その空気の緊張感の無さにいたたまれなくなった。なにはともあれと、魔法を唱えるために魔力を全身に巡らせていた最中、森の奥の何処からか矢が無数に飛んできた。だが雪咲とアメノウズメをまるで”遠隔操作”しているみたいに避け、魔物だけを的確に射抜いていた。
「……え?」
「……」
何が起きたのか理解出来ず立ち尽くしていると、森の奥から一人の女性が姿を表した。その女性は身長が雪咲よりも少しだけ高く、耳は普通の人よりも長く尖っているようにも見えた。美しく風に揺られるブロンド色の艶のある髪、普段陽の光を浴びているのかと心配になってくるほどの真っ白な肌、まるで海の底みたいな少し暗めの蒼い瞳の色、控えめな胸、スラッとした見た目、細くささくれ一つ無い指先。雪咲の視線は、その女性に釘付けになっていた。一方隣では、アメノウズメが少しだけムスッとしていた。だが、それにすら雪咲は気付かなかった。
「大丈夫ですか?」
その女性は心配そうな顔で話しかけてくるが、雪咲は少しの間女性を見ながらただ呆然としていた。だが一気に現実に引き戻されたのか、気を確かに持ち心を落ち着かせていた。
「はい……助けて頂き、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げると、女性は突如慌て始める。
「そ、そんな畏まらないでください……この先にあるエルティアという街に戻る途中、偶々貴方達を見かけて……襲われていたので、助けただけですから」
「それでも、助けて頂いたことには変わりありません」
「そうですね……危ない所でした、ありがとうございます」
アメノウズメも軽く会釈をし、2人同時のタイミングで下げた頭をゆっくりと上げる。
「貴方達はどちらへ……?」
「エルティアという街に行こうと思ったのですが、大まかな位置しか知らなくて……」
街の名を口にした瞬間、ほんの僅かだが女性の雰囲気が変わったのを感じ取った。常人であれば絶対に気付け無い程の変化なのだが、雪咲は無意識に感じ取っていた。アメノウズメも同じようで、面には出さないものの内心では警戒していた。
「……エルティアには何を?」
女性の口から発せられた言葉は、何処か恐れを抱いているような感じがした。外敵を寄せ付けたくないというか、”何か”に警戒しているように……だが、その真意を雪咲達はまだ知る由もなかった。
次話では、エルティアが出てきます。
広大な樹海のど真ん中にある街って、何かロマンがありますよね。自分も一回だけでいいから行ってみたい……。




