第20話 一大事!?
※この話には胸糞成分が入っている可能性がございます、苦手な方は観覧をお控えください。
ハルカスに到着し、何とか宿を取ることに成功した雪咲達一行。
雪咲は町を見ると言って、1人外へと出ていく。向かったのはギルド、そこで雪咲は商人の少女と出会う。
ポーションをあらかた買い、代金の金貨1枚を渡して少女と分かれる。
だがその後に待ち構えていた一大事とは……!?
少女との商談を済ませ、雪咲はカウンターにてゴブリンの部位の正式な値段を聞いていた。どうやら殆どの部位が貴重品ではないらしく、合わせても銀貨5枚にすら至らなかった。そんな事はともかく、ギルド証明書を書いてもらい早々に立ち去ることを決めていた。しかし帰り道、その事件は起きた。
「てめぇ、何処見てやがんだ!!」
響き渡る怒声は、商人達が囲っている所から聞こえた。少し気になった雪咲はチラッと覗いてみる、そこで眼にしたのは……厳つい冒険者らしき大男と、さっきの少女だった。近くの商人に聞いてみた所、ぼ~っと突っ立っている少女に大男がわざとぶつかったらしい。その際に少女は雪咲から貰った金貨をギュッと握りしめたようだが、握りしめたものが何かを知っていた上で突っかかったらしい。
「んなアホらしい……」
大男の要求は、ぶつかった慰謝料に金貨1枚を寄越せとのこと。それに対し少女はそれを拒み、何も持っていないことを主張する。しかしそこで大男の仲間が到着し、少女を数人がかりで抱えギルドから連れ去ってしまう。一瞬静けさに包まれたが、すぐに何もなかったかのように周りはまた賑わい始めた。
「……」
雪咲はギルドを後にし、少女が連れ去られた方角を確認。すると、宿屋方面という事が分かり、帰る素振りをしながらゆらりと歩く。その足取りは静かに、だが胸糞悪いものでも見たかのように……静かに、だが明確な殺意を込めて歩く。理不尽な要求の上に寄ってたかっての弱い者虐めの現場を見てしまった以上、知らぬ存ぜぬで通す気などこれっぽっちもそんな気は無い。
雪咲は人気の無い所へと移動し、ローブのフードを深く被り魔法で作った面を被る。この面はユグドラシルの破片を加工し、小さい頃から好きだった狐の面へと作り変えた物だ。鑑定してみた結果、”魔力抑制”と”気配遮断”のスキルが高レベルで付与されていた。
狐面を着け終え、少女と男達の反応がする廃墟へと足を運ぶ。勿論足音でバレぬよう、慎重に足音を殺して……。
広い部屋付近まで近付くと、言い争うような声が聞こえる。影から覗いてみると、少女が何かを言おうとする度数人がかりで蹴っていた。まるでボールのように吹き飛ぶ少女、だが泣くこともなく男達を睨みつける。その眼が気に食わなかったのか、更に暴行を加え続ける男達……その少女が、元はどんな姿をしていたのか分からなくなるほどに。服はボロ布のようになり、顔は殴るなり蹴るなりされかなり腫れ上がり、体には無数の痣と傷が出来ていた。口の端からは血が滴り、呼吸が段々と苦しそうな音を上げる。だがそんな事もお構いなしと言わんばかりに、服をひん剥く。
「上等だ……なら、その躰で楽しませてもらおうじゃねえか」
下衆な笑い声と共に、男達は一斉に下の服に手をかけ始める。今から滾ったものをぶち撒ける準備をしようとしている瞬間、影から見ていた雪咲の中で何かが吹っ切れた。
「……」
気が付いたときには、すぐ近くの壁を素手で吹き飛ばしていた。猛烈な爆発音と爆風に、男達は驚き飛び跳ねる。土煙が蔓延する中、コツンッコツンッと足音を響かせながら雪咲は堂々と歩く。唐突に現れた雪咲に、男達は動揺しつつも強がる姿勢を見せる。
「おい、止まれ!」
「ガキを返して欲しかったら、そこで指くわえて俺らの性奴隷に成り果てる所を黙って見てな!」
「俺らは冒険者だ、魔物から町を救ってやってるんだぜ?これくらいの事、寧ろ当たり前だろ?」
他にも散々言葉を連ねる男達、そんな言葉最初から聞く気のない雪咲は一番近くに居る上半身裸の格闘家らしき男の肩に手を置く。
「あ?」
その手を振り払おうとした瞬間……男の腹部から大量の血液が吹き出る。その返り血が着くことも恐れず、開かれた腹部に問答無用で手を突っ込む。鈍く光るものを手に握りながら……。
「がふっ……」
「あぁぁ!?!?」
「てめぇ、何しやがる!?!!」
周りの罵声なぞ聞こえんと言わんばかりに、鼻で笑いながら男の腹部から手を引き抜く。血を流しながら、地面に倒れ込んだ瞬間……近くに居た多数の男達を巻き添えに、肉片を飛び散らせながら爆発四散する。音と衝撃が止み大男が閉じていた目を開けた瞬間、目の前に転がるは仲間の血肉の塊の山。生臭い周期を発していて、思わず鼻を塞ぐ。消えた雪咲の姿を探していると、足元に転がる少女に気が付く。すぐさまに少女の首根っこを掴み、剣を抜き少女の首筋に当てる。
「おい、少しでもなにかしようと考えてるんなら……この女の首跳ねてやらぁ!!俺の仲間を殺しやがって……!!」
所構わず怒鳴り散らす大男、だが警戒を怠る様子はなく少女を人質に取ったまま廃墟の出口までゆっくりと歩く。玄関口まで辿り着き、やっと外に出られて逃げられる……そう安堵のため息を零し一瞬の油断をした結果、大男の背後に居た雪咲はアイスピックのように鋭利な刃物で両肩を突き刺す。頑丈そうな鎧を着込んでいたのだが、まるで紙のようにいとも容易く貫通する。
「がっ……!?くそったれ……!!」
腕に力が入らず、少女と剣を床に落とす。だが諦めまいと、剣の柄を口で咥え少女の腹部に突き立てる。何度も何度も、息絶えるまで突き立てる。
「は……ははははは……!!ざまぁみろ!!」
狂気の笑みを浮かべながら笑い狂う大男、だが……上から落ちてきた木材の山に潰され、下敷きとなり死に果てる。無残に殺された少女をそっと抱きかかえ、声を殺して静かに泣きじゃくる……お面から伝う涙は、少女の頬へと伝い落ちた。力無く横たわる少女の手の中には、金貨が光を反射して輝いていた。
次回
少女を助ける為に動いたはずなのに、少女を死なせてしまった雪咲。どうしようと考えていると、近くに足音が……!?
次の話は、閑話となる為本編は一旦お休みです。ですが、この事件に皓達は予想外の展開で……。




