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王者動く

エピソード3です!

ついにアメリカが動き出しました!

【西太平洋・アメリカ空母カール・ヴィンソン】


陽はまだ高く、甲板には照り返しが残っている。

艦内の一角、簡易の休憩スペースで、数名の若い乗組員たちがペットボトル片手に談笑していた。



---


3等兵 アレックス・マイヤーズ(20代前半)


「なあ、お前ら……ぶっちゃけ、今回も“脅しだけ”で終わると思ってたんだけどな」


2等兵 ジョシュ・リード(やや年上、冗談混じり)


「ハハ、同感。てかマジで演習の延長でしょ、これ。

空母打撃群が動いたって言っても、どうせ中国も様子見だって」



---


整備兵 カーラ・ベネット(工具を拭きながら)


「……本気じゃなかったら、こんな航路は取らないよ」


(2人が一瞬、顔を見合わせる)



---


アレックス(話題を変えようと)


「ま、でもさ……オレ、昨日やっと娘の動画届いたんだ。

生まれて6か月、初めて『パパ』って言ったんだぜ」


(スマホを取り出し、動画の一部を見せる)



---


ジョシュ(ちょっと目を細めて)


「お前、絶対帰れよ。奥さん泣かせるなよな」



---


カーラ(小さく笑いながら)


「みんな、ちゃんと帰るよ。

……だってさ、私たちアメリカ海軍だよ?」



(3人、冗談交じりに乾杯。ペットボトルの軽い音が響く)



その時、誰も疑っていなかった。


この任務が、

“威嚇”や“抑止”で終わるものだと。


「カール・ヴィンソン」に、地球の裏側で戦う覚悟などまだなかった。


この空母が飽和攻撃の最前線に立たされる日が、すぐそこまで迫っていることも知らずに。



---


【台湾海軍 第124戦闘群・ペンフー諸島沖 約100km】


月は雲に隠れ、荒れる波が夜の海を覆っていた。

レーダーに次々と映る無数の光点 -敵艦隊。

中国人民解放軍南部艦隊による本格的な上陸阻止作戦が始まっていた。


台湾側の出撃艦艇は10隻にも満たない。

それでも彼らは、怯えなかった。



---


【艦内:康定級フリゲート艦「西寧シーニン」】


艦長:林政凱リン・チェンカイ中佐


「敵、距離70キロ。ミサイル艦8、駆逐艦5、上陸支援艦複数……我々より4倍以上の戦力だ」


艦内には誰も言葉を返さない。

目を逸らせば、背を向けることになると分かっている。


林中佐は帽子を深く被り直すと、沈黙を破った。


「よし、攻撃隊、対艦ミサイル装填――全弾発射用意!」



---


【艦橋:ミサイル管制室】


レーダーオペレーターが指を震わせながらも、確かに照準を定める。

前線通信が割り込む。



---


通信


「第3戦隊より、西寧へ -こちらも発射準備完了。命令を…」



---


林中佐は低く、しかしはっきりと命じた。


「……全艦、一斉発射」



---


【空と海が同時に咆哮する】


飛翔するミサイル。

夜空に火花の尾を引いて打ち上がる対艦ミサイル「雄風II型」。

続けて僚艦「承德」も発射。


10発、20発、30発……

限られた数、だが一発一発が国家の防波堤だ。



---


【敵艦隊:解放軍055型駆逐艦「南昌」】


「警報! 台湾軍ミサイル接近、回避機動!」


中国艦隊も冷静ではいられなかった。

まさか、台湾側がこの距離で先制を仕掛けてくるとは。




雄風II型ミサイルが、先頭を進んでいた053H3型フリゲート艦に命中。

艦尾に炎が上がり、煙が吹き上がる。


だが、敵は止まらない。

次の瞬間、台湾艦隊に向けて放たれたのは30発以上の対艦ミサイル。




西寧、承德、それに練習艦「磐石」まで、

高射砲とCIWS(近接防御火器)が火を噴く。


「迎撃不能ッ! 2番ミサイル接近――命中!」


「損害報告! 主機冷却系損傷、航行不能!」


「被弾3カ所、消火班急げ!」



---


【林艦長:艦橋にて】


「このままでは殲滅される……だが、退くわけにはいかない」


林艦長は口元を結び、静かに言い放った。


「全艦、突入進路に移行――撃沈されるその瞬間まで、台湾を守れ!」



背後には家族がいる。

後方には同胞が暮らす街がある。

この一線を越えさせれば、敵は容赦なく民間を蹂躙する。


-だから、彼らは止まらない。

撃ち尽くし、沈んでもなお、抗う意思を残すために。



【台湾東方沖 約150km・中国艦隊 前線部隊】


中国人民解放軍・南部艦隊。

先ほどまで被弾したものの、優勢であることに変わりはなかった。


055型駆逐艦「南昌」、052D型「合肥」、071型揚陸艦「崑崙山」……

数十隻が横陣を整え、第二波のミサイル飽和攻撃へ移行していた。



---


【艦橋内:052D型駆逐艦「合肥」】


「目標:台湾・左営軍港。対艦・巡航ミサイル搭載準備完了。発射まで30秒」


指揮官の声が艦内に響く。

その時だった。


-ドンッ!!!


何の警告もなく、艦の中央が爆発。

煙と炎が吹き上がり、衝撃波が艦橋を襲う。



---


【通信混乱】


「こちら合肥! 被雷! 被雷したッ!!」


「崑崙山、船体左舷下部に水柱確認、被弾か――」


「南昌、右舷艦底より衝撃波……ッ、これも魚雷だッ!?」


一隻、また一隻。

何の探知警報もなく、海底から突き上げるように魚雷が命中していく。



---


【状況は完全な奇襲】


ソナーには一切の反応なし。

可変深度、消音航行、そして同時多発的な命中。


これが意味するのは――


「……潜水艦による、計画的な一斉攻撃」


艦隊幕僚の誰かが呟く。

そしてその声が、上陸部隊の撤退命令となる。


「揚陸作戦、中止! 全艦、後方に撤退せよ!」



---


【台湾側:戦場に静寂が戻る】


必死の応戦を続けていた台湾艦隊。

敵の攻撃が止まり、次々と海上で爆発する中国艦を前に、誰もが呆然としていた。



---


【康定級フリゲート「西寧」・艦橋】


「……何が、起きたんだ……?」


林中佐が呟いた。


レーダーには、味方でも敵でもない、何かの影が一瞬だけ映った。

すぐにそれは、海の底へと姿を消した。



---


【深海・宮古海峡付近】


---

(無線)


「全魚雷発射済、被雷確認多数。作戦完了」


「航路変更――補給のため、佐世保へ向かう」



-誰も知らない場所から、誰にも気づかれず、戦いは決された。

誰も賛美しない英雄たちが、確かに敵の戦力を削ぎ、

台湾の海を守ったのだ。


【中国・南部艦隊作戦指揮所】



周毅大将(南部艦隊司令官)


「我々の損失は甚大だ。だが命令は撤退ではない。

ここで立ち止まれば、台湾の防衛線は崩壊し、我々の勝利である。」


彼は一枚の資料を示しながら続けた。


「14日間の猶予をもらった。これを使い、装備の補充、部隊の再編成を行う。

また、対潜戦能力を向上させ、敵潜水艦の脅威を抑えなければならない。

同時に電子戦と情報戦を強化し、敵の士気を挫く。」



---


中級参謀


「大将、前回の失敗は主に防衛側の迎撃に起因します。我々は次の上陸地点の選定を再検討すべきです。意表をつく地点が必要です。」


周毅は地図に指を滑らせ、幾つかの地点を示した。


「東側海岸線への分散上陸も検討せよ。敵の注意が集中する西部に集中攻撃を仕掛けるのは賢明ではない。」



---


戦略参謀


「さらに、我々の艦隊に迫る最大の脅威は、台湾防衛だけではありません。アメリカの空母打撃群が海峡に接近しています。」


彼は艦隊の戦力配備図を指し示した。


「米軍のイージス艦が配備され、迎撃能力は非常に高い。単発のミサイル攻撃では対処されてしまいます。ここは数百発単位の飽和攻撃を仕掛け、迎撃を突破すべきです。」



---


周毅大将


「なるほど。確かに米軍が来る以上、飽和攻撃こそ米艦隊の防空網を突破する最善策だ。

ミサイル部隊の再編成を急ぎ、最大限の弾幕を展開せよ。数の暴力で敵を圧倒するのだ。」



【中国・北京 中南海 総書記執務室】


薄暗い書斎の中。厳重な警備のもと、深紅のカーペットを踏みしめて一人の男が入室した。

南部戦区を統括する総司令官・林天昇大将である。


机に座る男は、無言で書類に目を通していた。

習遠平国家主席 -中華人民共和国の最高権力者。

彼の表情は冷徹で、わずかな感情も見せない。


林大将は一礼し、口を開いた。



---


林天昇大将


「国家主席閣下。

前回の上陸作戦は失敗に終わりましたが、14日間の再編を経て、次なる作戦を立案しております。

米軍空母の接近に対しては、弾道・巡航・極超音速ミサイルによる飽和攻撃を準備中。

同時に、台湾本島東岸への再上陸を14日後に敢行予定であります。」



---


習は書類を置き、椅子からゆっくりと体を起こした。



---


習遠平主席


「……飽和攻撃、再上陸、そして米軍との直接衝突も辞さず、か。」


彼はゆっくりと歩き、林大将の正面に立った。



---


習遠平主席


「林大将。前回の作戦失敗で、我々の威信は大きく傷ついた。

内外の不満が高まり、党の統制にすら影響を与えかねない。次は、絶対に失敗は許されない。 わかるな?」



---


林大将は背筋を正し、敬礼した。



---


林天昇大将


「はっ。次こそ必ず勝利を――」


習はその言葉を遮った。



---


習遠平主席


「“次こそ”ではない。“次が最後”だ。

これは政治作戦でもある。軍の名誉ではなく、国家の存亡がかかっている。

もし再び失敗すれば、お前も、南部艦隊も、存在を問われることになる。理解しているな?」



---


重い沈黙が二人の間を流れた。

林大将は深々と頭を下げた。



---


林天昇大将


「……了解いたしました。国家の威信にかけて、必ず成功させてみせます。」


習は一度だけ頷いた。



---


習遠平主席


「よろしい。では行け。

この作戦に国家の未来がかかっている。それを忘れるな。」



---


林天昇が去った後、習は窓の外を見つめた。

北京の夜は静かで、嵐の前のように不気味だった。

続々制作中です!

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