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チートを貰ったが、異世界では……。  作者: 月詠 秋水
第4章 アルステン王国編
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第40話 気付かれたくない思い、そして謎の刺客?!(前編)

今回は、雪咲だけのお話となっております。(ただし登場するのは雪咲だけとは言っていない)



冬望と言い合った後、雪咲は独りで草原を歩いていた。適当に移動してしまったが為に此処が何処なのか分からないが、どうしようかと途方に暮れながらも歩き続けていた。


「……静かだ」


暫く無かった一人きりの静寂、雪咲は少し胸に寂しさを覚えながらも歩き続けていた。日もゆっくりと沈んでいき、夕焼けは辺りを紅く照らしている。空はほぼ暗くなり、星が無数に煌めいている。少しだけ肌寒くなり、そのせいか若干ではあるものの身震いをする。不意に空を眺めてみると、気付かぬ内に瞳から涙が頬を伝う。脳裏には冬望と言い合った事だけでなく、現実世界での方での記憶もが流れていた。


「っ……」


必死に涙を拭うも、次々と溢れ出る。二日前のヒゲおやじにされた散々な仕打ちもそうだが、最近ろくな事になっていない気がしていた。それにアルザース帝国王との、最初の”人を殺めない”と言う約束を破ってしまった。仕方ないこととは言え、許可が出たとは言え、その事がどうにも気がかりだった。


……俺だって……俺だって……っ!


まるで叱られた後の子供のようにいじけていたが、途中からは泣き疲れて夜の草原に大の字になって寝転がる。無数の星空の中には流れ星もあり、まるで雨のように降り注いでいる。優しく風は吹き、闇夜の中で草花はふわふわと揺らめいている。


気が付けば、涙は止まっていた。伝い落ちて濡れた頬は乾き初め、荒れていた感情はいつもの平坦へと戻っていた。そんな中雪咲は、気付かぬ内にきらきら星を口ずさんでいた。小さい頃からこの曲が好きで、何かある度に口ずさんで気持ちを宥めていた。


暫く口ずさんでいると、急に吹いていた風が止まる。流れ星も途中で止まり、まるで時間そのものが止まった気がした……いや、実際に止まっていた。何が起きたのかと飛び起きてみると、少し離れた所から誰かが歩いてくる気配を感じ取る、星の灯があるとは言え薄暗く、目を凝らして見てみる。すると、そこに現れたのは一人の男性だった。着ている服は現実世界で言う和服で、色合いまでは分からないがとても綺麗な色合いをしているのだと思う。体型からするに女性で、近付くに連れ美しい女神のような風貌は明らかになっていく。艶のある綺麗な長い黒髪をたなびかせ、凛とした表情と鋭い視線で雪咲を見つめてくる。


「……」


緊張した雰囲気に驚くが、平静を装って普通に起き上がる。だがその女性は雪咲から視線を外すこと無く、そのまま静かに睨み合いは続く。このまま永遠に続くんじゃないかと思っていた矢先、女性は静かに口を開く。


「……貴方は神が蘇らせた、雪咲様ですね?」


神と言うワードに息を呑む雪咲、だが何も答えないのもどうかと思い静かにゆっくりと頷く。すると、女性は凛とした表情を崩すこと無く安堵のため息をつく。


「実は、貴方に頼みがあって此処に来ました」


すると女性はゆっくりと頭を下げる、それに対し雪咲はオロオロとしていた。女性に頭を下げられるような覚えはないし、どうすれば良いのかと混乱していた。だがそんな雪咲を置いて、女性は話を勧めていく。


「この度は神が勝手に蘇らせたことに謝罪する、本当に申し訳ない!本当ならば貴方の魂は浄化を受けた後に来世に生まれ直すはずだったのだが、あの馬鹿神が”面白いから”とか”可哀想”とか意味の分からない事を抜かして……!」


「えっ……」


雪咲は呆然と、ただその話を聞いているだけだった。


「兎に角あの馬鹿は暫くお仕置きとして痛めつけたが、恐らくまた同じことをするだろう……だから、貴方の事はせめてしっかりと幸せにするために浄化しに来ました」


「浄化ってまさか……」


「そうです、貴方を一度殺して魂を高天原へ持ち帰ります」


高天原……日本神話に登場する、神の住まう國。今まで名を挙げてきた歴史上の人物の殆どがそこに行き、剰え神と同等の座を譲り受ける事もあると女性から説明を受ける。つまり、名は上げては居ないがこちらの不始末のせいで異世界へと蘇らせてしまった。そのせいで世界の法則が若干ではあるものの乱れ、神々は混乱しているらしい。


「本当にこちらの身勝手ですまない……貴方の要求は出来るだけ呑もう、それで許しては頂けないだろうか……」


深々と頭を下げたまま上げようとしない女性に、雪咲は戸惑いながらも顔をあげるようにとお願いする。


「俺は……」


雪咲は、その言葉を口にするかどうか躊躇った。

神と知り合いみたいな口振りの女性、果たして正体は一体……!?


そして、雪咲の決断は……!?


次話へ続きます

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