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第5話 配転さきのいやがらせ先輩殿には、熱いたこ焼きを♪

「あっつ……!」


 俺の額になにかがペチペチと当たっている。寝ぼけた頭が徐々に覚醒していき目をひらくと……


「キュアッ♡」


 ……サラマンダーのサラだった。

 おまえ、火の精霊なんだからもうちょい温度調整覚えような? 声はかわいらしいけど、ふつうにヤケドしちゃうよ。


「つきましたよ、タケオさん!」


 幌の隙間からひょこっと顔を戻すルリア。

 相変わらず小動物のような動きがかわいらしい。寝起きでご馳走さまって言ってしまいそうだ。


「ふぁ……」


 俺はあくびしながら背をぐーっと伸ばす。

 馬車の揺れって、なんであんなに眠くなるんだろうな。のんびり寝れたからなにも文句はないけど。

 下車の準備をしていると、サラがルリアの出した魔法陣に帰って行く。


「なあ、ルリア。サラはさっきまでずっと召喚されたままだったのか?」

「はい、サラちゃん呼んだの久しぶりだったんで、長めにお外に出しました」


 なんだそのペット的な感覚。

 精霊を召喚し続けるって、とんでもない魔力が必要なんじゃないかと思ったが、ルリアが言うに一度召喚すればそれほど魔力消費はないらしい。

 よく考えれば、俺の現代フード召喚も同じか。フードを出すときに魔力を消費するが、出しちまえばそれで終わりだ。


 ま、この機会にサラとの親睦をより深めたっぽいのでそれはなによりだ。

 職場が変わればこの子の才能が開花するのかもしれん。



 さて、ここが新しい勤務地―――



 レガン王国辺境の町、グルト。


 俺たちが配属されるのは、その町にあるグルト辺境三等騎士団。

 グルト騎士団は王国各所に存在する辺境騎士団のうちのひとつだ。

 辺境と言っても、そこまで魔物が出るわけではない。ガチでヤバイいところは抜かれると中心地の王都や主要都市がシャレにならんから一等騎士たちがいる。


 ちなみに俺の上司殿だった剣姫が配属されたのは、そんな激戦地のなかでももっともヤバいとこだ。

 ご愁傷様……としか言えん……まあ、ぶっちゃけあの女騎士なら生き残るだろう。


 しかしここはそんなエグイ激戦地とは違う。三等騎士でもなんとかなるだろ的な場所。

 騎士団のおもな仕事としては、たまに出る魔物討伐とか、近隣の町の巡回がメインとなるはず。

 そして、王国騎士団という巨大組織の庇護を受けた団体。そう、左遷だろうが辺境だろうがそんなことは関係ないのだ。今までの給料が下がるわけでもない。まあそもそも俺は三等騎士の給与しかもらっとらんけど。


 それでも冒険者とか町の飲食店や自警団に比べれば間違いなくいい給与だし、なによりも潰れない。

 騎士団がつぶれる時は王国が滅びる時だ。


 俺は馬車から降りながら、静かにガッツポーズした。

 前世や前任のブラックサービス残業地獄とは違う。ここならば、ほどほどの仕事とゆったりした余暇を満喫できる! しかも安定性抜群や。


 グルト騎士団庁舎の外観も心なしかのんびりしてる。

 王都の本部なんて、人の波ががせわしなくずっと動き続けている。まあ中心地なのだから仕方ないんだが。


「……あくびが出るな」


 見れば、門兵もあくびをしていた。

 出迎え? そんなもの存在しない。良い、非常に良い。そんなもんいらん。

 ゆるい緊張感の空気、最高だ。


「……ここ好きかも」


 俺がそう呟いた瞬間……



「―――おい、てめぇら!」



 なんか偉そうな感じでズンズンこちらに向かってくる騎士。


「俺様は特別指南役のザザール様だ。一等騎士でも上位の腕をもつ最高騎士さまだぜぇ~~」


 いや、聞いていないし興味ないんだが。


 自信満々すぎるキメ顔。声はでかいし態度もでかい。

 出会って三秒でわかる。間違いなく絡んでくるタイプの面倒くさい上席殿。


 どこにでも湧くなぁ……こういうの。


「どれどれ今回の新入りは……おっさんにゴリラかよぉ~~三等でもせめて若いのを寄越せよ。使えない本部だなぁ」


 俺とゴンスを見て露骨に眉をひそめていた指南役殿だが、次の瞬間ルリアに目を止めるとニチャァと目を細めた。


「ほ~~ちびだが可愛いじゃねぇか。不釣り合いな乳もいいじゃねぇかぁ~。よし、今日からお前は俺様の専属秘書なぁ? 側でかわいがってやる」


 うわぁ~専属秘書だと……嫌な記憶を思い出してくれる。

 案の定、気の小さいルリアはおびえて俺の背中に隠れてしまった。


「……きっしょ」


 隣から低い声が漏れる。スリーナだ。

 もう顔がヤバイ。完全にゴミを見る目になっとる。


 そんなスリーナの言葉に、ザザールがピキッと反応した。


「あぁ? なんだテメェ、つり目の半端女騎士が。っておう、胸はちっこいやつに比べて微妙だがおまえもなかなかグヒヒ―――」


「……話しかけるな。口が臭い」


 ああ……ど直球投げちゃった。

 言葉の刃が鋭利すぎる。でもたしかに臭いな……こいつ。


 ザザールがブチ切れ寸前で詰め寄ってくきた。

 それに呼応して掴みかかりそうになるスリーナの肩を抑えて、俺は一歩前にでた。


「まあまあ。特別指南役殿ともあろう方が、転属初日の団員に恫喝はどうかと思いますよ? 今日はこのぐらいで良いのでは?」


「ああぁ? おっさん調子乗んなよ。ここに来た三等どもは、俺様に逆らえねぇんだよ!」


 どんな理屈で生きてるんだこいつ……

 門兵を見ると、「あ~また始まった」という呆れ顔。

 常習犯かこいつ。


「文句あんなら剣で語れや。……もっとも、おっさんじゃ無理だろうがなぁ~グヒヒ」


 鞘に手をかけて、ズンズン迫るザザール。


 ……ため息出るわ。

 こういうマウント取ってないと死ぬ病の先輩。


 いいのか?


 指南役だかなんだかしらんが、俺に接近しすぎだ……完全に射程距離に入ってるぞ。


「……現代フード召喚」


 俺の言葉と共に―――



「――――――ぎゃちぃいいいいい!?」



 地面を転がり回る特別指南役殿。

 口を押さえ、涙目でゴロゴロのたうちまわる。


 俺が召喚したのはたこやきだ。

 出来立てあつあつを特別指南役のお口にダイレクトイン召喚した。逃げ場なしだ。


 あつあつだぞ、さぞ美味しかろうよ。


「さて、ルリア、スリーナ、ゴンス行こうぜ」


 その場でゴロゴロのたうちまわるザザールを置いて、俺たちは本庁舎のほうに向かって歩きだした。


「へぇ~~ちょっとかこいいじゃんタケ」

「すげぇ~タケオっち」

「た、タケオさん、ありがとうございます!」


 なんか俺の呼び名が一気に確定していった気がするが、まあ転任同期だからな。

 こういうご縁は大事にしていきたいと思うし。


 背後ではまだ叫び声が響いていた。


「ほげぇえええ! 舌が燃えるぅ~~アチィィィ! な、なんだこれぇぇええ!?」


 悪いが―――


 俺はここでのんびり勤務&スローライフを楽しむんだ。

 今度いらんことしたら、たこ焼き1ダース召喚するからな。


【読者のみなさまへ】


第5話まで読んで頂きありがとうございます!

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※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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