表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サラリーマンの不死戯なダンジョン  作者: 昼熊
第八ステージ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/111

題名を変更しました。お気をつけください




「クロ、トラ! ご飯だよ」


 さっきまで姿見えなかったのに、ご飯になったらすぐに来るんだから。食いしん坊だな。

 真っ黒のクロと虎模様のトラ。姉妹なのに見た目が全然違うのは、なんでだろう。


「いっぱい食べて大きくなるんだよ。お茶碗にご飯入れるからね」


 姉妹で遊んでいたのかな、体が土で汚れている。お母さんにバレる前に体拭いておこう。クロとトラの世話は僕の役目だし。

 って、引っ掻かないで。ご飯あげるから、そんなにヨダレ垂らさなくてもいいだろ。クロ、ご飯遅くなったらヨダレ垂らすのやめてよ。ちゃんといっぱい入れているのに、食べさせてないみたいじゃないか。

 ほら、喧嘩しないで。仲良くしないと怒るよ。

 凄い勢いで食べているなぁ。このままグングン大きくなって、僕を背中に乗せるぐらいの大きさになればいいのに。そしたら、色んなところに一緒にいけるのに。

 お腹いっぱいになったら一緒にお昼寝しようね。

 早く大きくならないかなー。お外にお散歩とか行きたいなー。


「クロ、トラ! 逃げて! 僕はいいからっ!」


 そんな大きな犬に勝てるわけがないよ。だから、逃げてっ!

 二匹が僕を庇って野良犬と戦っているのに、何で、何で、動いてくれないんだ僕の体は!

 動いて、動いて!

 あああああっ、二匹とも動かなくな……った。


「やめろ! お前、クロを噛むな! えっ、食べ――」





「はぁ……朝か」


 重い瞼をこじ開け、目の前に飛び込んできたのは真っ白な天井だった。

 何か嫌な夢を見ていた気がするが、思い出せない。きっと、織子たちとの日々でも思い出していたのだろう。

 そういや、朝かどうかも怪しいのか。休憩所は一定の明るさが保たれているから、昼夜の感覚が曖昧になる。

 熟睡して体の疲れは取れた筈なのだが、憂鬱な気分は晴れそうにない。

 最悪な別れを経験したが、もう吹っ切れたつもりだったのだが、一日やそこらで完全に立ち直ることはできないか。


「ぐあうがー」


 俺の背もたれになってくれていた黒虎も目が覚めたようだ。頭を擦りつけてきたので、顔と喉元をわしゃわしゃと撫でまわす。


「軽く朝食にしようか」


 バックパックの中から肉と野菜を取り出し、簡単なスープを作る。今は重い物を口にしたくない。

 黒虎と仲良く食事を終え、今日の予定を立てることにする。

 次のステージに進むのは明日かな。心身ともに完全な状態で挑むべきだろう。

 なら、今日やるべきことは決まっている。いつもの褒美選択だ。

 ガラス板は前のステージと同じく三枚ある。一番左が褒美で、真ん中がステータス。右端がライフポイントを消費して得ることが出来る、特殊能力アイテムで間違いない。

 いつものように、左のガラス板に手を触れる。


 ――第七ステージクリアーできたようだな。どのような結末を迎えてこの場に立っているのか、興味があるところだが一先ず、おめでとうと言っておこう。

 褒美を与える前に次のステージについて軽く説明しておく。次のステージは特別な褒美を得た者は他のプレイヤーと異なるステージとなる。それが何を意味しているのか考慮することをお勧めしておく。

 それでは褒美を選んでもらおうか。


 一つ、第七ステージ突破クエスト達成による経験値。

 一つ、黒虎を人化させる。もしくは、黒虎に自分の所有している特殊能力を一つだけ覚えさせることができる。


 以上だ。最終ステージが見えてきたのではないか。油断はせんようにな。貴様には期待をしているぞ――


 何が期待だ。この文章は第七ステージの石板で見た白衣の男っぽいな。あの男の口調と文章が似通っている。

 特別な褒美というのは黒虎を得たことだよな。ということは特別ステージに挑むということになるのか。このヒントも俺を惑わす為の悪意ある文章かもしれない。

 だが、あらゆることを想定しておくのは悪いことじゃない。黒虎が関係してくるステージであるのは間違いないだろう。そこから褒美を選ぶなら……経験値よりも、黒虎の強化がいいのか?


 まあ、どっちにしろ、人化をさせる気は微塵もないが。

 学ラン君のポチミが人化後の姿だよな。黒虎もあんな感じになるのか。言葉も話せるから寂しさは紛れるが、止めておこう。黒虎は今の状態が一番可愛いからな。

 動きとしても人のように手が使えるので応用は利くようだが、獣状態の方が戦闘力は高そうだ。レベルの差があったのかもしれないが、黒虎がポチミと一対一で戦えば負けることはないだろう。


「今回は褒美が二つしかないのに、結局悩むことになるのか」


 前回経験値を得ていないかったから、今回はレベルを上げたいところだが、次のステージが不明だというのは、いつもながら厄介過ぎる。

 黒虎は今のままでも充分強いよな。第七ステージで自分の基本能力が周囲より劣っているのを実感させられた。なら、やはりここは――経験値か。

 迷った挙句に報酬を選び、次にステータスの確認をすることにした。


 山岸 網綱 レベル30

 体力  71→81+2000

 精神力 67→77+2000

 筋力  72→83+35

 頑強  71→83+35

 器用  67→77+35

 素早さ 62→73+35


 特殊能力 『不屈』1→2『熱遮断』6『石技』6→7『気配察知』6→7『暗視』5『棍技(我流)』6→7『体幹』7『咆哮』6『野生』6『危機察知』5→7『火操作』5『発火』5『麻痺耐性』4『幻覚耐性』4『毒耐性』4『回復力』2『木工』2→3


 ライフポイント 89/105

 持ち物 特製石棍(不壊) バックパック(サバイバル用品一式) 純白のロングコート(不壊) 純白のロングブーツ(不壊) 大工道具一式(不壊)



 レベルは相変わらず5上昇か。この身体能力でも織子や杉矢さんに勝てる気がしない。『不屈』の上昇はありがたい。これだけ体力、精神力があれば不眠不休で数日過ごしても問題なさそうだ。

 ライフポイントは99まで上がっていたが、奪ったポイントは20で半分だけ自分のポイントになるから89か。普通に考えるなら、残り三ステージが鬼畜な難易度だとしても、これだけライフポイントがあれば何とか成りそうだが、油断は禁物か。

 黒虎のステータスも確認しておこう。


 黒虎  レベル25→33

 体力  570→650

 精神力 370→450

 筋力  134→158

 頑強  138→173

 器用   89→100

 素早さ 140→183


 特殊能力 『熱耐性』11『気配察知』8→10『暗視』5→6『咆哮』6『溶解液』6『野生』8→9『食い溜め』1→2『麻痺耐性』1『幻覚耐性』1『毒耐性』1

 ライフポイント ∞


 やっぱりレベルでも身体能力でも勝ててない。体力と精神力は上だが、普通に戦ったらほぼ負け確定の能力差がある。

 やっぱり敵を倒してレベルが上がるというのは、この世界で最大のメリットなのかもしれない。味方として頼もしい限りだ。

 黒虎は強化しないでも充分すぎる戦力だよな。この先何があるのか不明だが、黒虎と力を合わせれば……クリアーは可能だと、信じている。


「今日はこれ以上、考えるのはよそう」


 頭を左右に振り、大きく息を吐くと床に転がった。

 この先のステージについては幾つか予想は立てられる。最悪な展開も何パターンか考慮はしているが、出来ることなら外れて欲しい。

 だが、杉矢さんが口にした言葉が頭を過ぎる。


「お前さんと製作者の思考回路が似ているから」


 なら、この嫌な予想も当たる確率が高いとも考えられる。だとしたら、俺はこのゲームをクリアーすることは可能なのだかろうか。

 見つからない答えを探しながら、今日一日は何もせずに黒虎に背を預けて、緩やかな一日が過ぎていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] えっなるほど。だから、そういう名前をつけたんだね。最初から読みたくなっちゃうじゃないですか!時間が無いので、今回は諦めますが絶対に読みます。まだ途中ですが、読んでいて良かったと思えまし…
[一言] 下の方、ルールの見落としをしていませんか? ・ライフポイント100上限が明記されているのは第7ステージのゲーム中のみです。つまりそれ以外のステージの褒美でライフポイントの回復をして100を超…
[気になる点] えー!ライフポイント奪って109になったから、9ポイント失いますと出てたのに、なんで89から?? ライフポイント60の相手から半分奪ったんですよね? 一時、ライフポイントのマックス10…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ