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4ヶ月が過ぎた。
突然、陵介から電話が来た。
「明日、桃組会だ。久しぶりに来ないか?」
「何で、電話?」
陵介からの誘いは、たいていラインだ。
桃子からの場合は、明快な返事がなければ、何度でもコンタクトしてくる。 最後は、勿論、電話だ。
だが、陵介が、桃組の飲み会の幹事を主にするようになってからは、ラインで、「行く」の返事がなければ、行かないことと、簡単に処理されていた。
陵介は、桃子のように、しつこく理由は聞かないし、淡白な対応で、大学時代なら寂しいと思ったかもしれなかったが、社会人になってからは、むしろ、有難かった。
だから、その陵介から、電話がくるなんて、珍しいことだった。
「お前、ライン、見てもなかったろ。既読人数が、ここんとこずっと12だったから、誰だか、気になってたんだ。明日の飲み会も見てないだろ。」
「バレたか。」
「公平が、転勤から戻ってきて、桃組だけじゃなくて、他にも声かけまくったから、同窓会みたいな人数になってるんだ。それで、桃子も淳悟も来るってさ。舞も来るらしい。妊婦だけどな。」
陵介の口調は、いつもと変わりはないが、心配していたのだとわかる。
比較的、参加率の高かった一樹は、遊史を送らせた飲み会を最後に、パッタリ参加しなくなったのだ。大学時代ほどの頻度ではなくても、何度かの飲み会や皆からのコメント、スタンプを見ていたら、グループ13人のうち、誰が、既読していないかは、いずれわかる。
鬱陶しいとは思わなかった。
むしろ、心配してくれたことは、嬉しかった。
「今度もラインを見てないだろうと思って電話した。明日、来ないか?」
遊史は?
聞こうとして、一樹はやめた。
あれから4ヶ月。
自分の中で、遊史への想いの整理はついたんだろうか?
もう、遊史を見て、あんなに感情を波立たせることはないだろう…と思う。
結論は出ているのだ。
これは、もう、一樹自身が、吹っ切るしか道がない問題なのだ。
多分、もう、大丈夫。
自分に言い聞かせてみる。
大丈夫だと思う。
大学時代の、そのあとも、ずっと、皆をだまして、遊史すら気づかれずに、気持ちを封印できていた。
もし、再燃した想いが、まだ、燻りを残していたとしても、抑え込む自信はあった。
「来い。」
珍しく、陵介が誘っている。
このまま、ぐずぐずしている気はなかった。
どこかで、復帰して、遊史とは、また、いい仲間になりたいと思っていた。
その踏ん切りを、つけるためには、もう遊史に会うことは大事だと思っていた。
ほんとに、自分が大丈夫なのか、確かめたいとも思った。
自虐的だとは思えたが、
「行く。」
と、返事をしていた。




