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第10話 ルビー、お風呂と紅の姫騎士

雑貨屋と鍛冶屋を寄り終えて、宿である翠へ戻ってきた。

裏口から入ると、既に酒場で宴会モードの人々で溢れ返っていた。

ユリーさんが私とシャーリーちゃんに気付いて、声を掛けてくれる。


「おかえりなさい、二人共~。成果はどうだったのかしら?」


「お母さんただいま~!!バッチリだったー!」


「あら、そうなの?とりあえず手を洗って二人で最初お風呂に入ってきなさい」


「は~い!師匠いこー!」


「え、あ、ちょっと!?」


シャーリーちゃんに引っ張られてそのまま浴室に連行される。

最近毎日お風呂に一緒に入っているけど、人と一緒にお風呂に入るのってすごく緊張する~!

普段だと家で一人で入ってたし、高校で修学旅行でお風呂の時も少し緊張してたし。

陰キャな私には結構荷が重いのだ。





「シャーリーちゃん、他に痒いところはない~?」


「うん!大丈夫!」


とはいえ、数日一緒に毎日入っていれば、慣れてはきた。

シャーリーちゃんの髪を洗って、お湯でゆっくりとシャンプーを洗い落とす。

一緒に湯舟に入るとすぐにシャーリーちゃんが私の前に来て私が後ろから抱き着くような体制になる。


「えへへ~師匠が後ろにいると落ち着く~!」


「そうなの?」


「うん!お姉ちゃんが出来たみたいで何か嬉しいんだー!」


何この可愛い妹の化身みたいな存在は!!

私も一人っ子だから気持ちがわからないでもないけど・・・。


「シャーリーちゃんみたいな可愛い妹なら大歓迎だよ」


「ほんと!?じゃあ師匠でもありお姉ちゃんでもあるね!」


「そうだね。そういえば何でシャーリーちゃんは剣術を私に教わりたかったの?村にも衛兵や剣士の人はいたと思うんだけど」


確かユリーさんは冒険者に憧れてるって言ってたけど、詳しい事まではあの時私も訊いていなかった。


「えーっと、師匠は紅の姫騎士さんについて知ってる~?」


「紅の姫騎士?何それ?」


「おとぎ話なんだけど、昔からずーっと伝えられている絵本のキャラクターだよ~!そのキャラクターと師匠が凄いよく似てるな~って思って、だから師匠に弟子入りしたいなって思ったの!!」


「弟子入りって、そんなえへへ・・・って照れてる場合じゃなかった!!その絵本ってシャーリーちゃんは持ってるの?」


「うん!お部屋にあるよー!後で見せてあげるー!」


「是非読ませてもらうね!」


紅の姫騎士、、、。

そんな言葉は【ドラグーンハンター】では訊いたことがない。

まさか、ゲームとは違う独自な内容もこの世界ではあるのかな?





お風呂から出て、ユリーさんが作ってくれた晩御飯を食べ終えると、私はシャーリーちゃんの部屋で早速その絵本を見させてもらった。

タイトルも【紅の姫騎士】となっている。


「この絵本だよ~!」


「どれどれ、えーっと・・・」


遠い昔の話、この世界に舞い降りた騎士が存在した。

世界を滅する最強の悪魔と呼ばれる存在【龍神ドラグナー】を獅子奮迅の活躍で一人で蹴散らした最強の騎士。

その見た目は金髪碧眼の少女で紅き軽装備に、2本の聖剣を持っている。

美しき剣捌きで数多のモンスターを倒し、様々な村や街を救って世界に平和をもたらしたのでした。


・・・ちょっと待って?


【龍神ドラグナー】は確かに【ドラグーンハンター】の最強格の1体、そして私はこの世界に来る前にドラグナーの討滅戦RTAに参加して見事1位に輝くことが出来ていた。

それに私の装備は紅いドレスタイプの軽装備であったのも一致するし、更には2本の聖剣を携えていたのも間違いない・・・。


それを踏まえて推測すると・・・。


これ・・・私じゃない!!

いや間違いないでしょ!!この絵本に書いてある人物私と瓜二つだもん!

昔話ってことはここは私がプレイしていた【ドラグーンハンター】より更に未来の世界ってことなの?


ヤバい・・・。頭がおかしくなってくる。

頭から煙を出していると、心配になったシャーリーちゃんが私の頭を何故か撫でてくれた。


「師匠、大丈夫~?」


「あ、うん・・・大丈夫だよ。それよりもこの絵本ってどれくらい有名なの?」


「子供だったら誰でも知ってる常識だよ!」


「そんなレベル!?」


つまりこの私と瓜二つの少女が映る絵本が全世界に知れ渡るレベルで流通しているということじゃん!!

恥ずかしすぎて蒸発しそうではあるが、堪えろ私ーーーーー!!

とにかく、ルビーラピスラズリという名前までない事が幸いしている!

絶対に私がこの紅の姫騎士だってバレない様にしないといけない!!!

もしバレたらこの世界でどうやって生きていけばいいのかわからないもん・・・!


「よし!絶対にバレないぞー!!!」


「師匠?何がバレちゃいけないのー?」


そう心に誓いを立てて私は絶対にバレない決意を固めるのであった。





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