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左遷艦隊  作者: マーキー
南国の司令官
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短刀

基地への侵入者の事件は、猿渡の侵入者が排除されたとの一報で、一気に沈静化し、基地は新しく帝国の前線基地となる準備を始めていた。

後、3日もすれば、本国から様々な人員物資を載せた輸送艦隊が来るため、受け入れ体制を整えるべく、アメリアとモロ島住人との戦闘痕の修復や清掃に精を出していた。

今も、多田野がいる病棟の窓の外からは南国の太陽の下、迫撃砲が着弾して、穴だらけになった道をツルハシやモッコといった前時代的な道具で元通りにしようと作業を始める艦隊の乗組員とモロ島の住人たちが見える。それは、まさしく帝国とモロ島が手を取り合うという感動的光景であり、彼らが出す威勢のいい声は、暑さでたるみがちな心の清涼剤ともいえる清々しいものだった。

しかし、病棟の中は、緊張ともつかない張り詰めた空気が漂っていた。体型の為か、一人だけ吹き出る玉のような汗を拭いながらも猿渡は以前として白石に銃を向けたままで、白石は、多田野をじっと見ながら、『私を、白石乃梨子を死刑に。』にと目で訴え続けている。それでも多田野は迷っていた。それが甘えだともわかっていた。ここで、白石を死刑にすれば、軍内に多田野を害する者がいる事を明らかに出来る。

多田野にとっては、半信半疑ではあるが伊戸派と呼ばれる将校達がいるとすれば、今回の白石への処罰は一条に多大な影響を与える。

しかし、そのために白石を殺すのかと言われれば、薄情にはなりきれない男が多田野という人間であった。

ふいにドアの向こうで、伝令兵が声をかけた。

「申し上げます。モロ島筆頭長老、ニーギニ・マグス様が、今回の事件についてお話したいことがあるとのことで、お見えになっています。」

これで少し、時間が稼げると、多田野は、白石に自室謹慎を申し付けると、ニギーニを応接室にお通しするように伝え、さらに、銃を持ってくるように言うと久しぶりに軍服に袖を通し、二階堂の肩を借りながら、応接室へと向うことにした。


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