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その壁を抜けたら───  作者: メイズ
壁の向こう側を探検
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26 口達者 トーコ

「よし、その箱に入れ!! スチロール製だから柔らかい。壊すなよ。」


「了解!! ってこれは保冷用の?」


「そう、子牛肉の発送に偽装した。我々が肉塊なのは間違っていない。よし、出荷スタンバイOK! いざ出発!!」



 *


 再びベルトコンベアに乗った私たちはガタガタと運ばれて行く。


「あー、お腹ペコペコだー。アノールはさっき何か食べた?」


「おう。牛から直接新鮮な牛乳を失敬したし、辺りに実ってた草イチゴも食べごろだったよ」


「えー、私も草イチゴ食べたかったなー」


「次の場所で何か食べられると思うが。野生植物の採取は生態系を壊さない限り自由だ。狩りもな。トーコ次第だな」



 へぇ。何か穫れるみたい。次も楽しみね♡


 それにしてもずいぶんと上り坂が続くわね・・・



 そして次に私が期待して降り立った場所は────



 *



 ここは・・・?


 箱から抜け出た場所は、暗くて、薄ら寒くて、土臭い。


 ロウソクを模した小さな灯りはあるものの暗ッ。周りは土。下はごつごつ。洞窟? ううん、穴掘って行き止まりのトンネルと言うか、ほら穴というやつ? 出口はすぐそこに見えてる。


 仏像彫刻になってる突き当り岩の向こう側が、ベルトコンベアの入り口になっていたのね。ここでは岩が横にスライドして開くのよ。


「わ! アノール、見て! 下にバカでかいミミズがいるっ! 太っと! 長っが!」


 見たこともない大ミミズだ。ううん、名前は忘れたけどそんなミミズがいるって小学生の時図鑑で見たことあるw


「あ、それはここの門番だ。ここの門番はクモではなくミミズロボットがやってる」


「ツヤといい、(なめ)らかな動きといいまるで本物みたいね・・・」


 落ちてた棒でツンツン触ってみたら、クネクネして嫌がってる。


「そいつは巻き付き技が得意で意外と厄介だ。今はオレが妨害電波を出してるから大丈夫だが」


 大丈夫だと聞いて、手で掴んでブランと持ち上げてみた。程よく重たい。


「これは・・・ムチみたいにして武器になるかもね」


 投げ縄するみたいにぐるぐる回してから地面をピチャンと打ってみた。


 ら、カシャンって音がして千切れて壊れた。



「おいおい、それは精密機械だぞ?w トーコのガサツぶりは相変わらずだなぁ」


 呆れ笑いのアノール。



 ───ヤッバッ!! ((((;゜Д゜))) どうしよう・・・



 うん、全力で誤魔化そう!!


 フレキシブルな口達者だったからこその、営業企画部ホープの過去。



「あー・・・あのね、アノール。世の習いとして言うと・・・」


「おう、世の習いで言うと?」


「永遠なんてものはこの世には無いの。形あるものはいつかは壊れるものなのよ? それにたまたま私が立ち会ってしまった件、と言えるよ?」


 ということで、ササッと残骸を集めて証拠隠滅。全ては私の農作業用エプロンのポッケに。


 精密機械2つでかさばるわ〜w



「フフッ、エリア毎に隠密に運営側の手先を狩って行くとはw」


「自然界での採取や狩りは自由なんでしょ? こんな本物そっくりに作ったら、間違えて誰かに狩られてしまってもしょうがないよ」


だって本当ににそうだもーん。カエルにされた天川が生き残れたのはマジで奇跡だよ。


あ! 天川のこと忘れてた。天川は突如消えた私を今頃探してたりして。けど、明日の朝までにはカエルから。なーんて古典ギャグw



「まあな。ここの世界は間違った人が来ない設定で配置されているからな。最適化された世界は予定外・想定外にはすこぶる無力だ。さあ、時間がもったいない。進もう」


「うん、行こう!!」



 ぽっかり明るく丸く空いている外に向って駆け足。


 私のベースのメルヘン小屋は軍曹クモさん担当でよかったぁ~w やっぱ手足があって、はっきりした顔があった方が落ち着く。ミミズってヒモだし〜w


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